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2022年 【武蔵中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、◆採点方法の詳細◆以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

一 問一 14点満点
 文末は「こと」 難易度:★★★★☆

【解答例】玲那さんはもともと視力が弱かったので、視覚以外の五感を使って周囲を認知する習慣があり、視覚に対する依存度が低かったということ。また、家の中は慣れた環境であるため、細かく観察していなかったということ。

【採点基準】
1(「見ていなかった」の解釈1)
A 視覚に対する依存度が低かった/周囲を認知するための手段として、視覚の占める割合が低かった/視覚から得ている情報が少なかった …⑥点
B(1Aの理由)
もともと視力が弱かった/もともと見えにくかった …②点

2(「見ていなかった」の解釈2)
A 家の中は細かく観察していなかった …④点
B(2Aの理由)
家の中は慣れた環境である/家のことは理解している …②点
※「安定した環境」は要素2Bから1点減点。

※全体を通して「玲那さん」にあたる、-線「彼女」が誰を示すかについての説明がない場合、問一全体から1点減点。

一 問二 14点満点
 文末は「意味」 難易度:★★★★☆

【解答例】自分の目が見えなくなる瞬間を自覚できるという意味。

【採点基準】
目が見えなくなった瞬間を自覚する/失明したその時を認識する/視覚が失われたことに気づく …⑭点
※「自覚する/認識する/気づく」にあたる内容がない場合、問二全体から7点減点。
→例)目が突然見えなくなるという意味。
は7点のみ与える。

一 問三 14点満点
 難易度:★★★☆☆

【解答例】インタビュー中、目が見えないはずなのに、まるで見えるかのようにメモを取りつづける玲那さんの手の動き。

【採点基準】
1(気を取られていたものの説明)
メモを取りつづける玲那さんの手の動き/玲那さんがメモし続ける様子 …⑥点

2(1の補足)
目が見えるかのように/目の見える人かのように …③点

3(1の状況)
インタビュー中/受け答えをしながら …②点

4(玲那さんの境遇)
目が見えない …③点

※全体を通して「玲那さん」がない場合、問三全体から1点減点。

一 問四 14点満点
 文末は「ところ」 難易度:★★★★★

【解答例】体に可塑性があることで、障害を得た前後の体では全身の働き方が変わるはずである。しかし、玲那さんの体には失明によって変容した機能もありながら、それと平行して「書く」能力が変化を被ることなく、失明する前の状態でそのまま保守されているところ。

【採点基準】
1(前提)
A 障害を得た前後の体では全身の働き方が変わる/障害を負えば全身の機能が変容する …④点
B(1Aの理由)
体の可塑性/体には自在に変化することのできる性質がある …②点

2(1に「逆行」して、玲那さんの場合)
A 失明によって変容した機能もありながら …③点
※1A・2Aのいずれにおいても「障害を得た/失明によって」にあたる内容がない場合、問四全体から1点減点。
B 「書く」能力が失明する前の状態で保守されている/目が見えたころと同様に書くことができる …⑤点

一 問五 14点満点
 難易度:★★★★★

【解答例】頭の中だけではとうていできないような複雑な思考を、何らかのものを体を使って操作し、視覚的なフィードバックを組み込むことによって容易にしている。

【採点基準】
1(「体と物の間にも思考は存在する」の解釈)
何らかのものを体を使って操作する/手を使って書いたり動かしたりする …⑤点
※「体を使って/手を使って」にあたる内容がない場合、要素1から2点減点。

2(1と「視覚の間にも思考は存在する」の解釈)
視覚的なフィードバックを組み込む/1の結果を視覚的にフィードバックする/視覚を通して入ってくる情報を利用する …⑤点
※「見ながら考える」のみの場合、要素2として2点のみ与える。

3(1・2の効果)
思考を容易にする/頭の中だけではとうていできないような複雑な思考をこなす …④点

一 問六 14点満点
 文末は「こと」 難易度:★★★★★

【解答例】玲那さんは目が見えないため、空間的な関係を理解することが難しい。しかし、見えたころの視覚的な経験をもとにしたそれまでに書いたメモのイメージを手がかりに、さらに別の文字や線を書き、考えを整理して進めるというように、書くことで思考しているということ。

【採点基準】
1(「環境のなかで」の解釈)
A 目が見えない/視覚を通して入ってくる情報がない …②点
B(1Aの結果)
空間的な関係を理解することが難しい/空間の様子を把握しづらい …②点

2(「玲那さんの『書く』は……思考と関わりながら行われている」の解釈)
書くことで思考している/書きながら考えを整理している/書くことで考えを進めている …⑤点

3(2の補足)
A メモのイメージを手がかりにする/紙に書かれた内容をイメージする …③点
※「メモの/紙に書かれた内容を」にあたる、イメージの対象についての説明がない場合、3Aの要素から1点減点。
B(3Aのベース)
視覚的な経験 …②点

◆採点方法の詳細◆

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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