クローゼットの思い出
思い出はいいものではない。
過去の楽しかったことと同時に悲しかったことや後悔まで持ってきやがる。
それでも思い出は消せない。
どうしても形に残る。手紙やキーホルダーや、味や匂いや感触として。
思い出は未来の更新のためにある。
過去に思いを馳せて明日が見える。
思い出のおかげで今日が幸せとか良くない日だとか言える。
目を閉じて、21本の火のついたろうそくを吹き消して、拍手の後に目を開けた時、10歳の誕生日のことを思い出す。
ベッドの横に飾ってた二人の写真は今ではクローゼットで好きじゃない靴下と一緒にいて、引っ越すときにでも思い出すだろう。
そのくらいでいい。いいことも悪いことも戻れないから笑ってられる。
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