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お父さんの話

うちのお父さんは素直じゃない

いつも素っ気ない
そんなお父さんは何かしらの節目の時、
ごくたまに
ちょっと嬉しいLINEをくれる 

ツンデレなのかな、なんて思う

面と向かっては絶対に言わないけど
大きな節目のときだけ、
素直じゃないお父さんにしては
ちょっとらしくない言葉をくれる

中学卒業のとき、初めて長文のLINEをくれた

「自慢の娘」という聞きなれない単語に
思わず目頭が熱くなった

高校合格時には
「まあ俺の娘だからな」
なんてサラッと言っていた

大学入学時は
入学式の時間に合わせて
応援のメッセージが送られてきた

ホームシックで毎日泣いていた私にとって
嬉しいプレゼントであると共に
大きすぎる恋しさに襲われる引き金となった

仕事ができて
部下に慕われていて
上司にも頼られる
地元でも有名なエリートお父さん 

全国で何人かしか選ばれない
優秀な人が出席する表彰式に毎年呼ばれる

私のことを決して認めず褒めもしない

私の好きな物を否定しまくる

「この研修行ってきた」
「これに参加した」
と自慢げに話しても

「もっとこうしろ」とか
「社会人になったら当たり前だ」とか
「まだまだだ」とか

絶対に褒めないお父さん  

でも、私の見ていないところで
かなり私のこと気にしているのは分かっている

会社の人にも沢山話しているのだろう
自分で言うのも恥ずかしいが
私はお父さんの"自慢の娘"なのだ
それを私はいつも間接的に耳にする

「お父さんはああ見えて葉月に甘いんだ」
人生で何度聞いたか分からない

そんな素直じゃないところがお父さんっぽい

お父さんは割とかっこいいのに
どうも女心をわかっていない

女性を立てることはあまりなくて
女だから家事をやれ
この料理微妙だ
今の社会に相応しくない
デリカシーのないことばかり言う

男女差別や男女平等について
学んでいることも相まって
正直イライラする

男としてはあまり好ましくないなとつくづく思う

小さい子はよくお父さんみたいな人と結婚したいなんて言うけれど
微塵も思わないし思ったことも無い

むしろ避けたいタイプだ

過去に、お父さんがお母さんに送ったラブレターを見てしまったことがある
文面を見る限り、プロポーズに近しいものだ

お父さんが書いたとは思えない
キザな言葉ばかり並んでいた

お父さんを少し見直したとともに
あまりの意外性に笑いが込み上げてきた

私は、そんなお父さんがなんだか自慢なのだ


なんだかんだ大人としてはとても憧れているのだ

会社ではみんなに好かれて
仕事もできて信頼もあって
バリバリ働いて結果も出すかっこいい大人

お父さんみたいな大人になりたいと思う
できる大人っていいなと
改めて思わせられる

お父さんの娘として生まれたなら
しっかりした大人にならないとなあと思う

「お父さんの娘」は
なかなかハードルの高い肩書きだ


そのためにがんばらないとな、と
そんな思いが私の原動力

お父さんの言葉に
いつも何かと奮い立たせられている

大事なところはキメてくる
かっこいい世界一憧れの大人だ

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