ラブレター

【18】

僕は手をつなぎたかったんだよ

でも君が嫌だって言うから

そっとポケットに手をしまい込む

奥にしまえばすぐに手を出せないから

浅くしまって

階段とか坂道とかで

ほらって、手を差し出すチャンスを探していたけれど

君は一人でじゃんじゃん歩けてる

この時から

僕がいなくても

君は一人で

怖がることなんかなくて

歩いて行けるのかなって思った

僕の方が臆病で

君に必要とされてるって思うことで

君に好かれていると感じていたかったのかもしれない

まだこの手は

ポケットに入れたまま 深く深く入れたまま

ポケットの縫い目を 爪で確かめながら

僕は歩いているよ

手をつなぐ

簡単に思えて そうでないことに

気付いた時には

君は 僕よりずっと先に

進んでしまっていたね


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