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最近遊んだゲーム蔵出し感想

 今回の記事はいつもと毛色が違うような、その実、根本は同じのような記事になります。タイトルにもある通り、最近遊んだゲームの感想にはなるのでいつもと変わらないんですが蔵出し、なので記事ひとつ分書くつもりはなかったけども備忘録的にとりあえず感想がいくつか浮かんだので書きました、という体の記事になります。性質上何本も感想を紹介しているので話題がひっちゃかめっちゃかですが、よければどうぞ。

 下記に感想を並べるかたちになりますが、収録内容は『慰愛の詩』(プレイ期間:2020年5月11日-12日)、『蛇香のライラ ~Allure of MUSK~ 第三夜 アラビアン・ナイト』(2020年5月19日-20日)、『グリザイアの楽園』(2020年5月16日-24日)の計三本です。それでは、ネタバレを含む感想になりますが下にそれぞれの感想を綴っていきます。

『慰愛の詩』

 「BLに割り込む女。」。このキャッチコピーに見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか? そうです。同人サークル「サキュレント」さんのR18サウンドノベルです。所謂乙女ゲーム……なのですが、久々にプレイしました。年齢制限ありの乙女ゲーム。『幸の天秤』以来かな? と思いつつも、かなり趣が異なりますが。なにせ、『慰愛の詩』はキャッチコピーにもある通りにBL要素を含む作品になるので……。とは言えど、BLという位置付け(関係性)の男性ふたりの性的な描写は一切ないので、かなりプラトニックです。その分、ヒロインである田無ちさ子が年齢制限要素を多分に担うことになるのですが。

 この、男性同士はプラトニックだけれど、ちさ子とBLの片割れ(『慰愛の詩』における男女のカップリングは片割れである輿水令二との間に発生します)の関係性はプラトニックではない、というところをかなり意識して書かれているシナリオだなとプレイして感じたのですが、実際に令二がそれをちさ子に対して口にしているところがこのゲームの凄いところなんですよね……。普通言いますか? 「なるほどきみの言うとおり……僕の純情は、伊佐治のものかもしれない。でも……愛欲はまぎれもなくきみのものなんだ」って。

 BLにちさ子という女を割り込ませたのはまぎれもなく令二なんですが(ちさ子と再会してすぐにコンドームを買いに行って枕元に忍ばせておくような男なので)、それにしたって、ちさ子にも、あるいは伊佐治に対してもそのスタンスであることはあまりにも傲慢なんですが、令二はそれを許されてしまうんですよね。なぜなら美しいから。天使のような容貌をしているから。愛されているから。哲学をやり、詩を書く男の行動としてそれだけでもかなり役満なんですが、ちさ子という女から搾り取った情念を元にして伊佐治のための詩を朗々と読み上げるところも「うわあ……」になってしまいますね。自作の詩を発表する場にちさ子、そして伊佐治を招いて令二はちさ子には目もくれずに伊佐治に対しての詩を送るんですよね。自分自身の純情に向けて。令二のその行為に対して、伊佐治自身も「……朗読会にきみを連れてきたのを見たとき、こいつは復讐をするつもりなんだと思った」と語っているのも、余計にちさ子を惨めにさせるんだろうなと思うと余計にひどい行為だなと思います。ある種の「本命」である側がそれを悟ってしまうような状況になにも知らないちさ子を招いてその場で知らしめるというやり口は、確かに伊佐治が口にするように、復讐としか思えないんですよね。

 けれど、伊佐治は令二のそんな行為を目の当たりにしても「あいつはそんなに邪悪かな。心から悪いやつかな。わからないんだよな……」と口にするところが、なんとも。自分自身は令二と肉体関係を持っていないのに、肉体関係を持っているちさ子に対しての嫉妬を交えることなくそう口にできてしまうことこそ、ちさ子が恐らく心の底から欲しかったものなんだろうな、と思うと、『慰愛の詩』は嫌なことをしてくるなあ、といい意味で感心させられました。

 ラストシーンで令二がちさ子が握りしめた刃物を肯定し、それが自分を刺すこともわかった上で詩を贈った際、ちさ子が「れい兄、れい兄、すっごく醜いくせに。そんなきれいなこと言って、私を」と口にしたのが物凄く心の中に残りました。美しいものは最強理論、谷崎潤一郎で育ったオタクなら絶対に無条件降伏してしまうくらいに好きな概念のひとつなので。

『蛇香のライラ ~Allure of MUSK~ 第三夜 アラビアン・ナイト』

 第一夜、第二夜の感想は特に文章で残していないので突然第三夜の感想? という気分にもなるんですが、蛇香のライラすべてプレイしましたよという総括的な感想です。第三夜に来てとうとう「ターゲットとクライアント」という図式が完全に崩壊したんですが、元々乙女ゲームのデフォ惚れ枠が好きなので第三夜をプレイするの、楽しみにしてました。

 二重スパイルートでは、とうとうカルマの真相なども明かされたのですが、店主様はまだしも、アイーシャが……というところは想定していなかったので、最後の最後で驚かされました。第一夜、第二夜で散々攻略キャラクターたちとの仲を妨害してきた女性キャラたちも揃い踏みだったのですが、結局店主様が最後まで楽しそうでしたね、二重スパイルート……あの容姿のままどうやって生きていくんだろうか、という気持ちもあるものの、研究さえできれば楽しいみたいなところがあるので彼は彼で今後を楽しく生きていくんでしょう、という気持ちです。

 ライザールエンド後は完全に王家の血統が途絶えると思うんですが、そこは問題ないのだろうか? という疑問が若干残りましたが……。

『グリザイアの楽園』

 グリザイアシリーズ、完結編です。『果実』、『迷宮』とプレイして軽く二年くらいは引っ張ったような気がしたんですがようやく『楽園』をプレイしてわたしの中の風見雄二の物語を完結させることができました。グリザイアシリーズに関してはアニメ化もされているので、内容は知らなくてもタイトルくらいは、という方も多いと思いますが、美少女ゲームと見せかけた風見雄二の物語です。

 元々、『グリザイアの果実』では各ヒロインとのエンディングがあるかたちのゲームでしたが『グリザイアの迷宮』では主人公である風見雄二の過去をクローズアップ。どうして風見雄二が『果実』に至ったのか……について描かれるのですが、『迷宮』で描かれた風見雄二の過去を通してその存在を知ることとなった日下部麻子という女に、それはそれは深い傷を残されました。とにかく格好いいんですよね、日下部麻子。

 けれど、『果実』ではすでに日下部麻子は亡く。遺された風見雄二が五人の女を救ったその後、もはや生きる意味を見出せなくなった……というところから再び物語られるのが『楽園』です。殺人人形としての風見雄二が人を殺しすぎた己を知りつつも、けれど楽園で生きていくという語り筋で物語が閉じられます。はじめは完全に従来の美少女ゲームだったんですが、最終的にグリザイアシリーズが到達したのは「風見雄二の人生」だったことに、なるほどなあと思わされました。

 『楽園』では風見雄二が自身の人生に答えを得、その後どのように生きることになったのか……という「楽園アフター」が存在するんですが、プレイ前はてっきりヒロインをひとり選んでエッチなシーンが見られますよ、というサービスシナリオかなと思ったんですが選択肢は一切なく、ヒロイン全員と肉体関係を持ちつつ、誰も選ばず(選べず)、恐らくは今後すべてのヒロインがそれぞれ風見雄二のこどもを生むことになるんだろうな……と思わせるエンディングで幕を閉じます。「それでいいのか!?」と思いつつ(実際避妊を怠っていたヒロインが妊娠出産しますし)グリザイアシリーズが辿り着いた結末には概ね満足です。『果実』形式がよかったプレイヤーも一定数いるんじゃないかな~……などと思いつつも。

最後に

 というわけで、以上蔵出しゲーム感想5月編でした。今後もある程度の本数が溜まった時点でこのような記事を書ければなと思います。図らずしも三本とも異なる傾向のゲームになりましたが、まだまだ積んでいるゲームも多くあるので積みゲー解消になればという目論見も抱えつつ。

 それでは!

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