連載:お寺の女性の今、そしてこれから [8] -日野史さん
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連載:お寺の女性の今、そしてこれから [8] -日野史さん

未来の住職塾

こんにちは。未来の住職塾の松﨑香織です。

この連載では、お寺で生活する女性のウェルビーイングを大切にするために、さまざまなお立場にある、お寺に暮らす女性のお声をお届けしています。第8回目のゲストは真宗大谷派・西照寺(石川県小松市)の日野史さん。

石川県のお寺に生まれた日野史さんは、今年住職となるお姉さんとともにご自坊を切り盛りしながら、様々な活動を通して地域にお寺を開いています。地域の人々に寄せる思いをお聞きしました。

写真: 日野史さん提供。ご自坊・西照寺のご本堂にて。

ゲストプロフィール:日野 史(Fumi Hino)
石川県小松市にある真宗大谷派西照寺の僧侶。元JTB専属ツアーコンダクター。こまつ子ども食堂代表も務めるシングルマザー。リアル姉妹で【ひのう姉妹】を結成、仏教讃歌を取り入れた法話ライブを各地で行い姉妹独自の布教活動展開中。

◉ 姉妹で二人三脚の寺院運営

 西照寺の僧侶として、自坊では寺務と会計を担っています。お参りや儀式を姉が、お寺の運営のことは私が、というふうに、二人で役割を分担しながらやってきました。

ー史さんは企業にお勤めの経験がおありで、一方のお姉さんは本山で儀式の先生をされることもありますし、得意分野がうまく役割分担されていますね。

 とはいえ、女性が法衣を着てお経を読んだり、本山に出入りするようなことがあまりメジャーではない地域のお寺ということもあって、女性二人でお寺をやるのは何かと大変な面もあります。

◉ お寺の営み一つ一つと大切に向き合う日々

 添乗員をしていた頃に先輩から言われた「あなたにとっては何度も訪れた街でも、お客様にとってはたった一度の経験なのだから、1回1回を大切にね」という言葉がずっと心に響いていて、それが今に活きていることを感じます。お寺からお手紙を100通お出しする時でも一通一通をきちんと送ろう、ご法事が1日5件あったとしてもお一人お一人と大切に向きあおう、皆さんからお預かりする浄財が最大限お寺のために活かされるように会計をきちんと管理しよう、ということを思いながら毎日を過ごしています。

◉ 生活とともにあるお念仏との歩み

ー西照寺は様々な活動に取り組まれていますが、どのような思いから始められたのですか。

史 ここ小松は真宗大谷派のお寺が多く、昔ながらの大寺・小寺の仕組が続いているような、どちらかというと封建的な性格の地域なため、お寺の敷居が高いという特徴があります。そんな中、その仕組みの外にある西照寺は独立した活動ができるということもあって、地域の人に開いていきたいとの思いがありました。
 歌でも演劇でも食事でも、お寺にいらしていただくきっかけは色々あっていいと思っています。真宗には「お念仏は生活とともにある」という教えがあり、生きること全てがそこにつながっているという思いから活動してきました。モットーは、私自身がお念仏と歩む中で「お寺の人が元気だね!」と感じてもらうことです。お寺に出入りするみんなと一緒にハッピーになりたい、と心から思います。

◉ 地域コミュニケーションのハブを担う西照寺

ー史さんは「こまつ子ども食堂」の代表でもありますが、こちらはどのような活動ですか。

史 現在、お寺や保育園など市内6か所で開催していて、子どもたちの他にも独居のご老人など、色んな方がいらっしゃいます。活動資源はご寄付や、フードバンクを頼ったり、農家さんからお米をいただいたり。昔話の笠地蔵みたいに収穫された野菜を門前にドーンと置いていってくださったこともありました。
 一方で、お届けすべき方にどう届けたらいいのかという悩みや、毎日の開催ができないジレンマなど、答えのない活動に毎回勉強させていただいています。

ー地域の支援団体さんとも連携されているのですね。

 私自身がシングルマザーということもあり、ひとり親のご家庭を応援する一般社団法人ハートフルファミリーさんと繋がりました。子ども食堂や境内で開催する「ぼっちぼっちフェス」や「街HUBプロジェクト」を一緒にやっています。お寺の、地域コミュニケーションの中心としての側面を広げてくださっていて、タッグを組めて本当に良かったと思っています。

◉ 姉妹ユニットが仏教賛歌を各地に届ける

ーお姉さんとのユニット「ひのう姉妹」も、法話ライブや慰問にイベントの司会と、とても活発ですね。

史 地元の若手で7年前に立ち上げた「大川町夕焼けライブ」という夏フェスを毎年西照寺で開催していて、その仲間の一人から「姉妹でユニット組んだら」と言われたのがきっかけでした。大切な言葉を音楽に乗せて、仏教賛歌をうたいながらご縁をいただく方々とその場を楽しく共有できれば、との思いです。

◉ ありのままの自分で生きる

史 私はお寺に生まれた2人目の女の子で、アイデンティティの置きどころに迷う時期がありました。でも、仏教に出会い、自分は自分のままでいいんだと思えるようになりました。結婚生活では自己を否定するような経験もしたけれど、教えがあったから生きてこられたと感じています。離婚してお寺に住んでいるといろんなことを言われることもありますが、仏教の教えに救われた人間として「どうぞ私の生き様を見てください」と思っています。これからもありのままの自分にできる限りのことをして生きていきたいです。

この連載記事は、大正大学地域構想研究所BSR(Buddhist Social Responsibility)推進センターが毎月発行する『地域寺院57号』に掲載されました。
地域寺院は、これからの地域社会に必要とされる寺院の在り方を探る情報を発信する月刊誌です。
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インタビュアー プロフィール

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松﨑香織:一般社団法人未来の住職塾 理事。米国Fish Family財団 JWLI (Japanese Women’s Leadership Initiative)フェロー。役員秘書として銀行の経営企画に携わったのち、ロンドンの非営利組織にてマーケティングに従事。2014年より未来の住職塾ならびに塾生コミュニティ(現在約650名)の運営に携わる。全日本仏教会広報委員会委員、WFB(世界仏教徒連盟)日本センター運営委員会委員。





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