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『女が国家を裏切るとき』第Ⅲ部レジュメ

第7章 少女たちの絆

『花物語』の感傷の内実=<喪失>の痛み

必ず喪失されるもの、またいつかは喪いその後二度と回復できないものとして語られる。

『花物語』で描き続けられた少女の連帯、「レズビアン連続体」への夢想=〈花物語〉的なるもの。対義語「現実の黒い海」

友情は男性のもの? 『女の友情』

〈女の友情〉を阻むもの、潰えさせるものとしての結婚。

中心化されるのは夫婦の和睦であって、妻と外部との関係ではない。

『女の友情』が描いたのは、そのような現実に対する女性の連帯の可能性。

『女の友情』で描かれた異性愛は、他方で修道院に入ることを決意させる。この「修道院」に『花物語』以来の吉屋の少女的感傷の表象が継続。

『女の友情』は〈女の友情〉の可能性を世に知らしめたが、結局のところそれは現実から乖離した空間へと隔離されることに。


第8章 〈女の友情〉のゆくえ

『女の教室』 7人の〈グルッペ〉からなる若き女性医師たちの群像劇。

ハンセン氏病をメロドラマの引き立て役に。

「靖国神社」=有為子は一種の戦死扱い

陳鳳英=近代化された中国の象徴

有為子の死=同性愛の欲望の封印

あらゆる階層や差異を超えて女性たちは手を携えあうことができる=大東亜共栄圏の思想へ直結。

〈花物語〉的なるものの行方→その感傷ゆえに国家の欲望との用意な共謀

第9章 帝国の〈非国民〉たち

一葉の作品に出てくる男性たち→破滅

吉屋信子の戦時下に書かれた小説の男→去勢された男性

戦前・戦時を通じて、吉屋作品において理想とされる男性像が、国家の側からは理想の男なりえないことは、吉屋の文学が本質的に〈男性性〉と相容れないことを証している。

                      レジュメ作成:柳ヶ瀬舞

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