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涅槃図ってみたことある?

2月15日の涅槃会はご存知ですか?

涅槃とは、サンスクリット語で「ニルヴァーナ」と言い、意味は「吹き消すこと」。仏教では怒り、妬み、嫉みなど様々な欲(除夜の鐘で消えるというアレのこと)が消滅して心の迷いがなくなった状態のことで、仏教の開祖お釈迦様が悟りを得て安らぎの境地に至ったことをいう。

お釈迦様が亡くなる時にこの境地に達したことから「涅槃」をお釈迦様が亡くなったという意味で用いるようになった。

その日にちが旧暦の2月15日ということで、お釈迦様を悼み偲ぶために「涅槃会」という法要が行われるようになった。

お釈迦様が亡くなったのは今から2,500年ほど前になるが、日本では奈良時代くらいから涅槃会を行なっていたという記録がある。そして、このお釈迦様の亡くなった時の様子を描いたのが「涅槃図」である。


涅槃図には、お釈迦様を想う弟子の姿やたくさんの動物が描かれている。

まず中央に横たわっているのがお釈迦様。頭を北に西を向いて横たわる姿は究極の悟りの世界を表している。お葬式などで、亡くなった方を北枕にするのはここからきている。

お釈迦様の周りにある木は沙羅の木、四方に二本ずつ、計8本生えていることから沙羅双樹と呼ばれている。右側は枯れていて植物も悲しんでいることを表している。左側は青々として花を咲かせ、散った花びらはお釈迦様を覆ったと言われている。

右上の夫人を先導しているのがお釈迦様の十大弟子の一人、阿那律尊者。そして先導されているのはお釈迦様の生母摩耶夫人である。

左手の木に引っかかっている袋は、摩耶夫人が病気の我が子のために天から投げたとされる長寿の薬の入った袋。しかし木に引っかかって届かなかった。これは例えお釈迦様でも死ぬことは免れないという意味。また、「投薬」の語源になっている。

たくさんの動物が描かれているが、絵によって違いがあり、東福寺のものは50種類もの描かれている。ネズミがお釈迦様の使いとされているため猫の絵ががれたものは少ない。


各地のお寺に涅槃図があるが、少しずつ違いがあるが、どれも昔からの信仰が伝わってきて、目の前にするとなんとも有り難い気持ちになる。

この15日前後は涅槃図を拝観できる良い機会。一度近くのお寺を訪ねてみることをお勧めします。

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