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ア式の本質はサッカーを通じて成長すること 社会で求められる素養の礎を築くこと

profile

氏名:狩野琳太朗
所属:スタッフ
学年:4年
学部:社会
出身高校:群馬県立沼田高校
昨シーズン思いもしない出来事からプレーヤーからスタッフに転向した狩野。入部の経緯も独特な彼に、自らの経歴や役割、ア式について語ってもらいました。

ア式でサッカーをする

私がア式に入部したのは2年の春です。ア式への入部は入学以前から志望していたものの、コロナ禍の動揺の中でその機会を逸し、一時は入部を完全に諦めていました。ア式には嫌悪感にも近しい感情を抱くとともに、競技としてのサッカーを遠ざけるようになりました。ア式のSNSアカウントは軒並みフォローを解除し、YouTubeのおすすめにもサッカーに関連する動画が表示されないようにしていたほどです。ただ、こうした嫌悪が自らのサッカーに対する未練の表れ、競技サッカーに励む人々に対する羨望の念の裏返しであることは十分に自覚していました。未練を解消し、宿望を遂げる手段はただ一つ。ア式へ入部すること。こうして私は2年での入部を決意しました。

ア式はサッカーをする環境として大変恵まれていると感じます。まず、戦術的な側面。明確なコンセプトとそのもとに敷かれたプレー原則を軸とするア式のサッカーは、小学校から高校に至るまで無為にプレーをこなしてきた私にとってサッカーとの出会いでした。そして、その精神性。ア式には単なるプレーの成否、試合の勝敗に終始せず、主体的に挑戦する姿勢が問われる風土があります。入部時、一年間の浪人生活もあり2年半を超えるブランクを抱えた私は、60人超の選手を抱えるチームにおいて出場機会を勝ち取るのは非現実的であると考えていました。事実、当初は簡単なボールコントロールもままならず、Bチームでの出場機会さえ満足に得られない自分に失望する日々でした。ただ、プレー原則の理解、実践に努め、挑戦しながら、恵まれた環境を主体的に享受し続けた結果、トップチームでの出場機会を得るようになりました。

こうした経験は、ア式の挑戦を志向する気風の下でこそ可能なものであったと確信すると同時に、ア式における健全な競争環境の存在を示しているといえます。切望の対象というものは真に近づいてみるとさほどでもないこともしばしばですが、私にとって所望の場所であったア式はいざ足を踏み入れてみるとサッカーをする環境として望外の魅力に満ち溢れていたといえます。


ア式>サッカーをする

私の昨シーズンは絶望のうちに幕を閉じました。最終節を翌日に控えた練習にて、接触により頭部を負傷。シーズン最後の大一番への出場がもはや不可能であることは誰の目にも明らかでした。私は図らずもグラウンドで涙しました。21にもなる者が人目を憚らずむせび泣くというのはいささか無恥な行為であるように思います。また、そのような事実を、これもまた人目を憚らずこのような場所で流布するというのは、なおのこと無恥な行為であるように思います。ただ、それは無恥でありながらも、ア式がそれだけの想いをかけることのできる場であるという証明に他なりません。その後、意識を消失。目を覚ました私が医師から告げられたのは、受け入れ難いひとことでした。

「サッカーはもうやめたほうがいい。」


「じゃあ、部活辞めるの?」

競技引退を余儀なくされた私に対する部外の知人達からのおよその反応です。私は拍子抜けしました。というのも、競技引退の可能性が示唆されてからというもの、部を離れるという選択肢がよぎったことはただの一度もなかったからです。確かにサッカーを競技する者としての私の念望は絶えました。ただ、私はこれからもア式蹴球部の部員であり続けます。それはなぜか。希望に満ちているからです。ア式蹴球部の一員としての私が。

ア式の本質は「サッカーをする」ことにはありません。現実的な問題として、社会への船出をいよいよ目前に控えた学生が、将来への展望も持たぬまま、ただサッカーの競技力を高めることに週の6日を費やすというのは賢明とは言えないでしょう。ア式の本質はサッカーを通じて「成長する」こと、社会で求められる素養の礎を築くことにあるといえます。競技力向上のためのメニュー作成や組織活動の円滑な運営のための環境形成、クラブ発展のための事業活動など、プレーせずともサッカーと関わりながら、思考、実践を重ねて成長することのできる機会は枚挙にいとまがありません。私は現在、競技面ではトップチームに帯同しながらトレーニングのサポートを行い、事業面では事業本部の幹部補佐という裁量権の大きな役割を担っています。昨シーズンの選手としての挑戦が繋げた、今シーズンのさらなる挑戦の機会のもとで、自己とクラブの一層の成長を渇望しています。


ア式で挑戦する

ア式に興味を持ってくださっている皆さん。冗長で読むに堪えない駄文であったと思いますが、冗長な分だけ、ア式での日々が「望」みに満ちた濃密なものであるとご理解いただければと思います。つまるところ、ア式には挑戦を後押しする環境、挑戦を成長へとつなげるための環境があるということです。皆さんと共に送る、挑戦、そして進歩の毎日を待望しています。

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