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『ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校』世田谷美術館 2019.4  『大きな顔 小野二郎の人と仕事』 晶文社 1983.4 非売品


『ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校』
タイトル文字デザイン平野甲賀
世田谷美術館 2019年4月刊
B5判 240ページ

2019年4月27日~6月23日に世田谷美術館で開催された
小野二郎展「ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校」図録
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/search/?type=spex&id=190

https://www.youtube.com/watch?v=iPjv07N6lHM
「ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校」展に関連した音声コンテンツ ゲスト:川端康雄氏
「明治大学で小野二郎に学び、ご自身も『ユートピアだより』などモリス作品の翻訳者でもある英文学者で日本女子大学教授の川端康雄氏に、お話を伺います。
小野二郎との出会いのエピソード、多くの人を惹きつけた小野二郎の魅力ある人柄について、また、本展の図録、展覧会のみどころなどを、川端氏ならではの視点からお話をお聞かせいただきました。」


日本の古本屋
https://www.kosho.or.jp/
を初めて利用して、
文雅新泉堂(神奈川県相模原市)から4850円で購入しましたが、
世田谷美術館ミュージアムショップ(通信販売)
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/shop/item.php?id=shp00029
にまだ在庫(2500円+送料・手数料)があることに後から気づきました。
やれやれ。

https://hamonika-koshoten.com/?pid=146836606
『ある編集者のユートピア 小野二郎 ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校』
[編集] 矢野進ほか
[出版社] 世田谷美術館
[発行年] 2019年
[状態] B 古本としては標準的な状態
[コメント] 十九世紀後半のイギリスで活躍したウィリアム・モリスの芸術思想と社会運動をめぐる様々な考察を、日本を舞台に展開させたひとりの編集者と、その周辺にあってともに活動をくりひろげた人たちを紹介した展覧会の図録
目次
挨拶にかえて 酒井忠康
追想の小野二郎 菅野昭正
モリス主義者の遺したものは 小野二郎の仕事(と未完のプロジェクト) 川端康雄
図版
第1部 ユートピアを求めて
第1章 ウィリアム・モリス研究者の書斎から
第2章 ウィリアム・モリスのケルムスコット・プレス
ケルムスコット・プレス設立趣意書 一九八六年発表のエッセイ
第3章 ウィリアム・モリス研究
挿話:小野悦子の仕事
第2部 編集者・小野二郎の誕生
第1章 東京大学大学院から弘文堂へ
第2章 晶文社と出版活動
晶文社の小野二郎 津野海太郎
そこにはないものの大切さ 堀江敏幸
「音楽は娯楽だ。趣味だ。」か? 小沼純一
第3章 植草甚一と高平哲郎
小野二郎「これからの人生」
What are You Doing the Rest of your Life? 高平哲郎
第4章 運動の半ば、早すぎる死
平野流 鳥海修
第3部 高山建築学校
第1章 高山建築学校に集った講師、クリエイターたち
挿話:川俣正の仕事
第2章 石山修武のセルフビルド、自邸 世田谷村
知識人の「」から動こうとした矢先に 小野二郎小論 石山修武
ある編集者のユートピア=小野二郎 矢野進
資料編1
再録
編集者の仕事
物質に孕まれた夢 芸術・教育・労働
紅茶を受皿で
モリス商会の壁紙
端物印刷物の世界 ビラ・チラシ・切符など
住み手の要求の自己解体をこそ 住宅の街路化への提案
ツノ出せ、オノ出せ、オサダ出せ
小野二郎年譜 川端康雄編
資料編2
小野二郎著作リスト
小野二郎関連文献
晶文社出版リスト(1960-1983)
出版資料目録 
サイズ:29.5×19cm ハードカバー 237ページ

https://kangaeruhito.jp/article/13188
考える人 2020年3月30日
津野海太郎 最後の読書 30 落ち着かない日々
「2019年の春から初夏にかけて、世田谷美術館で、故小野二郎の活動を中心に「ある編集者のユートピア」という大きな展覧会がひらかれた。モリス研究者の小野は1960年に発足した晶文社の創業編集者でもあったから、かれにつづく2人目の編集者だった私も会期中に呼ばれて話をした。」

小野二郎先生(1929.8.18-1982.4.26)
https://ja.wikipedia.org/wiki/小野二郎
は、私の明治大学文学部(1974-78)でのクラス担任・卒論指導担当だった恩師です。

聖心女子大学図書館に就職するための面接を受けることになりました、
と報告したら、髭を剃ってネクタイをして行けよ、と言われたなぁ。

小野二郎「ツノ出せ、オノ出せ、オサダ出せ」p.178
『図書』1981年11月号
『小野二郎著作集 2 書物の宇宙』晶文社 1986.5
「友でもなければ同志でもない。ただ同一の快感[集団でものをつくり出すよろこび]を欲している人間たち」

https://www.msz.co.jp/topics/archives/08097.html
「「ツノ出せ、オノ出せ、オサダ出せ」
の晶文社を設立する前の小野二郎さん」
みすず書房 トピックス(アーカイブ)
小野二郎『ウィリアム・モリス通信』《大人の本棚》 川端康雄編

私が学生の頃(1973-77)の晶文社(中村勝哉さんと1960年創業)は、
小野二郎先生が編集顧問で、
津野海太郎さんが編集長でした。

小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)
長田弘(1939.11.10-2015.5.3)
津野海太郎(1938.4.6- )

小野二郎先生は、
丸谷才一『梨のつぶて』晶文社 1966.10
https://note.com/fe1955/n/n49dc2860af81
の編集者でした。

「丸谷才一氏[1925-2012]とは、1966年、氏の第一評論集『梨のつぶて』の編集者として、御茶ノ水の山の上ホテルで一度か二度、ちょっと面倒な打ち合わせをしたことがある。編集者といっても、じっさいの企画と編集は小野二郎[1929-1982]がやり、私[1938- ]は最後の本づくりを手伝っただけ。したがって小野さんをあいだにはさんでのつながり。」
津野海太郎『百歳までの読書術』本の雑誌社 2015.7
p.120「私の時代が遠ざかる 」
https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/883438915064082

読書メーター 小野二郎の本棚(登録冊数21冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091265
アマゾンに書影がない本(5冊)が残念です。

Herbert Marcuse An Essay on Liberation
小野二郎編注
鶴見書店 1971年3月刊
138ページ。
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I006094693-00
購入年月日不明 
 320円
「本書は、Herbert Marcuse An Essay on Liberation (Beacon Press, Boston, 1969) の完全飜刻版である。
この本は現代文化の本当の根元のところに、ほとんど文字通り触覚的に全体が触れている。
Corporate Capitalism 否定の想像力の根拠、その発動の原型を発見しようとしている。
現代社会の批判という作業と社会主義及びその前提条件の再定義・再検討という作業とが、いかなる思想の深部で結びつくかが、おそらくその批判の有効性、というより思想的原本性を持ち得るかのポイントになる。
Marcuse は社会主義のイメージを固定させたまま、それに至る新しい道を探るのではなく、全世界的に様々にあらわれる現実拒否の想像力的核の部分に、その今までのと異なる目標、異なる価値を見出し、そこにこそ社会主義の新しい理念というか、より具体的な新しい目的を再発見しようとする。
欲望―満足のサイクルに絶対統合されぬ needs の存在を確信し、それを「社会主義の生物学的基礎」と主張し、その解放の契機を、さまざまな新しい感受性の大量噴出に検出しようとする。」
p.1「はしがき」

H.マルクーゼ『解放論の試み』
小野二郎訳
筑摩書房 1974年2月刊 156ページ
1978年9月26日購入 980円
https://www.amazon.co.jp/dp/B000J9BVGO

「Herbert Marcuse An Essay on Liberation (Beacon Press 1969) の全訳である。
 … 
マルクーゼの「統合化資本主義」における解放の方途の懸命の模索のもっとも重要なポイントは、従来の意味での革命戦略、政策に直ちに翻訳される底のものではなく、とりわけこの社会にあって見わけのつかなくなっている「にせの」要求と「本物の」要求、押しつけられた欲望と真に自発的な欲望とのきわめて困難な識別の能力の大衆的発生、「新しいエートス」の造出、つまり大衆的想像力の自立の問題を、終始一貫ねばり強く追っていることだと私は信ずる。

現在のわれわれの「新しい欠乏」は、にせの欲望によって生み出されたものであって、むしろ「真の欠乏」をおおいかくすものである。

私はこの本を一個の芸術論として、いやむしろ、芸術運動論として読んだ。芸術がその本来の機能を取り戻すためには、「昇華物」としての芸術の内容をどこに、いかにして逆流させるかという問題を提起するものとして、と同時に、もっと広くというか、歴史全体を人間の、民衆の想像力の造作としてつかむということの、現代の条件のなかでの試みとして読んだ。

ジャンバティスタ・ヴィコやウィリアム・モリスを思い合わすのは突飛なことであろうか。少なくとも私にはそのようなものとして読まれた。」
p.153「訳者あとがき」

Herbert Marcuse (1898-1979)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘルベルト・マルクーゼ
https://en.wikipedia.org/wiki/Herbert_Marcuse


『大きな顔 小野二郎の人と仕事』
ブックデザイン平野甲賀
晶文社 1983年4月刊
207ページ 非売品

小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)の葬儀の会葬者に満中陰志(小野先生は亡くなられる前にカトリックの洗礼を受けられたので仏教用語は不適当ですね、香典返しです)として送られた追悼文集(寄稿者21名)。

1986年8月、『小野二郎著作集』刊行の際、
全三巻予約者に配布されました。

長田弘 1939-2015.5.3 https://goo.gl/d4hSJP
小池滋 1931- https://goo.gl/wOISYl
青柳晃一 1931- http://goo.gl/5ZL29H
吉田公彦  -2015.5.9 http://goo.gl/ufcvNh
島田謹二 1901-1993 https://goo.gl/pFR0uq
寺田透 1915-1995 https://goo.gl/19tdr6
大岡信 1931- https://goo.gl/XkjohC
中村勝哉  -2005 http://goo.gl/GLYmXJ
岡崎康一
久保覚 1937-1998 https://goo.gl/z2vQAN
石山修武 1944- https://goo.gl/qMLxdl
津野海太郎 1938- https://goo.gl/0PS51V
小沢信夫 1927- https://goo.gl/tLWYdn
牧野英一
神田孝夫
粕谷一希 1930-2014.5.30 https://goo.gl/3MY3CJ
高平哲郎 1947- https://goo.gl/Zr0M31
西村孝次 1907-2004 https://goo.gl/Maoucv
鈴木博之 1945-2014.2.3 https://goo.gl/Qse9oS
木島始 1928-2004 https://goo.gl/2jIYi3
鶴見俊輔 1922-2015.7.20 https://goo.gl/XNJsUx
寿岳文章 1900-1992 https://goo.gl/orVI4E
年譜 川端康雄編 1955- https://goo.gl/1SYNar

晶文社別館 小野二郎特別ページ
http://simoun.luna.bindsite.jp/annex_shobunsha/ono_jirou.html

http://www.aokishoten.com/yuko/yuko94.html
ユーコさん勝手におしゃべり
「ウィリアム・モリスをはじめて知ったのは、小野二郎先生の教室だった。
大きな体で大きな顔で、たのしそうに喋る方だった。先生の崇拝するウィリアム・モリスにひきこまれ、『世界のかなたの森』の本を買い、週に一度の講義を楽しみにしていた。

かたい社会思想の話の中でも、「牛さん」「馬さん」となぜか動物の名前は「さん」付けで呼び、うんと年上の男性ながら、かわいい印象もあった。
それが、ある週突然授業が休講になり、大学の掲示板に訃報の紙が貼られた。

楽しみにしていた授業のかわりに、四谷の聖イグナチオ教会で行われた葬儀に一人で出かけた。比較文学の講義の教室に知り合いはひとりもいなかったので、小野二郎氏を悼む心を語る相手も伝える術もなかった。

受付の「学生」の列に並び香典をさし出すだけでおわってしまう孤独を、イグナチオ教会の広さとともに今でも忘れない。

しばらくして、『大きな顔 小野二郎の人と仕事』という本が送られてきて、「これで本当におわりなんだ」と淋しさはいっそう深くなった。」

http://shinkatsushikamiyage.cocolog-nifty.com/.../post...
小野二郎追悼文集『大きな顔』の思い出 新葛飾土産
「非売品の「大きな顔」は「小野二郎著作集全3巻」を予約するともらえる小野二郎の追悼文集なのだが、そんなことを全く理解しない愚か者の僕は、発売から10年ほどたって品薄状態の小野二郎著作集をあちこちの本屋で買いそろえると、晶文社に電話して「全3巻買いました。大きな顔を下さい」と、それこそ「大きな顔」で言ってのけたのだ。
今思えば当たり前だが、晶文社の人は「差し上げられないんですけど…」と電話口の向こうで困っていたが、非常識な客をもてあましたのか、貴重品の「大きな顔」を送ってくれた。
今では冷や汗ものだが、貴重な本を無料で送ってくれた晶文社には生涯感謝し続けているし、僕にとってはどんなにお金を積まれても売ることの出来ない宝物である。」

川端康雄 小野二郎の実現されざる書籍企画より
https://acropotamia.hatenablog.com/entry/2021/04/25/183941

https://www.facebook.com/226495940713102/photos/a.618967898132569/618967928132566/
『文科』創刊号(中村勝哉、東京都文京区森川町一〇三大和荘、一九五九年一月一日)。
小野二郎と中村勝哉が発行していた同人雑誌(第二号、同年十月発行まで確認できる)。


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