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人は自ら平和を手放す〜蝦夷の族長アテルイのお話〜

かつて大和朝廷は、仏教の力を使って太平の世を作ろうとしていた。

仏の力を借りるため、立派な仏像を作る必要があった。

立派な仏像とは、金で飾られた仏像である。

金は大陸から輸入する必要があった。
値も高い。

大和の蔵を金の値が圧迫しているその時、
蝦夷と大和の国境で金が見つかった。

蝦夷は金を必要としなかったが、
大和は金を必要とした。

戦になった。

蝦夷のアテルイとモレは大和と戦い敗れた。
2人とも処刑された。

蝦夷は千人単位ほどの村で暮らし、平和だった。

大和は大国でありながら、平和と安寧を求めて躍起だった。

仏像を金で飾れば幸せになれる。

そう信じた人達は、極楽を襲って金を奪い、
仏像を打ち立てた。

釈根灌枝、ここに極まれりであった。

※釈根灌枝 根に水をやらず、枝に水をかける様。些細なことに心を奪われて、大切なことを疎かにすること。

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