見出し画像

Raymond Chandler (1888.7.23-1959.3.26) レイモンド・チャンドラー『プレイバック』村上春樹訳 早川書房 2016年12月刊 320ページ  Playback (1958)  丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)「フィリップ・マーロウといふ男」「角川映画とチャンドラーの奇妙な関係」『快楽としてのミステリー ちくま文庫』筑摩書房 2012年11月刊

Raymond Chandler (1888.7.23-1959.3.26)
レイモンド・チャンドラー
『プレイバック』
村上春樹(1949.1.12- )訳
早川書房 2016年12月刊
320ページ
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013403/
https://www.amazon.co.jp/dp/415209656X

「私立探偵フィリップ・マーロウは高名な弁護士から
ある若い女の尾行を依頼された。この仕事になにか
きな臭いものを感じたマーロウは、弁護士の意向に背き、
女に接近していく。新訳シリーズ第6弾」

「午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを
眠りから覚まさせる。それは、列車で到着するはずの若い女を
尾行せよとの依頼だった。依頼主の高圧的な態度に苛立ちながらも、
マーロウは駅まで出向く。女はすぐに姿を現すが、彼女には不審な
男がぴったりとまとわりつき―。
“私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズ、長篇第七作。新訳版。」

https://www.amazon.co.jp/dp/415070466X

試し読み
https://x.gd/oPiId

https://x.gd/oPiId

福岡市総合図書館蔵書
2017年1月19日読了

Playback (1958)
1958年に発表された長篇第七作(最終作)の新訳。

明治大学文学部学生だった頃(1973-77)、
四十年以上前に
清水俊二(1906.11.27-1988.5.22)訳
『世界ミステリ全集 5』
早川書房 1972.6
を読みましたけど
「決めの台詞」p.306
以外はほとんど覚えていませんでした。

清水俊二訳
『プレイバック』
ハヤカワ・ミステリ文庫 1977.8
https://www.amazon.co.jp/dp/4150704538

"If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."

「「これほど厳しい心を持った人が
どうしてこれほど優しくなれるのかしら?」
「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。
優しくなれないようなら、生きるに値しない」」
p.279

チャンドラーに関する英米の書籍を読んでいても、
この台詞に関する記述がまるで出てこない」
p.317「訳者あとがき」

「話は二十年近く前にさかのぼるが、当時わたしは
早川書房から出てゐた
『エラリー・クインズ・ミステリ・マガジン』(略称EQMM)
といふ雑誌で、毎号、新刊の翻訳探偵小説を一つ取上げて論じてゐた。
その文章のなかで、あるとき
チャンドラーの
『プレイバック』(清水俊二訳)を、
『EQMM』編集長、小泉太郎にすすめられて取上げ、
私立探偵マーロウについてかう書いたのである。
 
「[略]マーロウは、
「あなたのようにしつかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」
と女に訊ねられたとき、かう答える。
「しつかりしていなかつたら、生きていられない。
優しくなれなかつたら、生きている資格がない」」
「マイ・スィン 第11回 フィリップ・マーロウという男」
『EQMM』1962年8月号

「わたしのこの文章によつて、
マーロウのこの台詞はたちまち名声を確立した。
まづ『EQMM』編集長、小泉太郎が
この文句にすつかりいかれてしまひ、
その結果(ここのところがちよつと飛躍してるけれど)
早川書房をやめてハードボイルド専門の探偵小説作家、
生島治郎になり、そして
ハードボイルドとは何かといふむづかしいことを
論ずるたびに、何度も何度もこれを引用した。
さらに、当時はまだ彼の奥さんであつた女流探偵小説作家、
小泉喜美子もまた
(夫唱婦随だつたのか、婦唱夫随だつたのか知らないけれど)
この引用句を熱愛し、探偵小説論、男性論、女性論、恋愛論、
人生論と何を論ずるに当つてもこのマーロウの台詞を引き合ひに出した。
片やわが国ハードボイルドの代表者である美男、
片や女流探偵小説家中、屈指の美女にしてかつ才媛。
この二人の影響力はすごかつたね。
なるほどイカす、と感心して、いろんな人々がこれを引用した。」
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
「角川映画とチャンドラーの奇妙な関係」
『週刊朝日』1978年10月20日号
『遊び時間 2』
大和書房 1980.2
中公文庫 1983.6
に収録。
『快楽としてのミステリー
 ちくま文庫』
筑摩書房 2012.11
に再録。
https://note.com/fe1955/n/nd41726da27bb
https://www.amazon.co.jp/dp/4480429999

読書メーター
レイモンド・チャンドラーの本棚
登録冊数21冊
http://bookmeter.com/u/32140/cat/9679

高校生(1970-72)だった私に、
ロサンゼルスの私立探偵、
フィリップ・マーロウの存在を教えてくれた本
『深夜の散歩』早川書房 1963.8
https://note.com/fe1955/n/nf236daad7399

https://note.com/fe1955/n/n26e000989c48

https://www.amazon.co.jp/dp/4488478123

読書メーター
ミステリの本棚
登録冊数377冊
著者名五十音順
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091193

村上春樹の本棚
登録冊数43冊
刊行年月順
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091263

聖心女子大学図書館に就職して二年目の1979年、
第22回群像新人文学賞受賞作を掲載している
『群像』1979年6月号で
『風の歌を聴け』を読みました。
選評で丸谷才一さんが誉めていました。

「[1979年5月8日『風の歌を聴け』群像新人賞贈呈式]のときの
村上春樹さんの受賞の挨拶が、とても気がきいていた。
彼はロス・マクドナルドの探偵小説が大好きで、その名探偵
リュウ・アーチャーのファンなので、将来小説家になったら、ぜひ
村上龍といふ筆名で書かうと思つてゐた。ところが先に
村上龍氏が小説家として登場してしまつたので、
村上春樹でゆくしかなくなつて非常に残念だ、といふ話だつた。
受賞の挨拶でこのくらゐ人を喰った話ができる新人は、
警戒すべきである。」p.98
丸谷才一
『挨拶はむづかしい』
朝日新聞社 1985年9月刊
朝日文庫 1988年6月刊
https://note.com/fe1955/n/n8195288ef785

https://www.amazon.co.jp/dp/402260509X

『国境の南、太陽の西』1992
までの長篇はほとんど読んでましたが、
今の私にとっては、
村上春樹さんは小説家というよりも
レイモンド・チャンドラーの翻訳者です。

Ella Fitzgerald (1917.4.25-1996.6.15)
"What's New?" (1957.10.28)
『文學界』
2022年11月号
「村上春樹さんに、モダン・ジャズ以前のジャズについて聞く」
https://note.com/fe1955/n/na5ab7e9a817c

https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/pfbid0KXkjAMNvVDhN1jGmqcpgxrNq8uGWBvLJjZQNyBFsPPvCC1RFGTEVVLGt8qkpHLEZl

昨日読み終ったミステリ。レイモンド・チャンドラー 『高い窓』 http://goo.gl/mhXKNl bookmeter 村上春樹訳 早川書房 2014年12月刊。 72年前の1942年に米国で出版された原著 High Window...

Posted by 山本 鉄二郎 on Saturday, January 17, 2015

https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/pfbid0YaMyESBYELvUfC4Nb9Y3VeqQ6g8iRXxcVQmYKC7e6QEWxJnJGZNT7eF9JzMK4omLl

昨日読み終わったミステリ。 レイモンド・チャンドラー『水底の女』村上春樹訳 早川書房 2017年12月刊。397ページ。 https://bookmeter.com/books/12525502...

Posted by 山本 鉄二郎 on Sunday, January 14, 2018

https://www.sankei.com/article/20170526-ZAR2V2KAXZMQXJ3E2WWHYAWTYU/
「「アライブ(alive)というのは、
生きている長い状態だから
『生きていけない』というよりは、
『生き続けてはいけない』」としたほうが正確」

https://ameblo.jp/cooper-brain/entry-12793782968.html

"If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."

「やさしくなければ」と角川映画的に訳したのでは、
「ハード」から「ジェントル」への時に応じての変化といふ
一番大事なものが落ちてしまふ。
ここはやはり
「優しくなれなかつたら、生きている資格がない」
と清水俊二ふうに訳すのが正しいのだ。」p.185-188
丸谷才一
「角川映画とチャンドラーの奇妙な関係」
『週刊朝日』1978年10月20日号
『快楽としてのミステリー』
ちくま文庫
2012.11

読書メーター
丸谷才一の本棚
登録冊数184冊 刊行年月順
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091201

"発表年月日順・丸谷才一作品目録.xls"
エクセルファイル(約三千行)
単行本・文庫本90数冊分の
目次・初出・書評対象書を、
発表年月日順に並べ変えて
編成、作成中…
完全編年体・丸谷才一全集
目次・内容一覧
を夢想(妄想)…

いいなと思ったら応援しよう!