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レポート|未来の住職塾 企業勉強会「アイ・オー・データ社と考えるこれからの檀信徒コミュニケーション」@金沢

未来の住職塾NEXT 講師の遠藤卓也です。
去る 4/13(木) 、金沢にあるアイ・オー・データ機器 本社にて、未来の住職塾 塾生とメールマガジン購読者限定の勉強会を開催しました。
アイ・オー・データ機器といえば国内のコンピューター周辺機器メーカーとして、知らない人はいないかであろう老舗大手企業です。実は、未来の住職塾のパートナー企業として、これまで数年間に渡って未来の住職塾を支援してくださっています。
創業者である細野昭雄会長が、お寺の課題やお寺を通じた社会の課題をITにて解決できる可能性を感じていることから、大変光栄なことに、この日もお忙しい中ご参加くださいました。

北陸と言えば、浄土真宗のお寺が多いことや、曹洞宗 総本山 永平寺(福井県)や大本山總持寺祖院(石川県)もある等、非常に仏教に篤い土地です。その地に本社を構えるアイ・オー・データ機器社と、活動の活発な各地の寺院が学びの場を設けることで、どんなことが起きるのか大変楽しみに企画しました。

広いお寺の敷地・建物にWi-fi電波を行き渡らせるためには

最初に配信ルームを見学させていただきました

「お寺のIT化」というテーマにおいて、2020年以降の新型コロナウイルスの蔓延は大きな影響があったと思います。対面コミュニケーションが肝要な寺院において、会えなくなってしまうことは大きな問題でした。特に、大切な行事である季節ごとの各種法要については密を避けるために、オンライン配信にトライするお寺が一気に増えました。それまでは慣れなかった機材の知識を深め本堂のWi-Fi環境を整え、法要だけでなく法話会やオンライン坐禅会を開くなど、お寺の習慣が絶えないようにと努力をなさる姿が多く見えました。

コロナ期間中、アイ・オー・データ機器と未来の住職塾では、お寺の敷地が広く建物も複数あるという点に着目し、民生のリーズナブルな機器を活用して敷地内に広くWi-Fi電波を行き渡らせる方法を探る実証実験を行なっていました。勉強会ではまず、この実証実験からの学びをシェアすることからスタート。

鉄筋づくりのお寺の場合、電波が壁等に遮蔽されてしまう傾向にあり、中継機をうまく配置して電波を導く方法や、電波状況を手軽に調べるためのスマートフォンアプリのご紹介もありました。

その中で、細野昭雄会長からは「PLCを使ったらどうか?」というご提案をいただきました。PLC(コンセントLAN)とは、電源コンセントを通してインターネット回線を中継できる機器で、コンセントさえあれば建物内の各部屋にネット回線を行き渡らせることが可能です。
機器もそれほど高価ではないことから「試してみたい」という声がいくつも出ていました。

事例紹介|お寺でも活用できそうなツール・サービスの紹介

お寺の無線LAN環境改善の話題で盛り上がった後は、遠隔コミュニケーションや配信に役立つツール・サービスのご紹介が2つありました。

一つ目「PlatPhone(プラットフォン)」は、とても簡易的にビデオ通話が可能になるという、アイ・オー・データ機器としても新しいサービスになります。
SMSやQRコードから専用URLにアクセスするだけでビデオ通話が可能です。特にQRコードひとつでできるというのは、紙媒体の郵送を主体とする寺院においては非常に有効に思われます。例えばお盆やお彼岸など問い合わせの多い時期の専用窓口として用意できれば、お参りの混雑状況をカメラで見せるなど分散型参拝の参考情報として役立てられそうです。


二つ目「Live Ariser(GV-LSMIXER/I)」は、とても簡易的に動画配信が可能になるという製品です。
Apple社のiPadとセットで使うことで、PCレスで本格的な動画配信ができます。ボタンが少なくアプリケーションもわかりやすいことから、動画配信を始めたいという方の入門にぴったりです。
また、家族経営であることの多い寺院においては、住職がひとりで法要も配信も担当するというケースが多いと感じます。ただでさえやることの多い法要の際に、明快な操作でミスの発生しにくい機器を選んでいくことも、ひとつのリスク対策といえましょう。

ディスカッション|アイ・オー・データ社の製品・ソリューションに対するお寺からの意見・要望

細野会長も混じってのディスカッション

最後は、未来の住職塾塾生のグループにアイ・オー・データ機器の社員さん、そしてなんと細野会長も加わっての、グループディスカッションを行いました。
ステップ1として、お寺さん側から、アイ・オー・データ機器の製品やサービスに対する感想や要望を出し合います。紹介いただいた製品についての要望や、各お寺でのIT課題など議論がどんどん盛り上がっていきます。

ディスカッション|お寺のコミュニケーションの課題に対するITによる解決策の検討

そしてステップ2ではいよいよ、お寺のコミュニケーションの課題に対するITによる解決策をディスカッションします。アイ・オー・データ機器の社員さんの専門的知識を教えていただいたり、グループによってはAI技術活用の可能性など、実に幅広く有意義な意見交換がなされました。

頭の整理だけに留まらない創発的な勉強会

今回の勉強会企画のひとつのねらいとして、コロナ期間中に多様化したお寺の対外コミュニケーションを整理する機会となればという思いがありました。段々と、対面可能になってきたことで、法要配信をこのまま続けるべきか迷っているという声が聞こえることもあれば、逆にコロナをきっかけにお寺のファンづくりのための動画配信に力を入れているという人もいます。答えはお寺それぞれにあるはずです。

木下誠部長(事業戦略本部CS部)

しかし今回は整理だけにとどまらず、さらに発想が広がっていくような刺激や知恵をたくさんいただき、また議論ができました。
この良き関係性のきっかけをつくってくださった木下誠部長はじめ、アイ・オー・データ機器の皆さまに感謝します。

最後に、勉強会参加者の方からの感想をいくつかご紹介して結びとさせていただきます。

アイ・オー・データ社様が、とても興味を持ってくださっているのが印象的でした。しかも、仏教がこれから人を救ってゆくときに必要になる、アウトプットの仕方、人への寄り添い方、手触りが感じられる具体的で細やかなやり方を、共に考えてくださろうとする姿勢に感動しました。
私はお寺の大きな運営でいくつも課題を持ちつつ、毎日の実務と事務に忙殺されていますが、もっと「うまいやり方」をしていくべく、情報共有や新しいパッケージの開発に期待します。(富山県 S寺)

何らかのコンテンツ配信を手掛けている僧侶が沢山いるのだなと改めて驚きました。逆に自分のお寺はWiFi環境も含む視聴環境を整えることが重要だと思いました。法話もオンライン中継なら多様な講師にお願い出来るかもしれません。交通費等の経費を削減出来るのでうちの様な低予算寺院にとっては助かります。(石川県 J寺)

今後もこういった企画を一緒に行っていけたら、未来の住職塾としても嬉しく思います。


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