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ピンクのねこ

あるグループが心底嫌いだった。

大好きなグループのパクリ疑惑の印象しか無かった。最近人気が爆発しているようで、
インターネット界のプリンスなんて言われていて
正直気に食わなかった。

私の好きな人達の方がキャリアも実力も上なのに
いきなり出てきたお遊戯会のような人達が
どうしてこんなに人気があるんだと
毎日イライラしていた。
本人たちだけではなくファンも嫌いだった。
精神年齢が低い人ばかりで民度が低いし、
すぐ炎上するし盲目すぎて見てられない。
何より私の好きな人たちに悪影響を及ぼすことが
許せなかった。
どこをとっても最悪なファン。

こんなグループ潰れてしまえばいいのに
と思っていた。

それでも何も知らずに批判するのは
なんだか後味が悪い。
稀に動画やSNSを除くようになった。

Instagramを見た。
自撮りの加工が強すぎてイライラした。
それに湧くファンにも嫌気がさした。

Twitterを見た。
ファンに媚びを売るような文面にイライラした。

全員の声を聞いてみた。

赤い人 割と好き
黄色い人 結構好き
青い人 微妙
ピンクの人 嫌い
オレンジの人 嫌い
紫の人 記憶が無い

どこを切り取ってもなかなかに酷い第一インプレッションだった。

こんなお遊戯会みたいな人達がどうして人気なのか。
早く潰れてしまえなんて思っていた。

ある日、声が嫌いだと思った
ピンクの人のライブ写真が流れてきた。
その時に顔を初めて見た。

某有名J事務所にいそうなくらい
かっこいい顔をしていて、
このグループにこんなかっこいい人いたんだ、
と少し見直した。

顔だけだと可愛らしい印象を受けた。
中性的な感じの人なんだろうな〜と思った。
ただ自分に酔っているような気がして
好きにはなれなかった。

リーダーが炎上した。
不倫 三股 子持ちのトリプルパンチ
到底出てこれるなんて思えないやらかし様
有名な暴露系配信者に晒され
Twitterのトレンドはもちろん1位
誹謗中傷が飛び交うSNS
見ようとしなくても目に飛び込んできた。

初見、ざまあみろと思った。
このまま落ちるところまで落ちてしまえばいいと思った。
自分の性格の悪さに笑えてくる。


メンバーが2人ずつ配信で謝罪をしていたようで、
動画の切り抜きを興味本位で聞いた。

声が悪くないと思っていた赤い人と黄色の人。
少し知識があったこともあってすんなり聞けた。
あまり深刻にしないようにと気をつけて
特徴的な高めの優しい声で雑談をし
2人でファンを安心させているようだった。

ピンクの人と青い人。
1人が仕切ってそれを復唱するように話すもう1人。

どちらだか分からないが、
話し声がすごくかっこいいなと感じた。
少しチャラいような気がするけど
トーク力があって大人の余裕があって
低すぎず高すぎず好みの音域で
いわゆる王道イケボ。

すごく好きな声だった。
一気に惹き付けられた。
でもそれがどちらの人なのかも分からず
ただいい声だなと思って聞いていた。

気になったら調べずにはいられない。調べてみた。
偶然、この間写真で見てかっこいいと思った人だった。

無心で動画を漁った。

話し声は好きだが歌声はやはり好きではないタイプ。
繊細な高めの声が好きな私。
その人の声は太めで低めでまっすぐ届くような声だった。歌う曲もかっこいいものやダークなものが多かった。

ある曲を聞いた途端ぐっと心を掴まれた感覚があった。
恋の始まりをポップなメロディーにのせて歌詞に綴ったピュアな王道ラブソング。

歌声も他の動画より高めで
なにより曲自体が好みだった。

これがきっかけでいつの間にか彼にひどく惹かれた。
あまり好きじゃなかった歌声も段々と好きになっていった。
何より惹かれたのは彼の持つ価値観だった。


彼の自信家なところが好きだ。
その自信を作っている辛い過去を知った瞬間
隙のない彼の弱さが垣間見えた。
経験が実力になるということを体現していた。
相手の心を読み理解し
適切すぎる言葉を投げかけ好意を手に入れる
素で罪なズルい性格も好きだ。
何もかも計算されているようでされていない
ちょっと裏が見えるミステリアスなところも好き。
手に入れたいものは必ず手に入れる、
誰よりも強い貪欲さと行動力。
どこまでも自分に正直なところが何より好きだ。

私には無いものを沢山持っている彼に
好き以上の憧れと悔しさを感じた。
こうなったら戻れない。
わたしの心は取り戻せない遠い遠いところまで持ってかれていってしまった。

引き返せなかった。
少しでいいから顔が見たくて
チケットの譲りを探して会いに行った

ファンの気持ちをわかりきったような

「どうせこういうのが好きなんだろ?」
「こうすれば沸くんだろ?」

自分の魅せ方をわかりきったような
自分が一番かっこいいと思う瞬間しか作らない。
彼がステージ上にいるときは
彼しか見えなくなるような舞台を作り出す。

そんな確信犯すぎる彼にまんまと堕とされた
こんな感覚は初めてだった

頭がぼーっとする
こんな余韻は何年ぶりだろうか
夢のような時間だった


彼無しの生活は考えられない
彼を知らなかった日々を思い出せない
彼がいない世界でどうやって生きていたんだろう
彼を知ってしまった世界で
今までと同じ自分はどうやって生きていこう

甘さも苦さも宝物
苦しさも歯がゆさも心地いい
笑顔も涙も捧げたい

これからも

すとぷりの さとみさんへ


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