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「いつも春先は失敗しちゃうの」
ドライブの帰り道
肌寒くなった風に
腕を伸ばして彼女は言った
「やったぁー!春だー
あったかいー!」って
「薄着になりたくなっちゃうの」
「それで、寒くなっちゃう」
「毎年、おなじ失敗」
白の薄いシャツと
デニムのスカート
ショートの髪に
黒いピアス
ぼくを見て
「ニッ」と笑う
冷たくなった
彼女の手に
ぼくは左手をそえた
そっと
「ねえ、また春がきた」
きみが死んじまってから
もう何回目の春だろね
夕焼けの空は
同じように
薄くけむっているよ
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