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完結までに30年もの時間を要した超大作「ランスシリーズ」その魅力と第四の壁を壊すユニークな発想を解説。

エロゲー黎明期である1989年から始まり2018年にて大団円を迎えた「ランスシリーズ」。

ある意味アダルトゲーム史における原典にして頂点と言っても過言ではない本シリーズだがその歴史の長さから新規で手を出しづらいのも事実である。

そこで今回はナンバリング作品ごとの大まかなストーリーとランス達が活躍する世界の魅力について解説していきたい。


メインキャラクター紹介

ランス

本シリーズの主人公にして自称英雄。

そして奴隷のシィルと共に世界を又に掛ける冒険者でもある。

好きなものは女。

嫌いなものはモテる男という分かりやすい性格の持ち主。

人を助ける時も殺す時も己の欲望にのみ忠実に行動する彼の姿はプレイヤーや作品内のキャラクターをドン引きさせる。

しかしその傲慢な性格で周りを巻き込み(無理矢理)引っ張っていく彼は乱世の世では英雄に成り得る素質を持っているといえる。

悪漢とも言える男ではあるが妬みや歪みといった負の感情は持ち得ていない。

ランスシリーズの世界は妬みや歪みに満ちているためこの悪漢ランスが歪んだ世界をバッサバッサと己の欲望のままに切り伏せていくところが本作の魅力と言えるだろう。

シィル

ランスの奴隷にして自称助手。

奴隷ではあるがランスのことは慕っており、想いを寄せている描写も随所に見られる。

ランスの日常の象徴とも言える人物でありお互いがお互いを大切に想っているもの言葉には出せない、素直になれないというもどかしい関係性。

ランスとシィル、主人と奴隷という二人の関係性の変化が物語において重要な鍵となる。


ランス達が住む歪みに満ちた世界

ランス達が住む世界は私達がイメージする一般的なRPG作品と酷似している。

勇者がいて魔物がいて魔王が君臨している。

人間同士は戦争しているけど大半の人は穏やかな生活を営んでいる、そんなありふれたゲームの世界。

ただ一つ違うのは世界の創造神である「ルドラサウム」。彼の存在だろう。

ルドラサウムは悲劇や狂喜を好む歪んだ性格の持ち主であり魔物に人間が殺されるのを鑑賞し愉悦に浸る歪んだ性格の持ち主だ。

膨大な力をもつ彼には誰も力で逆らうことはできないためこの世界はルドラサウムの嗜虐心を満たすための「おもちゃ箱」なのである。

人間が繁栄する前、ドラゴンが実権を握っていた時代においては彼らが半永久的な平和の時代を勝ち取ったことに怒ったルドラサウムがその力を持って文明を崩壊させたという設定もある。

つまりルドラサウムはランス達の戦いをずっと見ていたいというプレイヤーの分身であり本シリーズのラスボスはプレイヤーである私達なのである。

このルドラサウムによって争うことを強制化された歪んだ世界において果たしてランス達がどのような光を見出だすのか、それともルドラサウムの玩具として隷属してしまうのか、これも重要な見所となっている。


各ナンバリングごとの簡単なストーリー紹介

↑神動画なのでぜひ見ましょう♪


Rance光を求めて(リメイク有)

記念すべき一作目。駆け出し冒険者のランスとシィルが大国リーザスの陰謀を暴くといった内容。

ストーリーはあってないようなものなのでプレイしなくても大丈夫。

RanceⅡ反逆の少女たち(リメイク有)

こちらもストーリーは薄い作品となっている。

しかし本作で登場するバードというキャラクター。

☝️こいつ

優男で女好き。

そしてヒーロー(英雄)に憧れをもつという一見ランスと多くの共通点を持つキャラである。

しかし実際は窮地に陥ると己の保身のために女の子を犠牲にすることも厭わないというランスとは全く逆の性質をもつキャラクターとなっている。

バードがランスと関わり、ランスが覇道を突き進む様を見せつけられる中で膨れ上がる彼のコンプレックス。

その歪みこそがシリーズ最終作「ランスⅩ」において大きな波紋を呼ぶこととなる。

RanceⅢ -リーザス陥落-(リメイク有)

冒険者ランスから英雄ランスへの一歩目を踏み出した作品。

リーザスを救うためランスが奔走する。

ボス的な存在である魔人や魔王が始めて登場し、ここでシリーズの世界観が確立したともいえる作品。

リメイク版がなかなか面白いため興味のある人はプレイしても良いかもしれない。

RanceⅣ-教団の遺産-

ランスとシィルがかつての英雄が残した遺産を追う。

物語の本筋とはそこまで大きく関わらない作品のため本シリーズにハまったらプレイするくらいで良いと思われる。

鬼畜王ランス

超名作。

ゲームシステムは信長の野望と似てる。

ランス6~ランス10までの総集編を1996年時点で先に作ってしまうという珍しいコンセプトの作品。

シィルを失ったランスがリーザスの王になるというifストーリーから物語が始まる。(ランスは冒険が大好きなので本来は王位に縛り付けられることはありえない)

各大国との戦争(ランスⅥ~Ⅸの内容)、魔人や魔王との決戦(ランスⅩの内容)。

そしてなによりも全てを暴力で解決してきたランスの前に初めて現れる絶対的な存在ルドラサウム。

鬼畜王ランスでは基本的に暴力で全ての問題を解決するため各キャラクターとの関係性が今後の作品とは異なる部分が多い。

(ヒロイン達を攻略しないのでランスに対する好感度が低いキャラが多い。)

この関係性の変化により鬼畜王ランスとシリーズ最終作であるランスⅩでルドラサウムに対する対抗手段が異なる部分が非常に面白い。

ゲーム性、シナリオ、BGM全てにおいて評価されている作品であり今ではフリーソフトとして無料配布されているためシリーズ入口としてぜひオススメしたい作品。

Rance5Dひとりぼっちの女の子

気が向いたらプレイするくらいで大丈夫。

RanceⅥ ゼス崩壊

超人種差別国家ゼスでランスがレジスタンスに参加するという物語。

差別、汚職、政治的腐敗といったドロドロした部分をランス達レジスタンスが叩き斬る。

シナリオが今後の作品にも大きく関わってくる重要な作品。

ゲームとしても面白くオススメできる。(クリアまでのプレイ時間はかなり長いけど)

シナリオが切ない。


戦国ランス(ランスⅦ)

織田信長の友となったランスが徳川や武田、島津などを打ち倒し天下統一を目指すという作品。

アダルトゲームプレイヤーなら一度は耳にしたことがあるくらい有名な作品であり名作シミュレーションゲーとして評価されている。

日本を舞台にしているためお馴染みの武将がたくさん登場し取っつきやすい。

過去作のキャラもあまり当日せず、シナリオも完全に独立しているためこの作品からシリーズに入るのもアリだと思われる。

みんなも徳川とかいうクソ狸をボコボコにしよう!

ランスクエスト、ランスクエストマグナム(ランスⅧ)

歪んだランス世界の秘密に切り込んだ作品。

過去キャラクターが総出演するお祭り的な要素を含んだ作品のため他の作品を先にプレイしてた方が楽しめる。

正直本筋にあまり関わらないためプレイしなくても大きな支障はないような気がするがクルックーという超重要なキャラが初登場する作品のためもどかしいところ。

ランスⅨ ヘルマン革命

ロシアをモデルにしたと思われる軍事国家ヘルマンを舞台にした作品。

ランス後期の作品としては内容が薄く印象に残りにくいがボリュームが少ないので20時間程度でクリアできるところは◯。

最終作であるランスⅩに直接繋がる話のためプレイしたほうが良いと思われる。


まとめるとストーリーだけを追うならランス03、ランスⅥ、ランスⅦ、ランスⅨ、鬼畜王ランスをプレイするのがオススメ。

そんな時間ない!という人は鬼畜王ランスだけプレイしてからランスⅩに進むのも良いかもしれない。

(もちろん全作品をプレイしたほうが最終作での感動は大きいものになります。)


最終作、「ランスⅩ」におけるルドラサウム攻略。そして第四の壁を越えたことによる大団円までの道筋。


書くのとても疲れたので後編に続きます。

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