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【ドイツ代表考察】復活の鍵を握るのはやはりクロース

昨年ドイツ代表史上初の監督解任が行われ、ユリアン・ナーゲルスマンが監督の座に就いた。
就任直後にナーゲルスマンは非常に興味深いことを話した。それはクロースの代表復帰についてだ。当初、本人は興味を持っていないとも報道されたが、先日本人のインスタグラムで復帰を明言がされた。
意外に思った人も多いだろう。なぜ今クローズが必要なのか。それは単純にプレーだけの話ではない。


崩壊したドイツ代表

2018年ロシア大会、2022年カタール大会と2大会連続でワールドカップグループステージ敗退となったドイツ代表はまさに暗黒期に入ったと言って間違いないだろう。EURO2020後ハンジフリックが就任、チームが復活するかと思われた。確かにワールドカップ予選までは圧巻だった。フリックになってからは負け無しでワールドカップ出場を確定させ、強いドイツの復活とも言われた。しかし、ネーションズリーグ予選から崩れ始めた。1勝4分け1敗と3位になり敗退。徐々に雲行きが怪しくなってきた。ワールドカップではご存知の通り1勝もできずに敗退。昨年9月の日本代表との戦いに惨敗し、フリックは解任となってしまった。
ナーゲルスマンが就任したそれ以降も成績が上向くことはなく、自国開催のEURO2024が既に危ぶまれている。

豪華すぎるメンバー

ドイツ代表の主力はノイアー、キミッヒ、ゴレツカ、サネ、ニャブリ、ミュラー、ムシアラがバイエルン。ギュンドアンがバルセロナ。リュディガーがレアルマドリード。守備陣もドルトムントの選手が多く、メンバーは非常に豪華である。サイドバックとセンターフォワードに絶対的な選手がいないと言われるが、代表戦ではポジションが欠けることは多々あることだ。

連携に欠けるチーム

これほどのメンバーを抱えてなぜ勝てないチームになってしまったのか。それはメンバーの不和である。もちろん、これだけではないが、1番表面に出てくる理由はこれだろう。試合を見ていて気になるのはギュンドアンの孤立だ。ギュンドアンは中盤の2枚のうちどちらかで先発となることが多いが、キミッヒと組んでもゴレツカと組んでも今一つだ。ギュンドアンが組み立てに参加する場面はよく見られるが、ギュンドアンがボールを持つと前線の動きが止まる。ボールを受けるための動きがなくなり、前への推進力がなくなる。ギュンドアン自身が語るようにドイツ代表は信頼しあえていないのだろう。特にギュンドアンに対する差別的な感覚が大きいと感じる。マンチェスターシティはドイツ人から嫌われるチームだ。金満クラブかつ数多くのFFP違反を繰り返すこのチームを嫌うものは少なくはないが、ドイツ人からの嫌われ度は別格だろう。さらに彼はFCバルセロナに移籍した。バルサもドイツ人、特にバイエルンファンには嫌われるチームであるため、シティからバルサへ移籍した彼がチームで浮くのは無理もない話なのだ。そして彼はトルコ系だ。直接的表現でないものの、差別的思想を抱かれてもいるだろう。ドイツ屈指の選手がこの状況にある中でチームとして勝つのはやはり難しいだろう。実際に日本との2度の対戦でギュンドアンは孤立、結果として最終ラインと前線との連携も滞ってチームは惨敗した。この不和を解決できる人物がチームに求められるところだ。
ナーゲルスマン監督は就任したばかりで、チームにおける絶対的な求心力を持っていない。
これは筆者の見解であるが、キミッヒとギュンドアンとの関係性は最悪だろう。お互いにスタイルが似ている部分がある上、キミッヒのプライドが高い性格上そういう考えにも至るのも自然だ。ノイアーに関しても同様だ。良かれ悪しかれキミッヒとノイアーは性格に似たる部分がある。だからこそ、ドイツとバイエルンの時期キャプテンをキミッヒにするのは反対ではあるのだがそれはまた別の話だ。
ミュラーの序列がもっと高ければ話は早いかもしれないが、ヴィルツ、ムシアラなどの若手の台頭を考えるとそうもいかないのだろう。
圧倒的なキャリアと華のあるスター以外はこの問題の解決策とならない。それは一人しかいないはずだ。

もはや唯一無二の存在!?

実はこの記事を書き始めたのはクロースが復帰を表明するよりもずっと前だった。なかなか記事がまとまらぬ内にクロースは代表復帰を表明し、さらに復帰わずか8秒でアシストを記録してしまった。もっと早く投稿しておけば筆者は預言者になれたかもしれないのだが惜しいところを逃してしまった。
沈みかけの戦艦を蘇らせられるのはクロースただ一人しかいない。ナーゲルスマンも同様の考えだったのだろう。バイエルンとレアルマドリードで数多くの成功を収めた彼がキャプテンマークを巻けば自ずとチームがまとまる。単純な発想だが、その任務が務まるのはドイツ中を探しても彼しかいない。ハンジフリックにできなかったチーム不和の解決とドイツ復活はクロースに託されいてると言っても過言ではない。
結果はすぐに出た。クロースはフランス戦、オランダ戦と2戦連続でアシストを記録、存在感を露わにした。ユーロ目前にしてチームの新たな船旅が始まった。迫りくる荒波に対してどのように対処するのか注目したいところだ。

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