「娓瀰糺」あらすじ

この世界には、盆踊りの時にとあるお経を唱える風習がある。 それは”火の女神の日記”を基に作られた、”女の子のためのお経”である。
火の女神は恋をした。けれどそれは叶うことのない恋で、彼女はどうしようもない想いを抱え たまま苦しい日々を送っていた。 ある時、そんな彼女の前に”影”が現れ、「パプリカと羊肉を食べればその苦しさから解放され る。」と告げた。しかしそれはこの世界での禁忌を意味した。 それでも彼女は、苦しさから逃れたい一心でパプリカと羊肉を食べてしまう。すると途端に腹部 に激痛が走り、いつの間にか彼女の体からは血が溢れ出していた。 それを知った創造主はこう告げる。「掟を破った人間は血が溢れて止まらない体となり、それ は呪いとなって君の子孫にまで続くだろう。」 傷ついてしまった体、無くならない彼への想い。体と心の”痛み”は消えない。 そして彼女は、同じ様にこの”痛み”と戦うことになる子孫の為に、「この”痛み”がせめて大切な何 かの為になるように、叶わぬ”想い”も決して罪ではないと信じられるように。」と祈りを込め、天 に命を捧げた。
人々はこの火の女神を、そして同じ”痛み”を抱える全ての女の子たちを供養するために、この 日記を歌(お経)にして、年に一度皆で踊るようになった。それが、この「娓瀰糺」の始まりである。
今では、血が眠る臓器は”子宮”と名付けられ、さまざまな”想い”は”心臓”に閉じ込められている。 今も尚、”痛み”と戦っている全ての"女の子"のために、この「娓瀰糺」を捧げる。

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