色あざやかな爪先は
それはまさに、非日常を生きている証。
liveや舞台に出掛ける時、私は決まって爪を染める。
染めたい色を、自由に。
母親は「変な色」と嘲笑するけど、会う人は褒めてくれる。お世辞なのかもしれないが。
きっかけは、フジファブリックが15周年を迎えた2019年のこと。
それまでフォロワーの影響でネイルにあこがれを持っていたが、難しそうと手を出してこなかった。
しかし、その15周年を記念して、大阪城ホールでliveを行うと聞き、迷わず申し込み、当選。
記念liveなのだから、いつもと違う華やかな感じにしたいとついにネイルに手を出した。
母親に教えてもらったのか、手はじめにNAIL HOLICを10色+トップコート、ベースコート(以下:トップ、ベース)、除光液を買った記憶がある。
それから事あるごとにネイルを買い集めているうち、別の店舗でpaを見つける。
こちらもNAIL HOLICと同様、色が豊富。
しかし、それだけでなく、甘皮切りやプッシャー等のネイル用品も揃っていて、未知の世界だった。
そして、使い切れない量の色が集まっていた(NAIL HOLICも含めているので尚更)。
2年程前の断捨離でネイルの1部を捨てた。
今残っているのは、以下の写真の通り。
今はこの16色+トップ、ベース、うすめ液で頑張っている。
マジョリカマジョルカもあったが、ネイルから撤退してしまったのが悔やまれる(ネーミングめちゃめちゃ好きだったのに)。
ネイルする時は大抵音楽やらラジオやら聴きながら、塗っていることが多い。
が、liveに行く時は、該当アーティストの曲は聴かない(フジファブリックのliveに行くならフジファブリックの曲)のがマイルール。
その日、生で、目の前で聴けるから。
化粧もそうだが、自分を着飾っている時は、シンデレラのような感覚を覚える。
召使いのようにこき使われ、そこら中汚ればかりの女性が、美しいドレスを身に纏い、ガラスの靴を履いて舞踏会に足を踏み入れるように。
日々の生活に疲弊しきったただの一社会人が、その日のために準備した化粧品やネイルや服で自分を着飾り、大好きな人に会いに行く。
待ちに待った今日が来たと化粧している時点で楽しみも(少しの緊張も)湧いてくる。
まぁ、乗るのは、かぼちゃの馬車じゃなく、特急や高速バスだけど。往復だととんでもなく高いけど。
そしてそれは、ネイルや化粧を落とした後にも言える。
「あぁ……楽しみにしてた日が……終わった……」と屍になって悲しむ。
王子様は迎えに来ないが、「かけがえのないしあわせ」を糧にまた労働に励まなきゃと決意し、日常に、ただの一社会人に戻っていくその時も。
私は主に指だけで、足はやらない。
セルフネイルだけで、ネイルサロンに行ったこともなければ、ジェルネイルにも手を付けたことがない。
染めることが楽しいというだけのかじってる程度だが、ふとした仕草で彩った指先が目に入るだけで、少し嬉しくなる。
次のSHE'Sのlive、何色に染めるかはもう決めている。その次にひかえるHakubiのliveも。
非日常の証を刻むように、私はこれからも爪先を彩り続ける。