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2021年 【開成中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

一 問二 15点満点 文末は「から」

【解答例】新しいズックを買ってもらえるのではないかという期待を捨てきれずにいたので、穴の空いた古いズックに対する嫌悪感があったから。

【採点基準】
1(「きのうまで履いていた物」についての説明)
A 穴の空いているズック/破れた靴/古いズック …⑤点
B(ⅰに対する気持ち)嫌悪感/恥ずかしい/みじめ/不満 …⑤点

2(1の背景)
新しいズックがほしいと強く思っていた/遠足には新しい靴で行きたい/新しいズックを買ってもらえるのではないかという期待を捨てきれずにいた …⑤点

一 問三 15点満点

【解答例】母親の愛情を感じられたことに対して感謝を伝えるのがはずかしかったので、つい憎まれ口をたたいたが、それによって母親を悲しませたことを(後悔した。)

【採点基準】
1(――部③Aについて)
A(――部③Aの意味)
照れ隠しをした/憎まれ口をたたいた/軽口をたたいた/素直に感謝(=うれしさ/喜び)を表現できなかった …②点
※「照れ隠し」と表現していれば、1Bの「はずかしかった」「きまり悪かった」も加点する。
B(Aの理由として、――部③Aの心情)
母親の愛情に対して感謝を伝えるのがはずかしかった/母親がズックを縫ってくれたことに対して素直に喜ぶのがきまり悪かった …⑥点
※「母親の愛情に対して」「母親がズックを縫ってくれたことに対して」にあたる内容がない場合、3点減点。
※「はずかしかった」「きまり悪かった」という内容がないと、2点減点。

2(――部③Bについて、「後悔」の内容)
母親を悲しませた(=傷つけた)こと/新しいズックを買ってやれないつらさを母親に感じさせたこと …⑦点
※「母親を悲しませた(=傷つけた)とわかって」等、きっかけの説明のような書き方をしていてもOK。

一 問五 15点満点 文末は「から」

【解答例】今までは自分の貧しさを知られたくない華やいだ雰囲気の子として見ていたが、貧しさをさらけ出せたことで初めて和子の真の姿を見つめられるようになったから。

【採点基準】
1(「拓也の知っていた和子」についての説明)
A 自分の貧しさを知られたくない/縫ってあるズックを知られたくない/見栄を張りたいと思わされる …③点
B 華やいだ雰囲気の子/裕福な和子 …②点

2(1とは「ちがっているように思えた」の解釈)
初めて和子の真の姿を見つめられるようになった/ありのままの和子を見ることができた/素直な思いで和子を見れるようになった …⑤点

3(2のきっかけ)
貧しさをさらけ出せた/ボロのズックを差し出せた/古いズックを見せることができた …⑤点

二 問二 12点満点

【解答例】みんながするから就職して、よく考えずに意味のない努力をしながら、考えて行動することで出世していく人(に嫉妬しているということ。)

【採点基準】
1(「定置網にはまり」の言いかえ)
みんながするから就職し/深く考えることなく仕事に就き …④点
※「就職し」「仕事に就き」という内容のみの場合には、2点だけ与える。
※受動的な姿勢で職に就くことが説明できていればOK。

2(「うさぎ跳びをしながら」の言いかえ)
よく考えずに意味のない努力をしながら/周りに合わせて無駄なことに労力を注ぎ …④点
※「よく考えずに」「周りに合わせて」という内容がないと、2点減点。

3(「出る杭」の言いかえ)
考えて行動することで出世していく人/自ら考える成功者/人と違うことをして活躍する人 …④点
※「考えて行動することで」「自ら考える」「人と違うことをして」という内容がないと、2点減点。

二 問三 10点満点 文末は「から」

【解答例】時代が移り変わっていることに無自覚なので、かつて成功したやり方が現在でも有効だと思っているから。

【採点基準】
1(「かつて大量に魚が捕れた漁場に向かってしまう」についての説明)
かつて成功した同じやり方が現在でも有効だと思っている/過去の成功を過信してしまう/かつての成功体験にこだわる …⑥点
※「成功」という内容がないと、2点減点。
※漁や漁場の話題に終始している解答は、2点のみ与える。
→(例)かつて豊漁に恵まれた漁場に今も期待できる思い込んでいる …2点
→(例)かつての漁場に今も期待できる思い込んでいる …0点

2(1の理由)
時代が移り変わっていることに無自覚なので/思考停止 …④点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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