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TRPGの話:伏目明(ふしめあかる)

ごーやんGMオリジナル神我狩シナリオ「ヒーローは君の心の中に」
PC⑤でした。お声がけいただき感謝。

空を駆けるヒーロー、愛を届けるヒロイン。
そんな姿に憧れたことが君にもあるはずだ。

それでも大人になった今、それはただの夢だと…妄想に過ぎないと言うのだろう。

これは、子供達に夢を与える
そのために命を懸ける者たちの物語だ!

武装伝記RPGーーーーー神我狩
シナリオ「ヒーローは君の心の中に」

ということで、タイトルの通り、ヒーローのお話。
ある種の「お約束」を踏襲して、プレイヤーの期待を要所要所でキチンと押さえていく。テンポよく駆け抜けていくシンプルかつ爽快なストーリーで、ゆるい雰囲気でありながら強くて優しい物語。
後味はスッキリ、プレイした後は肩がちょっと軽くなって健康にもいい。
ごーやんキャラ特有の「応援したくなる空気」がNPCにまで行き渡っている、愛溢れるシナリオです。

自キャラについて語っていきましょう。
ネタバレなし、主にキャラメイクまわりの話。

まずはハンドアウトがこちら。

PC⑤『闇に潜む正義の瞳』
・コネクション『黒衣菊理(ブラック・マム』
・条件:なし
組織:フリーランス
正義感のある君は仕事を終えて、事務所で次の仕事を待っていた。
すると扉を叩く音がする。
事務所に入ってきたその人物は…
覆面を被ったスーツの女性だった。
その女性が君に提示してきた極秘の任務とは…!

目的:任務をこなす

実は二回目なので話の展開は知っていたりします。
しかも前回と同じハンドアウト。
同じシナリオに二回参加するという貴重な機会、かつ前回まで4人だったシナリオをPC5人で回す初の試みだったので、今回はサブGM的な立ち回りにしようと決意。先に展開を知っていると、この後起こることに対して予めリアクションが準備できる。なので他のみんなよりレスポンスは早く動ける。動けなければならない。

仕切らず、それでいて進行を補佐するようなキャラクターが望ましいかな。
他PCより主張少なめ、かつまだカミガカリに目覚めてない子がいるので、それを優しく説明してくれそうな超常世界に詳しいキャラがいい。
それでいて、自力では真実にたどり着けなくて、でもPC側の次の行動指針をそれとなく示唆することができるキャラ、つまり解説役だ。各PCにフォーカスする場面では喋らないかガヤをやる。ってことは驚いたり焦ったりと表情豊かで、知識はあるけど切れ者というほどでもない、有能でも無能でもないぐらいの塩梅にしよう。
かつ、誘導などで結構セリフは多くなりそうだから、他PCよりは主張しない性格のキャラがいい。とはいえガイドに徹しすぎるのは面白みのない感じになってしまうから、ちょっと一癖ぐらいはあるといいかな。
性格はあまり極端ではなく、一般人の感性でもある程度同調できる、心を読みやすいキャラがよかろう。
そしてハンドアウト的に最低条件として、正義の心を宿していることというのがある。これまでの要件と両立するようなもの……。なにか凄惨な過去があるのかな。普通の人だけど、悪に立ち向かうような出来事があったのかもしれない。

あれ?
何か昔まさにそんな感じの、作るだけ作ってどこにも使ってないキャラ案があったような……(物置を確認)……これを調整したら行けそうだな!

ということで、完成したプロフィールがこちら。

「当プロジェクトのサポーターとしてアサインされました、フリーランスの伏目と申します。
このイシューの解決にあたり、粉骨砕身のフルコミットを推し進めて参りますので、よろしく……おねがいします」

スーツ姿の上に作業着を着込んだ女性はそう言って、過剰な角度で頭を下げた。
いちスタッフのような地味な服装に、事務的な語り口。
片目を覆い隠すほどの長い前髪と眼鏡から覗く瞳には、怯えの色が見て取れる。

彼女は取引先である“特対”の要請を受けて、現場の退魔戦士の補佐を行うフリーランスのスタッフだ。
威厳こそまるでないが、彼女自身もまた高位のカミガカリである。

伏目明、25歳。
多少の生活苦はあれど、ごく一般的な家庭に生まれ育った彼女の人生が狂い始めたのは18歳の頃。
高校卒業後、初めての社会人生活での事だった。

無名の会社からのオファー。初任給40万という破格の給料と、面接での即決、社宅補助つき。
怪しいと考えなかったわけではなかったが、魅力的すぎる待遇に、彼女はすぐさま飛びついた。
主な取引先が環境省、業務内容は気象調査だということも、彼女の警戒心を緩ませた。
公共の福祉に貢献する会社なら、きっと良い会社のはず──無垢な娘は、根拠もなくそう思い込んでいた。
業務は大変かもしれないが、やりたがる人が居ないのかもしれない。
人に喜んでもらえる仕事、人のためになる仕事をしたいと思っていた。
天職と巡り会えたのかもしれない。新しい人生がここから始まるんだ!
それが、明の輝かしい超常世界との出会いであった。

* * *

入社前。
軍隊のような合宿を受けた。
自分の他にも三十人ほどの同期の仲間たちが居た。
限界を超えた運動、人格を否定され、嘔吐すれば叱責、倒れれば叩き起こされ、雨でぬかるんだ道をいつまでも走り続けた。
体を崩して途中で休んだ日には、仲間がそのぶん動かされた。仲間に申し訳ないという気持ちで頭がいっぱいになった。
社長が直々に様子を見にきたときは、緊張で息が苦しくなった。
頑張ってるな、と肩を叩かれて、嬉しさで泣いた。
すべての過程を終えた時には、自分が人として、とても成長したような気がした。
胸を張って、上を見て歩けるようになった。今まで出せなかったような、大きな声が出せるようになった。
同期のみんなと、家族のような連帯感で結ばれた気がして、下の名前で呼びながら抱き合った。皆、泣いていた。
入社式で、貸し切りのホールで全社員の前でマイクを使わずに挨拶をした時。
社長からのお祝いの言葉をもらったとき。
また、皆で泣いた。
同期の仲間たちは、気づけば十人にまで減っていた。

1年目。
新人研修。
超常ナントカだとか、モノノケだとか、神だとか、宗教のような情報を浴びせられた。
御伽噺と陰謀論をごった煮にしたような何かを延々と読まされ、暗記を強いられた。
そんな講義が一月ほど続き、仲間たちの疑心と不満が最大まで高まったある日。
その時を見計らったかのように颯爽と社長が現れて、奇跡のような術を行使してみせた。
種も仕掛けもない、素晴らしい神秘だった。
超常の世界は実在する!自分たちは世界の裏側を知ってしまったんだ!
少しでも社長を疑おうとした己を深く恥じた。素晴らしい会社と出会えたことに感動した。
明は夢中で超常存在の知識を貪っていった。
気象調査という仕事は建前で、実際には特対という組織の下請けとして様々な雑務をこなす超常組織だということは、この時に知った。
同時に、世界の裏側を知らない人たちが、哀れに見えた。
友人たちにその話をしても、白い目で見られたり、心配されたりするばかりで、話が通じない。
この頃から、友人たちと会う事をやめた。

1年目も後半になって、ついに自分も超常の能力の一旦に触れる事を許された。
最初に教わったのは、治癒の術。この日を待ち望んでいた明は、貪るように修業の限りを尽くした。
来る日も来る日も、勉強と訓練の繰り返し。始発から終電まで、血の滲むような苦難の果てに。
とうとう明は、自力の研鑽によって、ただのヒトから、カミガカリの域──デジタルソーサラーへと辿り着いたのだ。
何故この会社では何よりも優先して、最初に治癒を教えさせられるのか。その理由を知るのは、もう少し先の事。
この頃には同期は誰もいなくなっていたが、それに気付くのは2年目になってからの事だった。

2年目。
新人が入ってきた。
この頃には入社時の洗脳も解けつつあり、あの地獄のようなキャンプを終えた後輩たちには同情してしまったし、入社式の挨拶を見たときには、感動ではなく、憐憫の涙が溢れた。
地獄へようこそ。歓迎するよ。どうせ来年までには、皆辞めるんだろうけど。
明は治癒によって身体の疲れを克服し、病や怪我も気にせずに延々と働き続ける事ができるようになった。
会社に泊まり込み、体臭を指摘されれば銭湯に向かい、再びすぐさま職務に戻る。
精神と寿命を削るような体感があったが、それらも訓練次第では克服できると聞いて、仕事と訓練以外のことは考えない事にした。
定時にタイムカードを切らないと強い叱責を受け、手書きで“修正”を強要される。休日や夏季休暇、有給などは「取得している事」にされていた。

3年目。
たまに特対の要請を請けて、現場へ向かうことがあった。
特対職員と会った事はない。
営業に理由を尋ねたら、意識レベルが怪しいため、社外の人間に会わせられるような状態ではないと言われた。
色々覚えられるのが楽しい。それ以外に楽しい事はない。

4年目
記憶がない。
ひどいセクハラを受けていた時期な気がするけど、何も思い出せない。
入社からここまでで、年収が2000円増えた。

5年目
仕事をしながら不意に死にたくなったり、理由もなく涙が流れたりするようになったが、特に仕事を辞めようとは考えなかった。
些細な事ですぐ下痢と嘔吐が訪れる体質になったが、特に仕事を辞めようとは考えなかった。
髪は真っ白になったが、特に仕事を辞めようとは考えなかった。
上司の奥さんに泥棒猫だか何だか言われてひどく罵倒された時も、特に仕事を辞めようとは考えなかった。
彼女の尊厳を繋ぎ止めていたのは、自分の会社が世のためになる事をしているというただ一点の“真実”であった。
しかし、彼女が信仰していたその“真実”もまた、上層部と超常犯罪者によるマッチポンプの露呈という形で、あっけなく崩れ去った。
そのとき、彼女のなにかがプツンと壊れた。

辞める事にした。

コピー用紙にシャープペンシルで「辞表」とだけ書いて上司の机に叩きつけた。
上司が何か言う前に服を全て脱ぎ、(おそらく上司との関係を告発するような何かを)叫びながら机に飛び乗り脱糞して、そのまま会社を立ち去った。

* * *

そんな狂態を演じても、意外と人間は終わらないものだと知った。
尊厳の死と引き換えになんとか会社から逃げ切れた彼女の人生は、まだまだ続く。

緊張の糸がほどけた瞬間、全身にガタが来た。
病んでしばらく寝込んだ。
寝込んでいる間はとても辛かった。
最低の会社にいた日々の記憶が自分を襲ってきた。
仕事をしていない自分を許せなくて、無力感と罪悪感に震えた。

そんな明のもとに何処からともなく現れ、手を差し伸べた人がいた。
特対のエージェント“黒衣菊理”だった。
菊理は明の経歴を書面で淡々と読み上げた後、同情も軽蔑もない無感情な声で、一言、こう言った。
──「“特対”からの依頼をお伝えに参りました」──。

それから2年が経った。
伏目明は世のため人のため、今日も働き続けている。

人権のある社会人生活には未だに慣れない。
増え続ける貯蓄の用途は全く思い浮かばないし、
仕事のない日はベッドの上で働かない自分を責め続けるし、
特対は情けで仕事を回してくれているのではと不安ばかり押し寄せるし、
どんな相手にも粗相がないようにと気を張らねばならないし、
ストレスの多い仕事ゆえにすぐに腹が痛くなる。

だが、彼女は今の仕事を天職だと感じている。
この世の役に立っている間だけは、自分が人間でいられる。
そんな確信をこれほど与えてくれる仕事など、他にないのだから。

長い。

長過ぎる。そしてどうでもいい内容しか書かれていない。

まとめると
・昔パワハラで心が壊れた元社畜
・自信がへし折れていて、内気、陰気、卑屈
・ストレスを受けると持病の下痢が悪化する
・だけど正義と違った曲がった行いに対しては我慢がならない
・ブチ切れて上司の机に脱糞して辞表を叩きつけて辞めた
という人物らしい。癖つっよ。

伏目明(ふしめあかる)という名前にあまり深い意味はないけれど、
親に明るい子たれと望まれて「名」を付けられたものの、生まれた時から定められていた「姓」の運命には逆らえず、伏し目がちな子になってしまってしまう定めだったよね、という感じのニュアンスです。かわいそ。
ちなみにPLは「あかる」では変換できないので「あきら」と打ってます。

舞台の上ではヒーローネームを名乗るよう指示を受ける明。
そこで彼女は「プロンプター」というヒーローネームを名乗ります。
プロンプターといえば、コマンドを用いて動作を促すプロンプトのほかに、舞台芸術のサポートをする役職という意味もある。ストーリー内でもプレイヤーの発言を引き出すようなムーブをしていたので、舞台の上に立つことを受け入れつつも「あくまで自分はサポートでありたい、主役ではない」という彼女なりの意思が宿ったネーミングです。

特対の下請け。口癖は「喜んで!!
調教により仕込まれた社畜精神により、依頼主には絶対服従。
表舞台に出るタイプではない。
なので裏方気分で仕事を承諾してからヒーローショーの役者を押し付けられる形になる。
だけどゴネない。絶対服従だから。
「喜んで!」「お仕事を下さり、ありがとうございます!」
秒速でプライドを投げ捨てながら、理不尽な命令にも従っていく。
そんな感じで自分の尊厳を安売りしていくけど、正義に反する命令には従わない。結構芯が通ってるヤツでもある。

プロローグの展開も予想できていたので、予めこちらで導入の文章を書くことができた。なので導入で心が壊れた元社畜だよっていうのを伝えることができたと思う。

画像2

ごーやんちゃんの許可を貰って掲載させてもろた、プロローグ全文。
GMより喋っている……。
もうこれでキャラクター説明は完了したので、あとは明が上手い事やってくれるでしょう。

なお、作業着でステージに上がるわけにもいかず、本編ではヒーロー衣装に着替えるのですが、結構恥ずかしい格好になっていました。

画像4眼鏡を外したので、眼鏡タカ派のしずちゃんに殺されかけました

ビルド的には設定にある通りサポートのヒーラー。
みんなの回復役。もとは普通の人間。称号はデジタルソーサラー。軍隊のような合宿を受けているので、サブはレジオンにしよう。

世界干渉レベルは3。
回復タレントは無難にキュアプログラムですかね。レジオンなので標的把握でターゲットを増やせる。さらに良いことに、仲間への魔法攻撃なので標的把握の能動マイナスがデメリットにならない。

あれ?んじゃもう発動の値いらなくね?

回復系の固定値を神秘の勾玉と回復強化で積み上げる戦士ビルドへと変更。社畜は体力勝負。判断力は鈍っているので知性は1。
上げるのは受動、つまり敏捷と精神。運はない(運のない女なので)。

この時点で発動の値は3。標的把握が入ったら0。
2dファンブル以外成功、つまりダイスは最低3。あと2下げられるぞ。
そうだ一意専心だ。一意専心で受動に強いヒーラーをやろう。

できたキャラシートはこちら
固定値26ランク2の4体回復ヒーラー。
一意専心による回避12抵抗10看破5の受動判定と、戦闘外の能力判定で頑張る元社畜。
タイミング特殊の戦略移動とイェツィラーで盤面と霊力もサポート。
霊力コントロールに長けているため運に左右されず、自身のムーブに必要な最低限の霊力(キュアプログラムと一意専心)は敵の妨害に遭わない限り必ず自力確保できる。
カミガカリの皆さんが安心して戦える状況を作ります!

本編では、抵抗半減以外の攻撃をすべて回避しました。一意専心、強し。
お疲れ様でした。

さいごに:NPCにキレた明ちゃんのシーンをおまけで付けておきます。

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