見出し画像

2022/03/24「まだ舞える?」

今夜は最高!!!!


失礼しました、冒頭から『SIX SAME FACES 〜今夜は最高!!!!!!〜』になってしまい……。

ということで、とにかく最高な出来事をたくさん語っていこう。先週土曜日に美容院に行った際、途中まで読んだ『狩人の悪夢』を読破した。夜中に発生した倒木のせいで意図せずクローズドサークル(とは言え、翌朝になったら行政の力で撤去されてしまうので事件発生から解決までずっとクローズドサークルではない)になってしまった、という犯人にとっては不幸この上ない設定ではじまる物語だ。クローズドサークルになっていなければ外部犯説がいくらでも唱えられたのに……。

そんな『狩人の悪夢』だが、事件解決後の一幕が物凄くよかったので引用したい。心の底から人を殺したいと思ったことがある火村英生と火村英生を現実世界に呼び戻すバディとしてのアリスの掛け合い、やっぱり物凄く満足感が高いなと思った名シーン。

「お前は、悪夢の中で誰を殺す?」
 尋ねても返事はなく、彼は口許を歪めるだけだ。
「昔、フィールドワークで和歌山に行った時、お前は言うたことがあるな。憎い相手を刺して、目が覚めてからも両手が血に汚れた感触が残る、と。刺すだけやないのか? 自分のネクタイをはずして、それで絞め殺すこともある?」
 告白は期待していない。だから一方的に言う。
「どうでもええわ。ナイフを振りかざすんか、相手の頸にネクタイを巻きつけるんか知らんけど、ことに及ぼうとした時、よう耳を澄ませ。お前の悪夢の中で梟が啼く」
 ホウ、ホウと啼いてみせた。
「それから婆ちゃんの声。『火村先生、今晩は一緒にご飯食べまひょか』。後ろで瓜太郎、小次郎、桃の三匹がニャアの合唱。続いて俺の声や。『火村ぁ!』」
 彼は前を見たまま、真顔で聞いている。
「『火村ぁ。煙草一本くれ!』。それが合図になって、お前は夢を見てることに気づき、笑いだす」

これ、あまりにも強い「救済」じゃないですか?どれだけ足元が泥濘んでいようが、現実世界で待つ友人の声をトリガーとして笑える夢に昇華されるのだとしたら、救いとしては申し分ない……。

そして、「救い」と言えば今日はやはりこれ。

凄かったね…………………………。


思わず文字をデッカくしてしまったんですが、それくらい凄かった。わたしはインナーチャイルドを飼っている大人が物凄く好きなんですが、尾形もまたインナーチャイルド(チャイルドではない存在も飼っているが)を飼う者のひとりだったんだな~と思った。で、思わず頭をよぎったのは『装甲悪鬼村正』だったんですが、彼女もまた「愛の実在を証明する」ために命を捧げそして全うした女だったな~と思うなどした。

こんなに語ってしまってはもうネタバレじゃん!と思うかもしれないが、尾形の名がトレンド入りしてしまった以上、みんなもう「知ってる」でしょ。尾形はシャーロック・ホームズではないので、教授と共に落下したライヘンバッハの滝からの生還など望めないので。もっと舞って!という気持ちはまあ分からんでもないが、これ以上舞ったところで………………というところでもある。ここまでやってしまったらもう、滝壺にしか救いはないので。

こっちはこっちでなんだか凄いことになってしまったのだが、峰岸玄の綺麗な過去がどんどん黒ずんでいくところ、最高だな。そうだね、誰も頼んでないもんね、黒瀬令児はあの時死んだ方が幸せだったって思っているだろうし………………。

あらゆる人生が救済され、そしてまた再び地の底に落ちていくのを見届ける木曜日になりましたね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?