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2017年 【駒場東邦中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

問三 8点満点 文末は「から」

【解答例】悪びれる様子もなく、死人の財布を盗む男の行動が怖かったから。

【採点基準】
1(気持ち)
怖い/恐れ …③点

2(きっかけ)
死人の財布を盗む男の行動/男が死んだ人から財布を盗んでいる …⑤点
※「死人の/死んだ人から」にあたる内容がない場合、2点減点。

問八 8点満点 文末は「から」

【解答例】家族を失ってつらい思いをしている茉莉を暗い気持ちにさせないようにしたかったから。

【採点基準】
1(気持ち)
茉莉を暗い気持ちにさせないようにしたい/茉莉を元気づけたい …④点

2(茉莉の状況)
A 家族を失って/家族が死んで …②点
B つらい思いをしている/悲しみに暮れる …②点

問十 12点満点 文末は「こと」

【採点基準】悪びれる様子もなく他人のものを盗む人を見て、盗みはしてはいけないことだと信じていた。しかし、自分にも泥棒と同じ心が宿っていることに気づき、また、盗みをしないで飢え死にするのは良いのかと考えたことで、今まで信じてきたことが本当に正しいことなのか自信が持てなくなってきたということ。

【採点基準】
1(「これまでずっと正しいと信じていたこと」の説明)
盗みはしてはいけない/他人のものを盗んではいけない …②点

2(1のように思うきっかけとなった「ここまでの内容」の説明)
悪びれる様子もなく他人のものを盗む人を見た/死人の財布を盗んだ人や自分や家族のものを盗んでいった人を忘れられずにいた …③点

3(「揺らぎはじめていた」の言いかえ)
1の考えに自信が持てなくなってきた/1が本当に正しいのか戸惑うようになった …③点

4(3のきっかけ)
A 自分にも泥棒と同じ心が宿っていることに気づいた/自分も泥棒と同じだと気づいた …②点
B 盗みをしないで飢え死にするのは良いのかと考えた …②点

問十一 8点満点

【解答例】自分は娘を亡くしたことが分かり、生きる気力をなくしてしまったが、茉莉は助かるべきだと思っている。

【採点基準】
1 茉莉は助かるべきだと思っている/茉莉は生かさなければならないと思っている …②点

2 自分は生きる気力をなくしている/自分は死んでも良いと思っている …④点

3(2のきっかけ)
(戦争で)娘を亡くした …②点

問十二 12点満点

【解答例】Xでは生きるための行動をすることができずにいたが、たくさんの人に愛情を注がれてきた自分は生きなければならないと思ったことで、Yでは自分の力で懸命に生きようとしている。

【採点基準】
1(Xのときの茉莉の説明)
生きるための行動をすることができずにいた/理不尽な現実を前にして自分ではどうすることもできずにいた …④点
※「自ら行動を起こせずにいた」ことが分かればOK。

2(「茉莉がそのように変化した理由」の説明)
たくさんの人に愛情を注がれてきた自分は生きなければならないと思った/自分は多くの人に愛されてきたのだと思った …④点

3(Yのときの茉莉の説明)
自分の力で懸命に生きようとしている/生きるために自分でできることをしようとしている …④点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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