2020年1月の記事一覧
ラブレター
【87】
ピアノの音。
発声練習。
滑らかな声。
笑い声、時々の。
音楽室の魔法。
そこで会うあなたがとても
月並みに言う
「眩しくて」
好きだった。
でも
あなたは
私にだけ優しかったんじゃなく
みんなに優しかった。
魔法がとけても
私はあなたの前では
魔法がかかったふりをしていたの。
きっとあなたは
知らないままで
眠っているのでしょうね。
ずっと。
ラブレター
【86】
「私ね、あの頃、あなたのことが好きだったの。」
今、それを言う?
そういうところだよ。
だから君が好きだった。
遠いあの頃。
ラブレター
【85】
ふと、なんでもないとき
なんのきっかけもなく
なんであなたはここにいないのかって
急に思ってしまって
私の奥から
温かいものと冷たいものと
柔らかいものと突き刺さりそうなものが
ぐんぐんと込み上げてきて
どうしようもないどうしようもできないって
わかっているから
冷たい水で米を研ぎながら
泣いてみたら
もうちょっと私
ここで生きていようって思えた
ラブレター
【80】
あなたからもらったものは
ここに
あります。
だから安心してください。
あなたはちゃんと
ここに
います。
淋しい、なんて言ったら
怒られちゃうね。