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2021年 【駒場東邦中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

問四 5点満点 文末は「こと」

【解答例】PTAに訴えること。

【採点基準】PTAに訴えること …⑤点

問五 10点満点 文末は「から」

【解答例】校長先生が卒業したはずの秀一の話しかしないことから、一将や将人を軽んじているように思い、怒りを覚えたから。

【採点基準】
1(心情)
怒り/不満/反発 …②点

2(1の理由)
A(校長先生が)卒業したはずの秀一の話しかしない/秀一のことばかり褒める …④点
B(Aで思ったこと)一将や将人を軽んじているようだ/次男や三男がないがしろにされているようだ/一将や将人に関心がないようだ …④点

問八 10点満点

【解答例】具合が悪い将人を一人で家に置いてきたことに加えて、仕事にまで行こうとしている自分が責められている(ようにも感じた。)

【採点基準】
1(――線⑥直前の「~ことまで」の前提)
具合が悪い将人を一人で家に置いてきた(自分が責められている)/腹痛の息子を家で一人にしてきた(ことを非難されている) …⑤点
※「具合が悪い」「腹痛の」という内容がないと、2点減点。

2(――線⑥直前の「~ことまで」の意味)
(1に加えて)仕事にまで行こうとしている(自分が責められている) …⑤点

問十一 15点満点 文末は「から」

【解答例】今までは学校に行くのは当然のことだと考えていたが、学校での出来事が原因で将人が自分を否定するようになってしまったうえに、先生やPTAに話しても真剣に考えてもらえないことから、それならば自分が将人を守りたいと思うようになったから。

【採点基準】
1(今までの祥子の考え方)
学校に行くのは当然のことだ …②点

2(祥子の考え方の変化のきっかけ)
A 将人が学校に行くことでつらい思いをしている/将人が先生から責められたことで自信を失ってしまった/学校での出来事が原因で将人が自分を否定するようになってしまった …⑤点
※「学校が将人に悪影響を与える」という内容が読み取れればOK。
B 先生やPTAに訴えても改善されそうにない/先生やPTAに話しても真剣に考えてもらえない …③点
※「学校やPTAの対応への不信感」が読み取れればOK。

3(「もう学校に行かなくてもいい」と言う祥子の思い)
将人の気を楽にしてあげたい/自分は将人の味方だと伝えたい/将人を守りたい …⑤点
※「学校に行く(=行かせる)ことに対して疑問に思うようになった」という方向性の解答は2点のみ与える。

問十二 10点満点 文末は「様子」

【解答例】学校でつらい出来事があり自信を失っていたが、母親に自分を肯定してもらえたことで、前向きさを取り戻した様子。

【採点基準】
1(「どんよりしていた目」の解釈)
自信を失っていた/傷ついていた/失望していた …②点

2(「目には光が戻り、冬眠から覚めたカメみたいに活き活きしている」の解釈)
自信(=前向きさ/元気/希望)を取り戻した …④点

3(2のきっかけ)
母親に自分を肯定してもらえた/母親から自分の存在を認められた/母親に味方してもらえた …④点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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