見出し画像

2013年 【麻布中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

問四 4点満点 文末は「こと」

【解答例】長崎さんの話をきちんと聞かず、あらかじめ組み立てた話の通りになるように都合よく記事を書いていったこと。

【採点基準】
1(一線①から読み取れること)
長崎さんの話をきちんと聞かずに書いた …②点

2(一線③から読み取れること)
あらかじめ組み立てた話の通りになるように書いた/イメージしていた記事の通りになるように書いた …②点

問五 4点満点

【解答例】日常の他愛もなくほほえましい話が読者に喜ばれるだけでなく、記事になったものが当事者にも喜ばれるというもの。

【採点基準】
1(記事の内容)
日常のほほえましい話を記事にできた/ユーモアとぬくもりの混在するいい話になった …②点

2(1の結果A)
読者に喜んでもらえる …①点

3(1の結果B)
当事者に喜んでもらえる/長崎さんに満足してもらえる …①点

問六 4点満点 文末は「から」

【解答例】カメがもらわれていった時、長崎さんも喜んだとばかり思っていたのに、実際はそうではなかったと知ったから。

【採点基準】
1(きっかけ)
カメがもらわれていった時の長崎さんは喜んだわけではなかったと知った/カメを手離した長崎さんは落ち込んでいたと主婦に知らされた …②点

2(背景)
カメがもらわれていった時の長崎さんは喜んだとばかり思っていた/カメを手離した長崎さんは安心できたとばかり思っていた  …②点

問七(1)4点満点 文末は「こと」

【解答例】子供たちの母親の反発があってカメを手放した上に、かわいがっていた亮くんも引っ越してしまってからは生活の張りを失い、半年ほど前に孤独死したこと。

【採点基準】
1(出来事A)
子供たちの母親の反発があってカメを手放した/子供たちのお母さんのあいだで問題にされ、カメをもらってもらうことにした …①点

2(出来事B)
亮くんが引っ越してしまった …①点

3(1・2によって長崎さんが受けた影響)
生活の張りを失った/落ちこんだ …①点

4(1〜3が原因と思われる、半年ほど前に長崎さんに起きた出来事)
死/孤独死 …①点

問七(2)4点満点 文末は「こと」

【解答例】学校でいじめにあっていた中、カメがいた間は長崎さんの家で他の子供たちと仲良くできていたが、カメもいなくなり、3か月後に鹿児島に引っこしていったこと。

【採点基準】
1(事実A)
学校でいじめにあっていた …①点

2(事実B)
カメがいた間は長崎さんの家で他の子供たちと仲良くできていた/長崎さんの家でカメの世話をしているときだけは他の友達と仲良くやっていた …②点

3(事実C)
カメがいなくなって3か月後に鹿児島に引っこしていった/ずいぶん前に引っ越してしまった …①点

問九 4点満点 文末は「から」

【解答例】ひとりぼっちで川岸を歩いていたガメラが、学校でいじめられていることで友達がいない自分と重なったから。

【採点基準】
1(ガメラの様子)
ひとりぼっちでいた …①点

2(「亮くん」がどのような子供だったのか)
A いじめられている …①点
B 友達がいない/孤独だった …①点

3(1・2が要因となった結果)
ガメラが自分と重なった/ガメラを見ていると、まるで自分を見ているようだった …①点

問十 4点満点 文末は「思い」

【解答例】亮くんを明るくさせ、一人でさびしい生活を送っていた自分にも、多くの子供たちと過ごすにぎやかで楽しい時間をもたらしてくれたガメラに感謝する思い。

【採点基準】
1(ガメラへの思い)
感謝 …①点

2(1の理由として、「カメが私を竜宮城へ連れて行ってくれた」の解釈)
ガメラが楽しい時間をもたらしてくれた/ガメラが幸せなひと時を与えてくれた …①点

3(2の具体的な内容)
A 亮くんを明るくさせてくれた/亮くんに友達ができた …①点
B 多くの子供たちとにぎやかに過ごせた/子供たちの笑い声に包まれた過ごせた …①点

問十一(1)4点満点

【解答例】ガメラが新しい場所でも元気でいることを願う長崎さんの愛情。

【採点基準】
※他にも「新しい飼い主のもとでガメラが元気でいることへの願いとして理解していた」等、ガメラに対する長崎さんのあたたかい思いが読み取れれば4点満点与えてOK。

問十一(2)4点満点 文末は「思い」

【解答例】鹿児島に引っ越した亮くんが友達にめぐまれ、健やかに成長していることを願う思い。

【採点基準】
※亮くんに対する長崎さんのあたたかい思いが読み取れれば4点満点与えてOKだが、「亮くんがたくさん食べていることを願う」等、食べることに限定した答案は、2点のみ与える。

問十二 6点満点

【解答例】内気で泣き虫で自分を頼ってくれる亮くんは孫が幼かったころとよく似ていた。夫に先立たれて一人むすこも孫と一緒にアメリカに移住してしまった長崎さんにとって、亮くんは成長を見守る中で一人暮らしのさびしさを埋めてくれ、ガメラも連れてきてくれたことでにぎやかで幸せな時間をもたらしてくれた子供だった。

【採点基準】
1(「どのような子供だった」かの説明A)
孫が幼かったころと似ていた/孫を思い出させた/まるで孫のようだった …①点

2(1の理由として、亮くんの説明)
内気/泣き虫/自分を頼ってくれる/自分になついてくれた …①点

3(「どのような子供だった」かの説明B)
幸せな時間をもたらしてくれた/人生の最後に楽しみを与えてくれた …②点
※ 「さびしさを埋めてくれた」のみの場合は、3の要素から1点減点。単にマイナスをゼロにしてくれただけでなく、プラスを与えてくれたというニュアンスの説明が欲しい。

4(3の前提として、長崎さんの境遇)
一人むすこも孫と一緒にアメリカに移住してしまった …①点
※「夫に先立たれた」のみの場合は、4の要素が無得点。

5(3の要因として、亮くんとの関わり)
成長を身守る/愛情をもって接する …①点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?