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2020年 【洗足学園中(第二回)】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

一 問一 7点満点 文末は「考え方」

【解答例】障害は障害者個人に付随する特質だとする医学モデルの考え方と、人と社会との相互作用によって生じるものだとする社会モデルの考え方。

【採点基準】
1(1つ目の考え方)
A 医学モデル …①点
B(1Aの説明)
障害は障害者個人に付随する特質だ …②点

2(2つ目の考え方)
A 社会モデル …①点
B(2Aの説明)
障害は人と社会との相互作用によって生じるものだ …③点

一 問四 7点満点 文末は「こと」

【解答例】障害は社会の責任ではなく障害者個人の責任だと認め、自ら努力して障害を克服することを社会が障害者に求めること。

【採点基準】
1(「おとなしく」あることを強いてくる、の言いかえ)
障害は障害者個人の責任だと認めることを社会が障害者に求める/障害により制限を受けることを社会が障害者に我慢させる/障害者は地域で普通に生活できないことを社会が受け入れさせる …④点

2(「けなげ」であることを強いてくる、の言いかえ)
自ら努力して障害を克服することを社会が障害者に求める/障害者の側が治療やリハビリによって障害を乗り越え、社会に適合できるように努力すべきだと社会が考える …③点

※全体を通して、「社会が」にあたる主体
の説明がない場合、問四全体から1点減点。
→例)
自ら努力して障害を克服することを障害者に求めること。
は2の要素③点-1=問四全体で2点与える。

一 問五 7点満点 文末は「こと」

【解答例】努力して障害を克服すべきなのは、障害者本人というよりは、まずは社会の側である、という視点でものごとを考えてみること。

【採点基準】
1(私たちに必要な視点)
障害を克服すべきなのは社会の側である/社会の側が、障害者にハンディキャップをもたらす要素を取り除いていくべきだ …⑦点
※「社会モデルで障害を考えること。」等、社会モデルについての内容説明がなく、単に「社会モデル」というキーワードだけで説明している答案は、問五全体で3点のみ与える。
※「医学モデルで障害について考えないこと。」等、医学モデルを否定する内容のみの答案は、医学モデルについての内容説明があろうと「医学モデル」というキーワードだけで説明していようと、問五全体で2点のみ与える。
※「医学モデルから社会モデルへと発想をシフトしていくこと。」等、それぞれのキーワードだけで説明している答案は、問五全体で4点のみ与える。

二 問二 8点満点

【解答例】意外なところで二人に呼び止められことにおどろくとともに、見られたくところを見られてしまい気まずくなっている。

【採点基準】
1(「目が見開かれる」から読み取れる心情)
おどろく/びっくりする …②点

2(1の理由)
意外なところで二人に呼び止められた/突然壮介と秀明に声をかけられた …②点
※「意外ところで/突然」にあたる、予想外だという内容がない場合、2の要素から1点減点。

3(「バツが悪そうな顔」から読み取れる心情)
気まずい/きまり悪い …②点

4(3の理由)
見られたくところを見られた/知られたくないことを知られそう …②点

二 問三 8点満点 文末は「こと」

【解答例】入院しているレイの母親が、自分を元気づけるために花を植えようとして草を抜いてくれている息子を見守っていること。

【採点基準】
1(「カーテンが開いて」いる理由)
レイの母親が息子を見守っている/レイの母が時々レイの姿を見ている …④点

2(1の「レイの母親」の説明)
入院している …②点
※「レイの母親」が「正面にあたる窓」の部屋に入院していることが読み取れればOK。

3(レイの説明)
花を植えようとしている/草をむしっている …②点

※主体が「レイの母親」であることが読み取れない答案は、問三全体が無得点。

二 問五 8点満点

【解答例】なぜ自分たちが手伝わなければならないのかと反発していたが、花を植える理由が分かり、手伝いに前向きになった。

【採点基準】
1(変化前)
A 反発/怒り/苛立つ …①点
B(1Aの理由)
なぜ自分たちが手伝わなければならないのか/レイの命令口調/レイの横柄な態度 …②点

2(変化のきっかけ)
花を植える理由が分かった/草むしりの目的が分かった/レイのつらい境遇を察した …②点

3(変化後)
前向き/自分もレイの力になろう …③点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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