２０１８年　【駒場東邦中】国語記述問題　採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは１点減点。

●誤字脱字はその都度１点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは１点のみ減点する。

●句点なしは１点減点。

問四　１０点満点

【解答例】中野を殺すことへの恐怖と緊張で何も考えられずにいたが、だんだんと落ち着きを取り戻してきている。

【採点基準】
１（「このときの正雄の状態」の説明）
落ち着きを取り戻した／冷静さを取り戻してきている　…⑤点

２（「さっきまで真っ白だった頭の中」の解釈）
何も考えられずにいた／我を忘れていた　…③点

３（２の理由）
中野を殺すことへの恐怖と緊張　…②点
※「緊張」はなくてもＯＫ。

問八　８点満点

【解答例】人を殺すという考えを捨てさせ、自分とむーさんのつながりを感じさせる（ものになった。）

【採点基準】
１　人を殺すという考えを捨てさせる／人を刺すために包丁を持ち出した自分を反省させる　…⑥点

２　自分とむーさんのつながりを感じさせる／むーさんを思い起こさせる　…②点

問十　１１点満点　文末は「から」

【解答例】母に裏切られたことへの怒りと、自分を支えてくれているのはむーさんだと改めて思ったことから、母への未練を断ち切り、これからもむーさんたちと生活していこうと決心し直したから。

【採点基準】
１（心情）
Ａ　母への未練を断ち切ろう／母への思いを振り切ろう　…③点
Ｂ　これからもむーさんたちと生活していこう／自立していこう　…③点

２（１のように思った理由）
Ａ　母に裏切られたことへの怒り　…②点
Ｂ　自分を支えてくれているのはむーさんだと改めて思った　…③点

問十二　１２点満点　文末は「から」

【解答例】一茶の句は、十五歳の時に奉公に出され、一晩中寝ずに自分のことに想いを馳せた自らの寂しい境遇を詠んだものだが、それが両親に捨てられ、夜眠れずにこれからの将来のことに想いを馳せている年齢も近い正雄の境遇と重なったから。

【採点基準】
１（「寒き夜や我身をわれが不寐番」の句の内容の説明）
十五歳の時に奉公に出され、一晩中寝ずに自分のことに想いを馳せた一茶の寂しい境遇を詠んだもの　…⑤点
※「奉公に出された（親に追い払われた）」という内容がないと、２点減点。
※「一晩中寝ずに自分のことに想いを馳せた」という内容がないと、２点減点。

２（正雄の心境）
両親に捨てられ、夜眠れずにこれからの将来のことに想いを馳せている　…⑤点
※「両親に捨てられた」という内容がないと、２点減点。
※「夜眠れずに」という内容がないと、２点減点。
※１２のどちらかに「寂しい」という内容がないと、２点減点。

３　１に２が（２が１に）重なった／１が２と（２と１が）同じだと思った　…②点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは１点減点。

●誤字脱字はその都度１点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは１点のみ減点する。

●句点なしは１点減点。

１つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、１点減点してください。

２つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度１点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは１回のみの減点で構いません。

３つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、１点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。（１０点満点）



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

１（きっかけ）

Ａ しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた／しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった　…②点

Ｂ　しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた／自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた　…②点

２（しずかちゃんについての説明） 好意を寄せている／好き　…③点

３（気持ち） うれしい／喜ぶ／幸せ　…③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、１点減点。


大きな解答要素は１・２・３の３つで、そのうち１はＡ・Ｂから成るので、実際には１Ａ・１Ｂ・２・３の４つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に　／　で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもＯＫなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう！

【答案例１】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例２】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例３】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例１】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の１Ａ②点＋「うれしかった」の３③点＝５点です。

【答案例２】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので１Ａ無得点＋「最高だった」は気持ちではないので３も無得点＝０点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、０点から減点することはできないので０点のままです。

【答案例３】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の１Ａ②点＋２③点－「しずかちゃん」がないことによる１点減点＝４点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、３の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください！
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。