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2020年 【武蔵中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

問一 10点満点  文末は「から」

【解答例】母が死んで以降、人生がつまらないものになってしまったので、読みたい本も特になかったから。

【採点基準】
1(直接的な理由)
読みたい本がなかった/本に対して興味をなくしてしまった …④点

2(背景的な出来事)
A 母の死 …③点
B(2Aの結果)人生がつまらないものになってしまった/生活に張りがなくなった/日常が味気なくなった …③点
※「生きる気力を失った/人生に絶望した」等、傍線を含む段落の次の段落を誤読している解答は、2Bの要素が無得点。

問二 10点満点  文末は「から」

【解答例】彼女が見ていた本を自分が手にしているところを見られると、自分が彼女に心惹かれていることがわかってしまうから。

【採点基準】
1 彼女に心惹かれていることがわかってしまう/彼女を気にしていることが知られてしまう …⑥点

2(何を「持っている」のか?)
彼女が見ていた本/彼女が手にしていただろう本 …④点
※「彼女が見ていた本を持っている/彼女が手にしていただろう本を探している」ことが読み取れれば、2の要素として4点満点与える。

問三 12点満点  文末は「こと」

【解答例】昨日本屋の前にいたことについて上別府に聞かれ、中村さんといたことを案の定からかわれそうだということ。

【採点基準】
1(「面倒くさいこと」の説明)
A 昨日本屋の前にいたことについて上別府に聞かれた/商店街を中村さんと歩いていたのを見られた翌日に呼び止められた …④点
B 中村さんといたことをからかわれそうだ/ひやかされそうだ …⑤点
※「からかわれそうだ/ひやかされそうだ」という予想としてではなく、「からかわれた/ひやかされた」等、事実として書いている場合には、1Bの要素が無得点。
※1の要素全体を通して、「中村さんと(いた)」がないと、2点減点。
※「中村さん」は「女の子」でも「彼女」でもOK。

2(「やっぱり」のニュアンス)
案の定/思っていた通り …③点

問四 12点満点  文末は「から」

【解答例】一緒にはいなかったなどと嘘を言ってしまうと、自分が心惹かれている中村さんはまるで一緒にいるのが迷惑な人だということになってしまい、中村さんに申し訳ないから。

【採点基準】
1(「堂々と」のここでの意味)
一緒にはいなかったなどと嘘を言うと/中村さんと一緒にいたことを正直に言わないと …④点
※「堂々としない」・「堂々とする」、いずれの方向から書いてもOK。

2( 「彼女」について)
心惹かれている/本を読むことの楽しさを思い出させてくれた …②点

3(なぜ「悪い」のか)
中村さんはまるで一緒にいるのが迷惑な人だということになってしまう/中村さんの存在を否定することになってしまう …④点

4(「悪い」につながる心情)
申し訳ない/気がとがめた/うしろめたい …②点

※「中村さん」は「彼女」でもOK。

問六 12点満点  文末は「気持ち」

【解答例】球技大会の後、バレーボールの技術をチームのみんなに口々にほめられたことで、今まで馴染めずにいた新天地で自分が受け入れられたように思い、喜んでいるとともに照れくさい気持ち。

【採点基準】
1(周囲との今までの関係について)
馴染めずにいた/孤独だった …③点

2(きっかけ)
バレーボールの技術をチームのみんなにほめられた/みんなから球技大会のことでほめられた …③点

3(「僕」にとっての2の意味)
新天地で受け入れられたように思った/居場所を見つけられた気がした/認めてもらえたようだ …②点

4(気持ち)
A 喜ぶ/うれしい …②点
B 照れくさい/はずかしい …②点

問七 15点満点

【解答例】母が亡くなってから毎日がつまらないものとなり、以前は好きだった本からも遠ざかっていたが、彼女のすすめてくれた本が「僕」を再び本屋へと向かわせ、上別府とつながるきっかりを作った。それにより、馴染めずにいた新天地で同級生たちとも仲良くなることができ、毎日が充実した楽しいものとなった。

【採点基準】
1(変化前)
母が亡くなってから毎日がつまらないものとなっていた/母の死により生活に張りがなくなっていた …④点
※「母の死」という内容がないと、1点減点。

2(変化のきっかけとして「彼女のすすめてくれた本」について)
A 「僕」を再び本屋へと向かわせた/本を読む楽しさを思い出させた …③点
B 上別府とつながるきっかりを作った/友人の輪が広がった …④点

3(変化後)
毎日が充実するようになった/楽しい日々を過ごせるようになった …④点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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