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バングラデシュで石炭火力発電所を推進する住友商事とJICAに申し入れ!


2021年9月24日
国際協力機構(JICA)理事長 北岡伸一様

住友商事株式会社 代表取締役 兵頭誠之様

Fridays For Future Bangladesh
Fridays For Future Japan「マイノリティから考える気候正義プロジェクト」

バングラデシュ・マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業に関する公開要求書

 私たち、Fridays For Future Japan 「マイノリティから考える気候正義プロジェクト」とFridays For Future Bangladeshは、「気候正義」の実現を目指す10代・20代が中心の運動です。私たちは、気候危機をはじめとした環境破壊やそれに伴う人権侵害に抗議をしています。

 私たちは、以下を求めます。
(1)マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業のすみやかな中止・撤退
(2)現地住民への生活保障
(3)バングラデシュの人々が主体となった気候変動対策への支援・援助
(4)バングラデシュにおける再生可能エネルギー事業への直接投資

 2021年10月15日までに日本語および英語の両方でご回答ください。

【要求事項】

(1)マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業のすみやかな中止・撤退
理由①:気候危機を加速させる

 破滅的な気候危機を避けるためには、産業革命からの地球の温度上昇を1.5℃以内におさめなければならないとされています。そのためには、新規の石炭火力発電所の建設は中止し、現在稼働している石炭火力発電は順次停止していく必要があります。また、マタバリフェーズ1は、日本で建設される新プラントに適用される汚染基準を満たしていません。マタバリフェーズ1のみによる汚染が、その運用期間中に最大14,000人の早死を引き起こすことを指摘されています。なぜ、日本で建設できない施設をバングラデシュで建設するのでしょうか。具体的な理由をお答えください。

理由②:地域住民への悪影響
 地域住民に対する悪影響がすでに発生しており、工事を進めることでさらに被害が拡大する恐れがあります。最近では、ダッカ高等裁判所が事業者に対して、建設に伴う河川の違法な埋め立てがあったとして工事の差し止め命令を出しました。
 地元のニュース報道によると、マタバリフェーズ1の建設は、モンスーンとサイクロンによる洪水に対処する設備と自然排水システムを機能不全にしたため、排水がうまくできずに、大雨の後に水が溜まり、地元の人々に甚大な被害をもたらしました。2018年には、31の村のうち22の村が浸水し、地域コミュニティは「5件の溺死事件で亡くなったのは、すべてが子供であった」と報告しました。 また、7人の子供が、通学中にボートの沈没により重傷を負いました。
 2013年に開始されたマタバリフェーズ1の用地取得プロセスのさいに、人々の家と生活が失われました。現地コミュニティとの適切な協議がなされておらず、今日まで十分に補償されていません。土地を追われた人々は、代替の住宅に移住できておらず、一部の家族は他の場所に移住して再定住することを余儀なくされています。現地コミュニティはまた、塩の栽培とエビの養殖で伝統的な生計を失い、2万人が生計を立てる手段を失いました。

(2)現地住民の生活の保障
 マタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業の設備は、エビの養殖、作物、塩の生産のための土地に建設されており、マタバリの住民の生活を破壊しています。しかし、プロジェクトによって立ち退きを余儀なくされた人々に対して、公正な補償、生計の回復、再定住が行われていません。それまで塩とエビの養殖場で雇用されていた1,057人のうち、新しい雇用先を見つけることができたのは一部の人だけです。土地取得のさいに、多くの土地所有者が補償を受けられなかった、もしくは十分な補償を受けられなかったと主張しています。このような被害を受けている現地住民の生存権・生活が保障されることを求めます。

(3)バングラデシュの人々が主体となった気候変動対策への支援・援助
 企業の利益が中心の開発ではなく、バングラデシュの人々が主体となった気候変動対策への支援と援助を求めます。これからますます気候危機が深刻化するなか、とくにバングラデシュでは、さらなる命が奪われる前に大胆な気候変動対策が必要です。そのさいにバングラデシュの人々が中心となって再生可能エネルギーを導入し、環境と調和のとれた社会を運営できるように、技術と能力構築のための支援と援助を求めます。

(4)バングラデシュにおける再生可能エネルギー事業への直接投資
 バングラデシュには、太陽光、バイオマス、風力、ミニ水力などの再生可能エネルギー源を利用する大きな可能性があります。これらはすべて、同国が優れた供給に恵まれている地域です。例えば、バングラデシュには世界最大の独立型太陽光発電プログラムがあり、他国がクリーンで手頃な価格の電力へのアクセスを拡大するための経験と教訓を提供しています。太陽光発電を利用することで、これまで2000万人のバングラデシュ人が電力にアクセスできるようになりました。したがって、再生可能エネルギーの利用をより持続可能で、手頃で、利用しやすいものにするためには、再生可能エネルギー部門への投資が必要です。JICAの資金は、化石燃料ベースの従来型発電所の開発から、太陽光、風力、その他の自然エネルギープロジェクトへとシフトさせなければなりません。なお、再生可能エネルギーの導入は、企業の利益追求に結びついた乱開発や環境破壊を招くものではなく、バングラデシュの人々が主体となり推進される、持続可能なものである必要があります。

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