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原田ひ香(1970- )『古本食堂』角川春樹事務所 2022.3  ハルキ文庫 2023.9

原田ひ香(1970- )
『古本食堂』
大塚文香・画
角川春樹事務所 2022.3
https://www.amazon.co.jp/dp/4758414165
2022年4月25日読了
ハルキ文庫 2023.9
https://www.amazon.co.jp/dp/475844594X

「本が好きだという想いは強いが、進路に悩む国文科の学生、美希喜。そんな時、大叔父の古書店を、彼の妹の珊瑚さんが継ぐことに。美希喜は珊瑚さんの手伝いをするようになり…。」

「かけがえのない人生と愛しい物語が出会う!
神保町の小さな古書店が舞台の絶品グルメ×優しい人間ドラマ

大ベストセラー『三千円の使いかた』『ランチ酒』の著者による熱望の長篇小説

美希喜(みきき)は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚(さんご)さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり……。

ランチョンのビール、笹巻けぬき寿司、ボンディのカレーなど神保町のおいしい食と、優しい人間関係と本の魅力が沢山つまった幸福な物語。
文庫化 巻末特別対談・片桐はいり×原田ひ香」
文庫化。


『ランティエ』
2021年5月号~10月号連載
「絶版食堂」
改題・加筆・修正

第一話 
『お弁当づくり ハッと驚く秘訣集』
小林カツ代著と
三百年前のお寿司
第二話 
『極限の民族』
本多勝一著と
日本一のビーフカレー
第三話 
『十七歳の地図』
橋口譲二著と
揚げたてピロシキ
第四話 
『お伽草子』と
あつあつカレーパン
第五話 
『馬車が買いたい!』
鹿島茂著と
池波正太郎が愛した焼きそば
最終話 
『輝く日の宮』
丸谷才一著と
文豪たちが愛したビール

丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
で始まり、終わる小説です。

「三冊二百円という安さ。
背表紙を見ただけで内容が次々と浮かび上がってくる。
角がこすれたクリスティ、
カバーがない丸谷才一
……どちらも読み始めたら夢中になってしまう名著だ。

なんだか、せつない気持になる。
こんないい本が、たった二百円で投げ売りされているなんて。
でもきっと、
丸谷才一先生はクリスティの隣にいることはそう嫌がらないだろう」
p.6
「第一話 『お弁当づくり ハッと驚く秘訣集』
小林カツ代著と三百年前のお寿司」

書名が明示されていませんけど、二人の読者であれば、
あれかなこれかな? と思うでしょうね。

「ピルスナーウルケルという生ビールをいただく。
ランチョンのメニューはなんでもおいしかった。
塩タンは軟らかくてビールによく合い、
ランチョン風ポテト料理はスープで煮たポトフのような一品。
なんとなく、ジャーマンポテト的なものを想像していたので
当てが外れたけど、優しい味でとてもおいしい。

「ランチョンは作家や著名人が愛した店なんですね。
吉田健一さん[1912.4.1-1977.8.3]や
丸谷才一さんもいらっしゃったと聞きました」

メンチカツにナイフを入れると、中から肉汁がこぼれ出た。
それを二人でシェアしながら食べるのは、大きな喜びだった。
肉と肉汁がぎっしり詰まったメンチカツを一口一口噛みしめながら、
その美味とこの時間、一瞬一瞬を記憶の中に閉じ込めておきたい
と思った。あたしの恋。たぶん、最後の。」
p.268
「最終話 『輝く日の宮』丸谷才一著と文豪たちが愛したビール」

明治大学文学部学生だった頃(1975-77)、
毎日、神保町を歩き回っていました。
毎週一度は食べていた餃子屋
「スイートポーヅ」が閉店したそうで、悲しいです。
原田ひ香(1970- )『古本食堂(ハルキ文庫)』角川春樹事務所 2023年9月15日発売.jpg

当時は、まだ「カレーの街」とは呼ばれていませんでした。
『古本食堂』には登場しない、
共栄堂(大正十三年創業)のスマトラカレー
https://www.kyoueidoo.com/
は、勿論ありましたけど。


「共栄堂」と
「ランチョン」は、毎日、映画館へ通っている学生
(1975年は洋画185本・邦画212本・合計397本!)
の財布では食べられませんでした。
二本立て名画座500円よりも高価なメニューでしたから。

この二軒は、1978年春、聖心女子大学図書館に就職して
給料をもらうようになるまでは行けなかったなぁ。
1987年春に福岡市民になって以降、
帰省すると、何度も行きましたが、もう両親も亡く、
最後の上京は二十年ぐらい前になります。

原田ひ香・北上次郎(目黒考二 1946.10.9-2023.1.19 )
「初めて対談する二人が語る『神保町』」
『ランティエ』2022年4月号
https://www.bookbang.jp/review/article/728009

北上次郎さんは、私より9歳年上ですが、
明治大学文学部日本文学科卒業で、
卒論は夏目漱石・指導教授は
平野謙(1907.10.30-1978.4.3)
https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/pfbid02NdsbYfad6P8D1sdJXF4k5Lc64svnQE4U29cJyFAYkpuqyAhSgqCYDdPjD3SELwWnl 
私の妻も漱石で平野先生の最期の学生でした。

昨日読み終わった本。 北上次郎『書評稼業四十年』本の雑誌社...

Posted by 山本 鉄二郎 on Thursday, October 3, 2019

「「挨拶ってむずかしいわね。
丸谷才一さんの『挨拶はむづかしい』ていう本があって」

私[鷹島美希喜]は思わず、カツサンドを吹き出しそうになる。
珊瑚さん、それはダメだ、あの本は古今東西の名スピーチを集めた、
とてもおもしろい名著だけれど、
明日の朝会社の朝礼で挨拶を求められているOLさんには……
たぶん、むかない。」p.290

丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『挨拶はむづかしい』
朝日新聞社 1985.9
朝日文庫 1988.6
https://www.amazon.co.jp/dp/4022553901
https://www.amazon.co.jp/dp/402260509X
は、丸谷才一自身の挨拶原稿集一冊目(1962~1985年38篇)
ですから、これは古本屋志望な国文学大学院生の勘違いでしょう。
まさか、著者の勘違いじゃありませんよね。
版元が文藝春秋や新潮社だったら、このまま出版された?

https://dot.asahi.com/wa/2022051900027.html 
AERAdot. 2022/05/21 11:00
もし神保町の古書店ビルを所有できたら
原田ひ香が描いた「夢のような話」
「神保町に飛んでいきたくなるこの小説、
好評につき続編の執筆が決まったそうだ。」
『週刊朝日』2022年5月27日号

https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/raiten/20220510-OYT8T50055/ 
読売新聞オンライン
2022/05/13 05:30
著者来店「古本食堂」原田ひ香さん…
おなかと心満たす古書街

 https://twitter.com/LunchSake/status/1535256324719538178

https://twitter.com/LunchSake/status/1531167372865773568

https://www.sankei.com/article/20220529-DJE7P6GSRFIWXM3WJ3RYHTXMYU/

原田ひ香 @LunchSake 産経新聞さんで、
『古本食堂』についてインタビューしていただきました。
古典のことや古本のこと、神保町グルメのこと、
いろいろお話しできて嬉しかったです。
原田ひ香さん 『古本食堂』 神保町グルメと人間模様 - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20220529-JE7P6GSRFIWXM3WJ3RYHTXMYU/

WEB本の雑誌 2018年2月21日更新 
作家の読書道 第191回 原田ひ香さんhttp://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi191_harada/

1970年神奈川県生まれ
大妻女子大学文学部日本文学科卒業
(卒論は『更級日記』?)な
原田ひ香さんの作品を14冊読みました。
どの作品にも美味しそうな食べ物が登場しています。

読書メーター
原田ひ香の本棚(登録冊数14冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11249567

https://note.com/fe1955/n/nb68f7886f4d2原田ひ香
原田ひ香(1970- )
『ランチ酒』祥伝社 2017.11
『ランチ酒 おかわり日和』祥伝社 2019.7
『ランチ酒 今日もまんぷく』祥伝社 2021.6

https://note.com/fe1955/n/n06ec83a13605
原田ひ香(1970- )
「定食屋「雑」」
『小説推理』2021年1月号
『ほろよい読書(双葉文庫)』双葉社 2021年8月刊

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