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Who am I②

(つづき)

未知なる単語を覚え続け、
2級テキスト内の文法をさらい
確実にパワーアップしたであろう私は
初見でこてんぱんにされた2級の練習問題に
再挑戦してみた。


が、
結果は惨敗。


はぁああああああああ?



かつてないほどの大きなため息を吐き
軽い絶望感で涙目になりながらも
とりあえず脳内緊急会議。


~脳内~

A「どうする?もうやめる?無理じゃん」
B「単語の暗記は頑張ってたよな。単語はな」
C「大体さ、いきなり2級だなんて身の程知らずすぎ」
A「それな。やめよやめよ。どうせ無理」
B「え?やめるの?単語の丸暗記が出来たなら
文法だってその気になればできるでしょ」
C「ぬるいんだよ、最初からやれよ」
D「・・好きなんだよなぁ!!
すらすら解けるあの感覚・・・・!」
A「あ?解けねーっつってんだろ!!」
D「あーそっか!じゃあさ!じゃあさ!
一つ下げてみるのは???準2級!!どう??」




プライドが高い私にとって
一度設定した目標を変えることは
とても許しがたいことだったが
結論から言うと準2級は
ものすごく楽しかった。


2級は全く歯が立たなかったが
準2級は懸命に頑張れば習得できる余裕がある。




絶対に韓国語でしか会話をしてはならない
という規則があった学生時代は
在日特有のデタラメ言葉だったにしても
韓国語がとても身近にあったが

社会人になると
韓国語はどんどん遠のいていき
年々、手の平から零れ落ちていった。

それが
身の丈にあった勉強を続けることで
また自分の元へ戻ってくる感覚。


楽しくて嬉しくて夢中になった。


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思い出した。
国語が大好きだった自分のこと。



(楽しいな。
検定に向けての勉強もいいけど
このままのんびりと
韓国語の海の中を漂っていたいなあ)



そんなことをぼんやり考えて
ハッとした。


((自由に漂っていたらいいんじゃない?
楽しいと思うその感情を忘れないで))


…そうか。

それもそうだな…。



それからの私は
韓国語書籍(主にエッセイ)を読むようになった。

「勉強」という枠に囚われず
好奇心を最大のエネルギー源にして
長く長く韓国語を好きでいるために。

(もちろんわからない単語もまだまだあるので
時折、意味を調べたりしながらだけど)



~脳内井戸場端会議~

A「ていうかBTSの韓国語は聞き取れるようになったのか?」
B「なんかメンバーの韓国語の癖を分析したり
バラエティーを字幕なしで見て耳を鍛えようとはしてるね」
A「それは勉強にかこつけた推し事なだけではなくて?w」
B「…否定できない」
A「なんだよw推し見て喜んでるだけじゃねーかw」
B「でもこないだリスニングテストみたいなこともやってたよ。メンバーの韓国語を文字として書き出してさ」
C「それで効果は?」
B「最初の頃に比べると随分聞き取れるようにはなったみたいだね」
D「オタクつえぇええええ!推しに感謝じゃん!!!」


あっ。

念のために言っておきますが
検定は諦めたわけではありません。
私はプライドが高いので
どんな状況だろうと有言不実行は許せないのです。
なので受けます。必ず
※記憶力がいい方、覚えておいて!



ここで少し衝撃的なカミングアウト。


Twitterには
私と同じような立場の人、
つまり在日コリアンがたくさんいる。
それはもちろんarmyの中にも。

同胞たちの存在は心強く励みになる

という人も多いだろうが
私は彼らの存在が怖かった。


率直に言うと
関わりたくなかった。

一番の理由は
差別を受ける側=当事者
という共通がある以上、心がかき乱されそうだから。

彼らの葛藤や痛みがわかるからこそ
この先、楽しく推し事をするうえで
妨げになることが予想される。



だから当然


避けた。




BTSにハマって1か月が経った頃、
Twitterでこのようなリプを頂いた。

「ジミンちゃんは反日なの?😢
原爆Tシャツのことを知ってしまって・・。
推しのことを信じたいのに
ネットを見ても否定的なことばかりで辛い・・。
こんなことを考えるなんてファン失格だよね・・。
でも不安で・・」



私はTwitterでも
在日コリアンだということを明かしているので
私に訊いたら心が晴れるかもしれないと
すがるように尋ねてきたのだろう。


でも私の答えは
今思えば筋違いなものだった。

「世界を股にかけて活躍してるアーティストが
そんなつまらないことをすると思う?
きっと理由があるんだよ。信じようよ」



彼女は、その場しのぎの回答しかできなかった私に
丁寧なお礼とポジティブな言葉を残したが
「その理由」を知ることが出来ず
私に失望したことだろう。
そしてきっと
私を通して推しにも。




私は説明をしなかったんじゃない。
説明ができなかった。


「差別」「反日」「嫌韓」「ヘイト」


これらの言葉に触れるのが
怖かった。


自身が傷つかないように
固く閉じていた心の蓋が
いとも簡単に開きそうで




BTSと出会ったことで
私が感じた最大の衝撃は
彼らが社会に向けて
様々なメッセージを発しつつ
誰かにとっての防弾として
絶えず戦っているということ。

そして
それに感化されたarmyたちもまた
彼らと同じように声をあげるということ。

私は日本に住んでいるので
やっぱり気になるのが
イルアミ(日本のarmy)の存在。


私が見て触れた範囲では
イルアミは
ざっくり以下に分類される(と思っている)

反日でも推しが尊ければ問題ない
反日とかそもそも考えない。
歴史問題?難しそう。でも推しは好き。
周りが嫌韓で自分がBTSを推すことをよく思わない。
でも説得できない。もしくは説得しても火に油。
BTSを推すことに理解がある人達に囲まれている。
もしくは対話に成功した。
韓国(K‐POPやグルメ、韓ドラ、ファッション等)は好きだけど韓国側の歴史に関する主張は嫌いだ。
それは別だと思っている。
ちゃんと知りたい。
歴史も、彼らが抱えてるものも全て。
推しの背景を知り、深く理解することが
推しを真に愛するということ。
必要なら声だってあげるぜ!

という感じ。

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なので全ての人たちに
こちらの書籍を強くオススメしつつ
(原爆Tについても書かれていますよ)


ここでは⑥の、
ちゃんと理解したい。
そして共に声をあげるよ。

という層について取り上げたい。



BTSを通して
社会問題や世界情勢などが
たくさん目に飛び込んできたが
それは紛れもなく
私の人生に風穴を開ける出来事だった。


ジェンダー問題、人種差別、政治etc.

いつだって彼ら(彼女ら)は
正しく怒っていたし
正しさを求めていた。



「もしかしたら
傷つけるかもしれないけど
当事者でもある、
あなたの言葉を聞かせてほしい。
勉強はしたけど、きっと全然足りない。
だからちゃんと教えてほしいんだ。歴史のこと」






あまりにもまっすぐなその言葉は
私の心に深く突き刺さり
気づいたら
ポロポロ泣いていて。



なぜ涙が出るのかはわからなかったけど
泣けて泣けて仕方がなくて。


そしてその言葉を引き金に
心の蓋は開いてしまった。




当事者でもない方たちと分け合うだなんて
そんなことは不可能だと思っていたのに

彼らは私の心に寄り添って
いつだって真剣に耳を傾けてくれた。

怒りが悲しみを伴うということを
知っているからだろう。



感化され勇気づけられた私は
この頃からTwitterで
人権問題や社会問題について
声をあげだしたように思う。

共に戦ってくれる心強さが
私を変えたのだった。



私の人権問題や社会問題のツイートに
思いがけないリプが返ってきた当時の
衝撃は今でも鮮明に覚えている。


「救われました」
「共感しました」



それは
あれほど頑なに避けていた、
在日コリアンの方々だった。





早くなる鼓動を落ち着かせて
彼らと言葉を交わす。



彼らは
怒り、傷つき、
そして深い悲しみを負っていた。



そうか。


おなじだということを負担に思っていたが
いざ、おなじに触れてみると
どうしようもなくホッとした。

そしてすぐに打ち解けた。




在日コリアン達との会話は
立場、触れてきた文化の一致などから
私の魂を揺さぶるものがとても多く
ワクワクした。


「こんなの学校で習ってませんよねー」
「この朝鮮民謡好きなんです!」
「サムルノリって心に響きますよね・・!」

そんな他愛のない会話から
私たちを取り巻く情勢への怒り、
そして何よりも
傷ついた心を互いに癒し合ったりした。


いつも何かが足りない気がして
でもそれが何かわからなくて。


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■ Who am I 

私は在日コリアンだ。



幾度となく投げかけられる質問に
たった一度もまともに答えることができず
傷つくのを恐れ逃げてきた在日コリアンだ。


今思い返せば
本名を名乗り、
在日であることを明かす生き方は
私自身をかなり傷つけていたのだと思う。


在日だという看板を背負っていながらも
答えられないという自己嫌悪が私を苦しめ、
心に蓋をするきっかけを作ったからだ。



だけど。



BTSが戦い続け
それに続くarmyがいるならば
この先、何を恐れることがあるのか。



新しい世界を見せてくれて
考えるきっかけを与えてくれるBTSという存在は
【知識は自分自身を守る最大の武器になる】
ということを私に教えてくれた。



BTSは
いつも誰かの防弾であり続け
矢面に立って戦っている。


真実から目を背け
ただ守られるだけ


そんな関係を
美しいとは決して思わない。


だから
私はこれからも
声をあげ続け
知識を増やすことをやめない。



【バンタンをしった後に
その人がどうあるかが問われる】

これは
私が出会った素晴らしい友人(イルアミ)の言葉。



言語や文化、風習などを学ぶのも
アイデンティティーを刺激することだが
私は在日コリアンとしての魂を枯らさないこと、
真っ当に戦う強さを持って生きることを
アイデンティティーとして掲げる。



最後に、
私のコリアン魂を震わせた演奏動画をご紹介して
終わりにしますね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。





追伸。
検定は必ず合格してみせます。

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