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スター・ウォーズのスピンオフドラマ『マンダロリアン』が好きすぎてマンダロア飯を実際に作った話

はじめに

フォローしてくださっている方々はおおよそお察しかと思いますが、わたしは『マンダロリアン』というアメリカ発の海外ドラマが大好きです。
『マンダロリアン』とは、かの有名なSF映画シリーズ、スター・ウォーズのスピンオフドラマ。マンダロリアンと呼ばれる種族(正確には種族ではなく、民族でもなく、英語では”creed”と表現されるところの「惑星マンダロアを中心に活動する、戦士としての文化と教義に従う集団」を指し、たとえば養子縁組や入門によるものなど必ずしもマンダロア出身の者でなくてもマンダロリアンと名乗ることができますが、詳しい説明は割愛します)のひとりであり、賞金稼ぎを生業とする主人公マンドーが、請け負った仕事の賞金首だった赤子のエイリアン・通称ベビーヨーダ(注1)と出会い様々な出来事を通じて擬似親子の絆を結んでいく物語で、またの名をスペースオペラ版子連れ狼。面白いのでみんな見てくれ。

スター・ウォーズは、その礎となった映画本編のみならず、外伝扱いの単発映画やアニメーションシリーズ、『マンダロリアン』をはじめとするドラマ、コミック、小説、ゲームなど多岐にわたってのメディアミックスを展開しています。主要キャラクターは勿論のこと、画面の端で見切れている台詞すらないモブキャラクターにも種族名が付されその文化背景までもがしっかり考察されている、言ってしまえばちょっと怖いほどに作り込まれている類の作品群のひとつで、たとえばアメリカのディズニーランドには作品世界に連なる架空の街をそっくりそのまま組み立ててしまった特別なテーマランドがあったりするほどです。テーマランド内を歩いているだけで、不穏な動きがないか目を光らせるパトロール中の兵士とすれ違ったり、愛機の宇宙船を手入れするヒロインに出会えたり、自分だけのドロイドを組み立てて動かしたり、敵の目を掻い潜って辿り着いたアジトでライトセーバーを作る儀式へ密かに参加することだってできます。
遥か彼方の銀河系の、そのまたどこかの辺境でひっそりと息づく街ーーギャラクシーズ・エッジと呼ばれるこのテーマランドには、登場人物たちが作中で美味しそうに飲み食いしていた数々のメニューを味わうことが可能なレストランやバーも存在し、そうした店で実際に提供される食事やドリンクを参考にしたレシピ本も販売されています。冒頭で紹介したマンダロリアンにおいても、スパイスを使った料理を好むという描写が作品群の中で登場することがスター・ウォーズの熱心なファンたちの間ではよく知られていますが、その設定に着想を得たメニューもいくつか掲載されており、ファンとしては「解像度爆上がりするわ、めっちゃ助かる〜」としか言いようがありません。
わたしは数年前に念願叶って訪れたギャラクシーズ・エッジにて3杯目のブルーミルク(注2)をガブ飲みしながらレシピブックを買うか買うまいか悩み、結局「重たいからやだ」という理由で割とあっさりやめたのですが、後日マンダロリアンシチューなる品のレシピが載っていると海外の友人に聞かされ、現地で購入しなかったことを心底後悔しながら地獄の円ドルレートと新たに加算される手数料および配送料の高額っぷりをグッと飲み込んで通販しました。

注1 ベビーヨーダ:エピソード5『帝国の逆襲』ならびにエピソード6『ジェダイの帰還』で登場し主人公ルーク・スカイウォーカーのメンター的役割を果たす、ヨーダという名の長老と同じ種族の子どもであることからファンの間で呼ばれるようになった、赤ちゃんエイリアンの愛称。本名は別途ちゃんとあります。
注2 ブルーミルク:エピソード4『新たなる希望』でルークが暮らす家の食卓に登場する、うっすら青みがかったミルクのこと。よくネタにされる。

通販をキメてから数年経ち、なぜ今になって、という話ですが、ひとつは今年頭に放映された『ブック・オブ・ボバ・フェット』という同じくスター・ウォーズのスピンオフドラマにて、突如予告なく登場したマンドーさん周りのエピソードが最の高すぎたこと。あの頃のわたしはそりゃあもうテンション高かった。で、陽気なオタクは妄言を吐きがちなので、早速「マンダロリアンのコラボカフェがあったらさ〜」とありもしない夢を見始めたわけです。実際のところ、スター・ウォーズのいわゆるコラボカフェは映画の封切りに併せて開催されたことが過去ありましたがそうした大々的なタイミングならまだしも、有料配信サービスでしか見られない、かつ視聴に際してある程度本編の知識が必要と捉えられがちな、一見さんに優しくなさそうな仕様(初見の方でも十分楽しめるよう作られているとは思いますが、本編知識の有無により没入度合いが左右されることには違いありません)のドラマのためにコラボカフェをやってくれるはずもなく。いややってくれてもいいのよ。
まあそれを分かっているから好き勝手言えるのですが…、ともあれコラボカフェができるならメニューには絶対シチューあるよね、本編でベビーヨーダが食べてた青いクッキーもあるに決まってるし物販には当然ベビーヨーダのグッズが大量に並ぶでしょ、ブラインドのアクキーのシークレットはやっぱあのキャラだよね〜、などとあれこれ言いました。自分で飯も作って写真撮ってカフェメニューにして全部並べたら実質マンダロリアンカフェじゃん!というやつです。
言うだけならタダなので、勢いに任せてこういうことを言いがちなのが世の常。しかし当時のわたしは繰り返しますがテンションが高く、さらには実現に手を貸してくれそうな、もとい面白がって乗ってくれそうな方に心当たりがありました。こういう場合、ハッと気付いたときにはもうあらかた状況が整っているのもまた世の常で、面白がって乗ってくれそうな方その1はこちらから打診する前に話を振ってくださり、面白がって乗ってくれそうな方その2も前のめり気味で快諾してくださいました。お二人のことには次項で改めて触れますが、改めて御礼申し上げます。あとわたしの妄言ツイートにいいねしてくださったり、個人的に「楽しそう!」と言ってくださった方々もありがとうございました。都合のいいように後押しと解釈して、おかげさまで実行しちゃいました。えへ。

協力くださった方々

面白がって乗ってくれそうな方その1には、撮影をお願いしました。わたしもカメラ好きなので自分で撮る選択肢もなくはなかったのですが、第一に彼女は飲食店のメニュー撮影を手伝った経験があり、また趣味でお菓子や食品の写真をよく撮っているのを把握していたのと、加えてドラマ未視聴にも関わらずわたしのトンチキ撮影会 〜ベビーヨーダさんの1/1サイズフィギュアを添えて〜 に以前より付き合ってくださっていて、正直なところ日程以外の理由で断られるとは思ってなかったです(初対面でいきなりベビーヨーダの巨大フィギュア持参して「この謎生物の写真撮ってほしい」と言い出したわたしに乗っかって、それに懲りずいまだに仲良くしてくれている時点ですごい)。
面白がって乗ってくれそうな方その2は、今のツイッターアカウントを作って比較的早い段階から存じていた仲の良いフォロワーさんのひとりで、元々の出会いこそそれが理由ではありませんでしたが、めちゃかわイラストを生み出す絵師でもあり、コラボカフェつったらアクスタっしょ〜というわたしのオタク発想に応えてアクスタの元絵を描いてくださいました。撮影当日もあれこれ手伝ってくださって感謝です。ミキサーがご自宅で活躍されることを祈っています。それと色見本の参考でクレヨンしんちゃんのイラスト送られてきたときはあまりにもらしすぎて笑いました。

かっこいいよ!

当日お手伝いくださったお二方とは別に、ちょっと楽しくなってしまい架空のグッズを己で刷って作るなどしたのですが、アイロンでプレスしても銀箔全然付かないよ〜!と悲しくなっていた際にたくさんアドバイスしてくださったスター・ウォーズ好きのおねえさんにも改めて御礼申し上げたいです。コンセプトをぶっちゃけても引かずにむしろノリノリでサポートしていただけた、あのときの子たちがこんなに立派になりました。今度また遊びに行きます。

作ったメニューとレシピ

レシピにまつわる雑記

  • 基本的には、先述のレシピブックを参照しました。ご興味ある方は是非見ていただけたらと思いますが、ブルーミルクをはじめとする作中で登場するものから「ムスタファーの溶岩パン」のように作品場面より発想を得たものまで多岐にわたります。スター・ウォーズが好きなら、眺めているだけでも楽しい一冊です。

  • マンダロリアン飯みたいなの作ってみようかなと思ってるんだよね〜という話をアメリカ人の友人にしたところ、ガチオタであらせられるところの友人が「前にスター・ウォーズ縛りのホームパーティーをしたことある」と当時のレシピやアイデア、参考になるブログなどの情報を大量に提供してくれました。洋画界隈の片隅に棲息しているとつくづく実感しますが、持つべきものはアメリカ在住の英語話者な友人です(わたしも英語はできますが、こと情報の速さと濃さにおいてはやはり現地在住には敵わないので)。

  • レシピを一から十まで書き記すと特にレシピブックやブログ準拠のものは転載になってしまうため詳述はしませんが、おおよその材料と工夫した点、苦労した点などを以下にまとめておきます。全体を通じて言えることとして、情報源がアメリカであるがゆえに日本で揃えるのに苦労する、あるいは難しい食材などもありました。そこは適宜代替品で置き換えるので良いでしょうし、ちょっといいスーパーに行けばほぼ手に入ったので何とかなるとも思います。成城石井と紀ノ国屋とビオスーパーが近所になければ多分諦めてた。
    レシピの詳細をお知りになりたいという方は是非ご連絡ください。

  • そして、そもそもの話ですが、レシピの和訳が工程としてどうしても発生します。ここが億劫だと感じられる方もおられるでしょうが、レシピの英文はかなり単純。見覚えない食材名はググれば画像付きで教えてくれるし、温度や時間は見たままの数字だし、読み解くのにベースとなる単語(混ぜる、加熱する、焼く等々)さえ頭に入れば楽勝です。計量時に日米の単位規格の差を考慮しなければならない点だけ要注意。

  • 以下余談。
    メニューを決めたあとで思い出したのですが、ギャラクシーズ・エッジへ行った際、シリーズ9作目の映画『スカイウォーカーの夜明け』がちょうど公開される時期だったのもあって、Star Wars Galactic Dessert Partyなる特別イベントが開催されていました。作品モチーフのデザートや軽食、ドリンクが並ぶビュッフェ会場へご招待+ベイダー卿との待ち時間なしグリーティング+プロジェクションマッピングショーの最前列ご案内(しかも道中はストームトルーパーが先導してくれる)という内容でこれは楽しそう!と迷わず参加したのですが、このときのメニューを参考にしたら諸々一発で解決したんじゃないかと後々ひとりで反省することに。ビュッフェ会場で隣の席になったアメリカンマダムと「ケノービはいいぞ」で1時間ごはんそっちのけで盛り上がった記憶の方が強かったのが敗因だと思われます。それと、子どもがお皿ひっくり返しちゃったところにスッと現れて掃除のキャストが来るまで現場保全してたトルーパー、職務に真面目で好感が持てた。

選ばれしメニュー

●ブルーミルク
既出のアレ。噂のやつ。スター・ウォーズ好きなら大体知ってるし、色はやばそうだけどちょっと飲んでみたいなと思ってしまう魅惑のドリンク。
レシピを検討するにあたり、友人からの情報含め色々調べましたがおおよそ共通していたのが「スイカジュース入れろ」と「キウイも入れとけ」でした。
ギャラクシーズ・エッジでのブルーミルクは、わたしが訪れた当時は飲み歩き可能なちょっぴりフローズンっぽい舌触りのものと同エリア内のバーで提供しているモクテルアレンジ版の二種が提供されていました。前者に関してはオフィシャルにはレシピが出ていないこともあり、ブルーミルクを愛飲するファンたちが己の舌を頼りに材料をあれやこれやと考えたのでしょうが、キャストにまたかお前という顔をされながらめげずに3杯飲んだにも関わらず「う〜んなんかよく分かんないけどおいしいな?」で味レポ終了だったわたしに詳しい解析は到底無理というもの。幸い口にあったということぐらいしか分からないので、果物のジュース複数とココナッツミルク、ライスミルク、そして勧められたとおりキウイを投入して混ぜ、とろみを付けました(スイカが好きじゃないので気が進まなかったんだけど、スイカジュース入れる派が多数だったため日和った形)。当時の己のコメントを見返すと森永のラムネっぽい味!と言っていましたが、みんなが多種多様なフルーツを投入して複雑な甘味を再現しようとしているなかブドウ糖万歳ムーブをかましていた自分、単純でハッピーだなと思います。
しかしそんなわたしでもただの牛乳ではダメということぐらいはさすがに察しまして、上記のようにココナッツミルクとライスミルクを採用したのですが、手頃な量のこれらミルクを探すのが大変でした。業務サイズならアマゾンでも買えるけどそんなにいらんし…アーモンドやオーツであれば比較的入手しやすいように思いますが、風味が目立ちそうだなと考えてそれも見送りました。結局ヨーロッパ系のビオスーパーに小さいパックがあってめちゃ助かった。ココナッツミルクは缶の方が一層とろみ出ていいのかもしれない。ジュースはパイナップルやライチ、洋梨などのまろやか甘み系が良きです。
なおギャラクシーズ・エッジ版のものは賛否両論あるようで、あんまりおいしくないという方もいる様子。また現地ではラムの入ったアルコール版やグリーンミルクという亜種も存在しました。お酒入りの方は夏に飲むと良さそう。

ちなみに撮影当日、ブレンダーが動かないというまさかの事態が発生したためシェイカーで無理やり作りました。大事な腕を犠牲にしてシェイカー振ってくださった絵師に感謝です。最後の最後にあわあわしながら準備したせいで単品画像撮るの忘れちゃった。

手作業での努力の跡が垣間見える…ブレンダーめ……

●スポチュカ
ブルーミルクに輪をかけて青い外見の酒。言うてブルーミルクは「ミルク」なのでどうしたってマイルドな色味になりますが、スポチュカには一切の遠慮がありません。自然の摂理に反した見た目の飲食物を好むわたしとしては大変ウェルカムな飲みもの(ただしスター・ウォーズ世界においては青いエビのような生物を原料として醸造された酒らしく、れっきとした自然由来の色)。
アルコール分は入れずに今回作ったので、トニックウォーターにブルーキュラソーのシロップ、それだけだと甘いからレモネード足そうかな、という要領でしたが、お酒にしたければシロップではなくリキュールを入れるのがいいかも。

トニックウォーターに含まれる成分の関係でブラックライト当てると光るらしい

味はそれこそコラボカフェでよくお世話になっている感じのやつです。飲み慣れた味がするぞぉ!

●ベビーヨーダさん風飲みもの
ライムで尖った耳を、オリーブでつぶらな瞳を、それぞれ表現した緑色の飲みもの。これは海外ファンのアイデアで頻出だったので(分かる、シンプル・イズ・ベスト)ついでにやりました。
カクテルで作っているひとが多くて、グリーンティーリキュールやメロンリキュールが良いのではという話をしばしば見かけましたが、赤子がモチーフのメニューにお酒はちょっと解釈違いだなと感じたのとわたしがキウイジュース好きで飲みたかったのとでキウイベース+ライム少々の爽やかスタイルに。種に目を瞑れるならこれでいいと思います。いいということにしよう。種をあらかじめ取り除く労力をかけられる方は是非そうしていただきたいです。

いい感じ!かわいい!

これは絵師が作ってくださったのですが、オリーブがうまく刺さらない、ライムの耳を飾るのが大変、というコメントを頂きました。恐縮です……

●マンダロア風シチュー
上記のとおり、これは公式レシピ本に載っていたメニューです。
材料はじゃがいもやにんじん、たまねぎなどの我々もシチューによく入れる野菜類、鶏肉(もも肉、皮は取った方が食べやすい)、りんご、しょうが、水代わりにチキンブイヨン。味を整えるのに醤油と砂糖、塩胡椒、トマトペースト。シチューらしくとろみを出すために小麦粉も少しばかり入れると良いです。そしてカレー粉にガラムマサラ。案の定と言うべきか、スパイスの気配が濃い……
レシピ自体はまず肉をオリーブオイルとにんにく、おろししょうがで炒めて野菜とチキンブイヨンを投入し、調味料を足したところで30分ほど放置して煮込むだけなので簡単です。

スタジオにあったコンロの火力が強くて若干煮詰まり気味

これ、普通においしい。ちょっとスパイシーな野菜シチュー。
わたしは辛いものが好きなためスパイス多めにしました。また今回は省いたのですが、公式レシピではここにパールクスクスという、水分を含むとタピオカよりひと回り小さい程度のサイズになるクスクスを入れる仕様になっています。撮影前に一度試しで作った際はこのパールクスクスも投入しましたが、洋風おじや感覚でこれもまたおいしかったです。通常サイズのクスクスだと(入れる分量にもよるけど)水分すべて吸われてシチューどころか無限クスクス煮込み野菜添えと化す予感しかしないため、より主食風にしたい場合は、パールクスクスの代わりにいっそショートパスタや米を使うのもありかもしれません。

●マンダロア風ケーキ(Uj’alayi)
ウジャリーと読むらしい。少なくともわたしの友人はそう発音していた。マンダロア語難しいよ。
スピンオフ小説に登場する「ナッツやドライフルーツ、uj’ayl(uj'alayiはここから来ているんでしょうね)と呼ばれるスパイスたっぷりの甘いシロップを使って作られた、濃密でねっとりした口あたりの平たい形をしたケーキ」という描写が初出で、公式レシピ本に掲載されたものからファンが自身で考案したレシピまで様々存在します。公式レシピではドライフルーツやナッツの種類がきちんと指定されていましたが、ここで突然めんどくさがりを発揮したわたしは、レシピの末尾にそっと書き足されていた「色々書いてはみたけど、まあフィーリングで好きなナッツとフルーツを適当に選んでぶち込むんでOKっすよ(意訳)」に全力ベットして、家にあったドライフルーツとナッツをかき集めて入れました。加えて同居人の「ヌガーっぽいやつが食べたい」という要求も呑んで分量を適宜アレンジしたため、公式レシピと比較しての具材正答率は6割ぐらいだったかと思います。
シロップは、一応味だけは忠実に作りました。デーツシロップにはちみつ、胡椒、カレー粉、シナモン、ガラムマサラ、ナツメグ(本当はナツメグよりメースがよりいいらしい)。それからしょうが糖といういきなり難易度高めなものも材料に挙がっていましたが、これはたまたま自宅にありました。
個人的なこだわりとして、仕上がりが長方形になることからベスカー(注3)っぽくしたい気持ちがあり、銀箔貼ろうかな〜、さすがにやりすぎって言われるかな〜…と迷った挙句スプレータイプの銀粉を振りかけることに。別部屋でスプレーを噴射していたわたしをカメラマンと絵師が代わる代わる見に来て「うわ、見ちゃダメなやつだった…」とだけ言い残し回れ右していったのも過ぎてしまえば素敵な思い出です。

銀粉キレイだね

ヌガーを意識したらしっかりヌガーになった。
当初はブラウニー風に作るつもりでいたのですが、これはこれでおいしかったので大丈夫です。でも材料からも察せられるように、あまりにもカロリー爆弾で一気には食べられない。具沢山すぎるスニッカーズ。
煮詰めたシロップがかなりスパイシーで、実食した感想としては「あとから辛い」でした。シチューのおいしさでマンダロリアンと結婚した絵師がケーキで即離婚する程度には辛かった。マンダロアのひとたちマジでスパイシーな食べもの好きなんだね、ということがしみじみ分かる一品です。
それにしてもマンダロア、アニメ『クローン・ウォーズ』その他で見る限りめちゃくちゃ殺風景な惑星だけども、どういう流れを経て香辛料が多用される食文化になっていったのか一層気になりました。モロッカンコーヒーのような飲みものもあるみたい。地球の砂漠地帯と似たような理屈なのかな?教えてフィローニ先生。

注3 ベスカー:マンダロリアンがまとうアーマーやヘルメットなどの武具に多用される銀色の合金。ビームごときは勿論、ほぼ何でも切れるライトセーバーも弾き返すことができ、非常に高い強度を誇る。MCUで言うところのヴィブラニウムみたいなもの。
冒頭で記したように戦闘員の集団であるマンダロリアンにとっては、ベスカーならびにベスカー製アーマーはある意味神聖とも言えるものであり、しかしながらドラマ『マンダロリアン』の時系列においては、その多くを帝国軍に奪われたため残念ながらマンダロリアンにとってすらかなり貴重な資源となってしまった旨の描写があります。

●おまけのおやつ①:ライトセーバー風クラッカー
撮影前日におおよそのものを準備したのですが、親類の子どもがその日遊びに来ていて「ぼくもスター・ウォーズのお料理したい〜!」とのことだったので何品か一緒に作ってもらいました。
棒状のクラッカー(ヌテラアンドゴーのを使いました、ヌテラおいしいよね)に白のチョコペンを糊代わりで塗り、綿菓子用の色付きザラメを広げたクッキングシートの上でコロコロしてもらった。本当はクッキー用のアイシングで塗ったり描いたりしてライトセーバーを作る予定でしたが、お子が楽しそうだったのでこれで良かったなと思います。

お借りした皿の溝がいい感じです

●おまけのおやつ②:タピオカ入りゼリー
これも親類の子どもと作ったもの。ドラマ『マンダロリアン』でベビーヨーダさんが水槽に浮かぶ貴重なカエルの卵を無限回収もとい捕食する(そして少しばかり炎上した)くだりがあり、タピオカを卵に見立てるためこねて色を付けて丸めて茹でて…と粉から作りました。実際の卵はいくらのような色味でしたが、お子が色付けの工程にすぐ飽きてオレンジになる前に強制終了と相まったため赤みの足りない黄色い卵になりました。まあそういうこともあるよ。
わたしはゼラチンやアガーを使うおやつを頻繁に作る人間でして、したがってこれはもう習慣で仕上げたようなものです。土台用の固めな青いゼリーと、上に乗せる柔らかめのソーダゼリーを各々準備して、タピオカ入れて冷やしておしまい。ゼリーさんの、冷蔵庫に任せておけば大体整うところ、わたし好きよ。

整いました!

ベビーヨーダさんは独特な食の好みをお持ちであり、どうやら卵のみならず成体のカエルもいけちゃうようなので、カエルのグミにも参上してもらいました。

ハリボー謹製カエルグミ

●おまけのおやつ③:マカロン
作る時間がなくてこれは買ってきた。青いマカロン。

高級な味がします

ベビーヨーダさん、食への飽くなき追求心から、他の子どもが食べていた青いクッキーをフォースで引き寄せパクって自分のものにした前科を持っています(食い意地を張り過ぎたのもあってか、そのあと船酔いして吐く羽目になる)。食べかけたようにしたくて半分割っていたら「アッそういうことする?しちゃう?」とカメラマンに言われましたが、そういうのがあなたもわたしも好きじゃない?と心の中でウインク返しておきました。

カフェ飯っぽく撮影してもらった


レゴのミニフィグも持ってきたので一緒に撮ってもらった。ちいさないのち。
青マカロンを見つめるベビーヨーダさん。
ほぼ全員大集合!キャラ・デューンさんだけ持っていない(他意はない)
出番を待つベビーヨーダさん
捕食されそう…
食べものというよりは虚空を見つめている
悪ノリしてランチトートも作りました
マンドーさんのヘルメットの線を最終的にフリーハンドで描く羽目になりめちゃ大変だった

おわりに

このご時世、好きな作品の聖地巡礼をしたいけどなかなか行かれないという方もいらっしゃるでしょう。舞台が海外や架空の世界ならなおのこと。ご飯作るの、いいですよ。作中でみんなが食べているものを忠実に再現するもよし、舞台になった土地の郷土料理にチャレンジするもよし。追体験できるのっていいものだし、美味であればさらにハピネス指数が上昇すること請け合いです。
今回、予算を決めて料理に合いそうな食器を探し揃えたり、どこでどの食材が手に入りそうか地元のスーパーをはしごして下見しまくっていた間が楽しかったです。前日に鬼のようなスピードで料理をしていた最中という一番我に返ってはいけないタイミングで何度か「わたし何やってんだろ…」と正気になりかけましたが、それはそれ、盛って並べて照明の下に置いたらなんだかんだで映えるもので「良きかな…わたしも写真撮るわ……」とすぐに調子を取り戻しました。
ともあれ料理のレパートリーも増えていい経験になったことは間違いありません。次の機会があるとしたら、某ドラマで出てきたオレンジ40個ケーキも作りたいし、今回諦めた品含めてスター・ウォーズにも再挑戦したいし、あとはやはり我が洋画界最推しの男ことバッキー・バーンズの心を少しでも理解したいので、自作のケイジャンシュリンプとアイスクリームケーキ片手に颯爽とカメラの前に現れるのも捨て難いな…と思っています。どうぞよろしくお願いします。

すべての写真は成田さん(@NaritaYui)ありがとうございます!

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