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コラム|檀信徒ではない方にも行事に参加してもらうために

未来の住職塾 講師の遠藤卓也です。
連続講座の講師としてお引き受けしている、愛知県曹洞宗青年会さんによる「これからのお寺をデザインする会」第3回講義は、感染者数が少ない時期だったので、オンラインではなく現地での開催でした。
私としても久々の対面での研修は感慨深かったですが、参加者の皆さんも水を得た魚のようにいきいきと参加してくださりグループワークや質疑応答が盛り上がりました。これは対面ならではのことだと実感しました。

第3回は「お寺のための伝わる広報術」をテーマに、お寺がなぜ広報をするのか?どんなやり方が適しているのか?についてお話しして、最後はそれぞれのお寺で実施する「広報アクション」を定めてグループ内発表をしました。

最後の質疑応答コーナーで、こんな質問が出ました。

質問|自坊の年中行事(お施餓鬼法要など)へ、檀家さん以外の人たちに来ていただくために、どのような広報をすればいいですか?

広報で大切なポイントのひとつとして、「相手がその情報を我が事と捉えてくれるか?」とお伝えしました。すると、菩提寺ではないお寺の宗教的法要を我が事として捉えてもらえるのか?という課題が見えてきます。
つまりそもそもの行事の見せ方を変えないと「自分には関係のないこと」としてスルーされてしまうのです。

そこで参考になりそうな事例を2つご紹介しました。

みんなのお盆法要

愛知県豊橋市 真宗大谷派 正太寺では「みんなのお盆法要」を実施しています。これは「四回忌も五回忌もお勤めしていいじゃないか」というお声から始めた法要で、タイミングなどに捉われずに自由に弔いをお願いできる機会です。
極端に言えば「今年亡くなった友人のために」ということでも依頼ができます。既成概念やお寺の都合で狭めてしまっていた、弔いの機会を広げる手段として、とても注目している取り組みです。
「みんなのお盆法要」であれば、檀信徒以外の方でも我が事として捉えていただけそうです。

良き祖先ワークショップ

神奈川県横浜市 日蓮宗 妙法寺では宗祖法要である御会式を、毎月開催している法話会「浄心道場」の特別版として実施。ゲストとして他宗派の僧侶である松本紹圭塾長を招き「グッドアンセスター(良き祖先)としての宗祖」というテーマで対談しました。

住職が「我が事」として日蓮聖人について熱く語った後、今度はグループにわかれてそれぞれが「私が祖先から受け取っている恵み」について語り合うワークショップを行いました。たくさんおしゃべりした後に、法要が始まるという流れ。
これまでは「聴く」一方だったはずの宗祖法要において、思いがけず自ら「喋る」ことになり、テーマも「我が事」として話せる内容なので、一気に自分に引き寄せて捉えられる行事になります。参加者からの声としてもポジティブなご意見が多かったそうです。


また普段から法話会「浄心道場」は日蓮宗のお坊さんに限定せず、他宗派やお坊さんではない人もゲストにお迎えしているので、檀家さん以外の全然知らない方のご参加もあるようです。

どちらの事例にも共通しているのは「囲い込み」感の低さでしょうか。
宗派・血縁にこだわらず、亡き方でも生きている方でも、どんな人にも思いを向けられる行事づくりが、檀家さん以外にも開かれた場となっていきます。(遠藤卓也)

未来の住職塾の講師・スタッフによる研修や講演は、随時承っています。ご興味のある方は、問い合わせフォームよりご相談ください。

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【お知らせ:お寺の事例シェア企画】

昨年12月に興山舎より出版された『みんなに喜ばれるお寺33実践集 - これからの寺院コンセプト』の出版を記念して、書籍で紹介されている2か寺のご住職に登壇いただき、本では語られていない最新の活動実践事例をお話しいただきます。

お話しを聴くのは、著者である未来の住職塾 松本紹圭 塾長と、講師の遠藤卓也。ご参加の皆さんの寺院活動にも役立つように事例を一緒に紐解きます。

コロナ禍において、これまでのように仏事がとりおこなわれなかったり檀信徒の集いの機会も減り、不安を感じているお寺も多い中、新しいご縁を結んでいくためのヒントとなる最新事例をご紹介いたします。

『みんなに喜ばれるお寺33実践集』出版記念オンラインイベント 実践事例共有LIVE

開催日:2022年3月7日(月) 14:00-16:00
開催形態:オンライン(Zoomを使用)
進行役:松本紹圭(未来の住職塾 塾長)、遠藤卓也(未来の住職塾 講師)
発表者:久住謙昭さん(神奈川県・日蓮宗 妙法寺 住職)、品田泰峻さん(青森県・真言宗豊山派 普賢院 住職)
参加費:無料(先着100名まで)
対象者:僧侶やそのご家族(配偶者や兄弟姉妹、後継者)など、伝統仏教寺院にて「宗教指導者」としての役割を担う方。僧侶のご家族については、僧籍の有無を問いません。

主催:一般社団法人未来の住職塾


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