フードロスについて

例によって大学の講義のレポートそのまんま。

ビジネスという側面から見れば浪費は即ち正義で、そこにとてつもなく大きいジレンマができていると思う。

そもそも食品の流通において「生産者・卸売業者」「小売店」「消費者」に与えられた消費期限までの時間が等分されているというのはおかしな話だと思う。消費者は自分が使う分の食材だから、それがずっと残ってしまう可能性は絶対に小売店より小さいし、小売店だって在庫リスクは絶対に生産者や卸売業者より小さいはず。例えば小売店が消費期限のうちで売りに出せる期間を消費者の2倍、生産者や卸売業者が出荷できる期間を小売店の2倍にすれば、消費期限の期間全体のうち、それぞれ捨てずに済む期間が4:2:1になる。2倍とまではいかなくとも、この短すぎる1:1:1という期間が本当に妥当なのかどうかは思考停止せずに探るべき。

ただ、この慣習はいわば必要悪のようなものになってしまっているとも思う。業界の慣習である以上、競争相手よりも新鮮でないものを商品として提供するというハンデは誰も背負いたくないはず。けれど、それと引き換えに環境への配慮をしているという広告が使えるというのは、そこまで価値のないことなのだろうか、とも思う。

棚を賑やかすためだけに過剰に陳列される商品や、見た目の悪いものは全て弾いているとわかるほど揃った見た目の生鮮食品、消費期限の近いものが不自然にも全く並んでいない売り場。これらすべてを失ったとしても、「それをしていない」と声を大にして消費者に言えるというのは、ビジネス的な側面からもメリットがあるのではないか。

なにも消費者は、ここまで非合理的な廃棄を黙認してでも、過剰なまでの品質担保を求めているわけではない。ほとんどの人はそうであるはず。ただ、できるだけ新鮮な食材がいいという当然の欲求に供給側が応えることができてしまい、しかしその代償を消費者に対して大っぴらにはしていないというだけ。ただ知らないから消費者は恩恵にしか目がいかず、というより恩恵であるとも認識できず、それを受け入れてしまう。

受け入れなくなれば自然と供給側は姿勢を変える。なぜなら受け入れられなくて困るのは供給側だから。そちらの方が儲けられるとなれば必ず商人というのは変わる。良くも悪くもそれはいにしえより変わらない。

すべきことは、大手のスーパーやコンビニの、建物の反対側で起きていることを、まだ知らないひとに可能な限り周知すること。それが最初にすべきことだと思う。

※3分の1ルールについて知りたい人はグーグル先生に訊いてください。

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