新精神科専門医1期生(令和3年度)合格体験記(研修全般~レポート、筆記、面接試験対策)

2023/03/15 令和4年度の流れや令和5年度の受験の手引きを見て感じたことを追記しました。
2024/01/29 令和5年度の受験が終わり、見聞きした情報を追記しています(自身が受験したわけではないため正確性が担保できない点はご承知おきください)。
2024/03/01 令和6年度の受験の手引きを見て、今年度のスケジュールや昨年度の手引きからの変更点を追記しました。

こんにちは精神科医のfaxです。

この度、新専門医制度(機構専門医)が始まって最初の専門医試験(令和3年度)が実施され、無事合格しました。

このnoteは、令和3年度の新専門医試験(症例登録やレポート提出、筆記・面接試験)を終えての、感想(後悔も含む)です。個人情報のこともありますので、具体的なレポート本文は載せておりませんが、新専門医制度になって情報が不足している中、これから受験される先生方や新専門医プログラムに登録された医師を指導する機会が初めての指導医の先生方にとって何かの参考になれば幸いです。

なお、あくまで一個人の記事ですので、確実な合格を保証するものではありません。適宜自分なりに更新していますが、あくまで令和3年度の受験についてのnoteですので、最新の情報については学会からの情報をご参照ください。

なお、私は同時に令和3年6月の指定医(新様式)も受験しました。本記事作成時点でレポートは合格し、口頭試問の予定ですが、こちらはまた別の記事で作成できればと存じます。
追記:作成しました。
令和3年度精神保健指定医(新様式)合格体験記|fax|note

簡単に自己紹介をしておきます。私は現在、精神科単科病院で勤務しております。初期研修後、医局には属さずに専門医研修プログラムを有する精神科単科病院に就職し、3年間の専門医研修を終え、4年目の今年度、専門医試験の受験、精神保健指定医の申請を同時に行いました。

大学病院の良さ(特に研究)もありますが、きちんと病院を選べば、少なくとも精神科においては、必ずしも大学医局に入らずとも最短で専門医取得が可能ですので、現在医学生、初期研修医の方も選択の幅を狭めることなく、ご自身の進路を考えて頂ければ幸いです。




・はじめに

精神科専門医はシーリングの問題もあり、地域によってはプログラムに登録するのが1年待ちとなる先生もいるかと思います。機構が管理することになり、今後は地域偏在の解消に利用されるんじゃないかとか、結局精神科は精神保健指定医があれば十分だとか色々考え、専門医を最初から取らないという選択をとる先生もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回合格したからというのもありますが、個人的には専門医は取った方が良いのではと考えます。

厳密には絶対条件ではないですが、専門医を前提としてCPMS登録(クロザリル処方)、コンサータ処方などできることが増えます。学会のeラーニングを受講することでベンゾ、抗精神病薬多剤の減算回避(新規でそんな処方はしませんが、長期の方や他院からの方でたまにいらっしゃるので)も病院としては重要です。

クロザリル、コンサータは使えないのと、使えるけど使わないのでは、いざという時に違うと思いますし、給料に直接は反映されなくても、それ以外が同じ条件の時に病院としては付加価値がある医師を大事にする可能性が高いです。開業するにしてもあえて使えないようにする目的がなければ損はないと思います。

今後の医療の情勢がどう変わっていくか不透明な今、やはり取れるものは取っておいた方が安心かなというのが私個人の考えです。

そして何より、専門医を受験しなければ勉強しなかったことも沢山あったので(普段が勉強不足ということもありますが)、大変でしたが受験して良かったと思います。

後述しますが、機構専門医といっても、実際の専門医試験は旧来通り日本精神神経学会が運営しているため、試験全体の流れとしては大きな変更はなく、症例レポート提出(4月)→筆記試験(10月)→レポート、筆記両方合格すれば面接試験(11月)→合格(1月)という流れで、各試験の時期も旧来と大きな変更はありませんでした。
追記:令和5年度はレポート提出(4月28日まで)→筆記試験(8月27日)→面接(12月16日 or 17日)→合格(1月)と手引きに記載されています。
追記:令和6年度はレポート提出(4月25日まで)→筆記試験(8月25日)→面接(12月21日 or 22日)→合格(1月)と手引きに記載されています。
レポート提出期限が4月25日(木曜日)の17時までと、これまでより若干短くなっているのでご注意ください。特に指導医の先生から手厚く指導を受けられる場合は何度も修正が必要となるかのうせいもあるため、余裕をもって作成することをおすすめします。

既に新専門医(機構専門医)プログラムに登録されている先生方はご存知でしょうが、一番大きな変更点としては、学会専門医時代は研修手帳というもので管理されていたものが、研修実績管理システムというWeb上での管理に変わっています。こちらで専門医研修中の症例登録・管理、学会発表・参加の登録(新専門医制度から学会発表がdutyになりました)、専門医試験の申込、実際の症例レポート提出など筆記・面接試験以外の全てが完結することになっています。

細かい点で分からないことがありましたが、私たちの代が初年度ということもあり、中々周りに聞ける人もおらず、上級医の先生も分からないこともあったので、このnoteが少しでも役に立てば幸いです。


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