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2021年 【桜蔭中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

一 問二 12点満点 文末は「から」

【解答例】
私たちは他者から貼られたレッテルや社会からの期待によって自分らしさを見失いがちだが、雑草は人間の思い込みにとらわれずに自由に生きていて、その生き方が痛快でうらやましいから。

【採点基準】
1(――線部①のように言う理由)
(私たちは)
A 他者から貼られたレッテルや社会からの期待によって/まわりの人たちが作り上げた幻想や社会が期待する「らしさ」に従うことで …③点
※「他者から貼られたレッテル/まわりの人たちが作り上げた幻想」「社会からの期待/社会が期待する「らしさ」に従う」のどちらかしかない場合には、1点減点。
B 自分らしさを見失いがち …③点

2(――線部②のように言う理由)
(雑草は)
A 人間の思い込みにとらわれずに自由に生きている/人間が勝手に作り出したルールや「こうあるべき」という幻想にとらわれない …③点
B 痛快/うらやましい/魅力的 …③点

一 問三 8点満点

【解答例】たくさん挑戦することを通じて、苦手なことで勝負するのではなく、得意なところで勝負するようにする。

【採点基準】
1 たくさん挑戦する/いろいろなことに挑戦する …③点
※「すぐに苦手だとは判断しない」は2点与える。
※「戦う」という表現の場合、1点与える。

2 苦手なことで勝負しない/苦手なことからは逃げる/苦手なものを知る …②点
※「苦手なことではなく、3」という書き方もOK。

3 得意なものを見つける/得意なところで勝負する/ナンバーワンになれるものを見つける …③点

一 問四 X 8点満点 文末は「こと」

【解答例】一方向から見たレッテルを貼られたせいで誤解されてしまうこと。

【採点基準】
1 誤解されてしまうことがある/本来の姿は分からない/実際にはさまざまな面がある/他の面が見えなくなる …④点

2(1の原因)
一方向から見たレッテルを貼られた/一面的に見るだけ/人は対象を一面的にとらえようとするところがある/一方からの見方だけ …④点

※人間側からの説明でも、オオカミ側からの説明でもOK。

一 問四 Y 8点満点 文末は「こと」

【解答例】苦手なこともあきらめずに続けると、今まで気づかなかった自分の能力に気づくかもしれないこと。

【採点基準】
1 今まで気づかなかった自分の能力に気づくかもしれない/得意なことが発見できる/実は得意であることに気づくきっかけを失うかもしれない …④点

2(1の条件)
苦手なこともあきらめずに続ける(のが良い)/苦手だと思うことでも挑戦する(のが良い)/苦手だと勝手に判断する(のはダメだ) …④点

二 問三 6点満点

【解答例】バームクーヘン

【採点基準】洋風のスイーツ、食べ物なら何でもOK

二 問四 10点満点 文末は「気持ち」

【解答例】これまでも真紀ちゃんとの関係は上手くいっていなかった。しかし、軽口をたたいただけなのに、冷たく突き放すようにきつい言葉を浴びせられたことで真紀ちゃんと不仲であることが決定的になり、衝撃をうけたから。

【採点基準】
1(これまでの真紀ちゃんとの関係)
上手くいっていなかった/相性が悪かった/真紀ちゃんのことが苦手で、おそらく真紀ちゃんも自分を嫌っているように感じていた …③点
※「自分は真紀ちゃんに嫌われているのだと思っていた」などの一方通行の説明は1点のみ与える。

2(――線部A、Bのきっかけ)
軽口をたたいただけなのに、冷たく突き放すようにきつい言葉を浴びせられた/冗談を、真っ向から否定されてしまった …②点
※「軽口をたたいただけなのに/冗談を」にあたる内容がないと、1点減点。

3(2から感じたこと)
不仲であることが決定的になった/真紀は本当に自分(=水穂)が嫌いなのだ/絶縁状態になった/1が確信的になった …③点

4(気持ち)
衝撃 …②点
※「傷つく/落ち込む」に言及してもOKだが、それだけの場合には、1点のみ与える。

二 問五 10点満点 文末は「から」

【解答例】これまで真紀ちゃんとの関係がうまくいかないことを気に病んでいた。しかし、ミーヤンが「相性が悪いだけだ」と言ってくれたことで、真紀ちゃんとの関係がうまくいかないことについてもう悩まなくて良いのだと思えたから。

【採点基準】
1(これまでの説明)
真紀ちゃんとの関係がうまくいかないことを気に病んでいた/真紀ちゃんの良いところが見つけられない自分に非があるのかと悩んでいた/真紀ちゃんは自分(=水穂)に冷たいし、自分も真紀ちゃんが苦手であることに苦しんでいた …④点
※「気に病んでいた/悩んでいた/苦しんでいた」などの心情表現がないと、2点減点。

2(「ホッとした」きっかけ)
ミーヤンが「相性が悪いだけだ」と言ってくれた/馬が合わないのであってお互いがいいとか悪いとかの問題ではないとミーヤンに諭された …②点
※「ミーヤンが/ミーヤンに」にあたる内容がないと、1点減点。

3(「ホッとした」の内容)
1についてもう悩まなくて良いのだと思えた/1について仕方のないことなのだと思えた/1から解放された …④点

二 問六 10点満点

【解答例】これまで真紀ちゃんとの関係が上手くいかないことに対してわだかまりを感じていたが、「馬が合わへん」という言葉が与えられ、何度も頭の中で繰り返すうちにわだかまりの正体をはっきり認識できるようになり、だんだん明るくなってきている。

【採点基準】
1(変化前の気持ち)
真紀ちゃんとの関係が上手くいかないことに対してわだかまりを感じていた/真紀ちゃんとの間にあったわだかまりに対して心が晴れない思いでいた …④点
※「わだかまりを感じていた/心が晴れない思いでいた」などの「うまく言葉にならへんぎくしゃくした感じ」に対応する心情表現がないと、2点減点。→「悩んでいた」は心情表現としては加点しない。

2(きっかけ)
「馬が合わへん」という言葉が与えられ、何度も頭の中で繰り返す/二人は馬が合わないのだと言葉に出して何度も自分に言い聞かせる …②点
※「何度も繰り返す/何度も自分に言い聞かせる」にあたる内容がないと、1点減点。

3(変化後の気持ち)
A 1の正体をはっきり認識できるようになった/1の感覚がどのようなものか少しずつつかめてきた/1について納得がいくようになった …②点
B だんだん明るくなってきている/少しずつ前向きになってきている/気が楽になった
※ABどちらかに「だんだん/少しずつ」にあたる表現がないと、1点減点。

二 問七 10点満点 文末は「から」

【解答例】真紀ちゃんのことを今でも苦手でいるが、タロにも相性が合わない相手がいることをタロに言い聞かせる風にして、人間も同じだと自分に言い聞かせているから。

【採点基準】
1(前提)
真紀ちゃんのことを今でも苦手でいる/真紀ちゃんにいら立っている/今も真紀ちゃんとの(良くない)関係は解消されていない …②点

2(タロに言い聞かせている内容)
タロにも相性が合わない相手(=クリストファー)がいる/クリストファーとの(良くない)関係について …④点

3(タロに言い聞かせている理由)
人間も同じだと自分に言い聞かせる/真紀ちゃんが苦手なのは仕方がないのだと自分を納得させる/真紀ちゃんへのいら立ちをまぎらわす …④点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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