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夏至前の膿出しあれこれ

毎年夏至前には何かしら起こる。
自分の中の感情の膿み出しのような出来事。

突然実家の母から電話があり、受話器を取ると電話の向こうで絶賛親子喧嘩中の母と兄の怒声が聞こえてきた。
「もしもし!」何度言っても母は電話が繋がっていることにまったく気が付かず、大声で怒鳴りあっている。そしてその喧嘩の原因はなんと「わたし」であった。
私の悪口を延々聞かされるという体験をした。
数年前の出来事だが、これも学びが深い話だからまた別に機会に書こうか。

そんなこんなで夏至前には何かあると毎年ヒヤヒヤしていたが、今年はそんなことはすっかり忘れていた。
が、やはり起こった。

運転初心者の息子が遠く離れた他県で事故を起こし愛車はレッカー移動で帰ってきた。
怪我人が一人も出なかったのが幸いであるが、愛車は廃車となった。

まだ運転が未熟な息子が友人と二人で釣りに行くと早朝車で出かけて行った。
マンションの4階から下の駐車場を見ると、出発の準備を入念にしている息子の姿が見えた。
ナビを準備し、座席の位置を調整し、なんだかんだと10分くらいもぞもぞと準備をし、やっと車は動き出した。ソロソロと駐車場を出ていくまで見送ったがなんだか心配で、普段ならまだ起きる時間ではなかったが二度寝する気になれず身支度を済ませた。

そして10時過ぎ、携帯が鳴った。

「事故った!」息子の第一声。
「どこで? ケガ人は?」私。
電話ができるのだから息子は大丈夫。同乗の友人は? 事故の相手は?
血の気が引く。

相手は路線バス。
乗客の方々に怪我人が出なかったのが本当に幸いだった。
バスは右後方を破損、こちらは左前のタイヤが大破。
バスもうちの車も動かすことができず、3車線のうちの2車線をしばらく止めてしまったそう。
タイヤが破損していたため、すぐには動かすことができない車のそばで途方にくれる息子の姿を思うといたたまれない。

目的地までもうすぐだった息子にバスの運転手さんから「もうちょっとだったね。」との慰めの言葉に救われたそう。
道の向こう側で携帯を構える野次馬や通り過ぎる度にジロジロ見つめるドライバーの視線にうなだれる息子が哀れに見えたのか、運転手さんも現場の警察官の方も優しく対応してくれたのがせめてもの救いだったと。
「帰りどうする?レンタカー借りる?」おまわりさん、帰りの心配はありがたいがさすがに運転するメンタルはありません。と、せめて温泉入ってなんとか気持ちを切り替えて電車で帰宅してきた。

多くの人に迷惑をかけ、怖い思いをし、ビビりな息子には厳しい体験になったが怪我人がでなかったのが本当にありがたく感謝でしかない。
愛車の走行距離も多くなり、異音も気になりそろそろ買い替えたいと思ってはいたが、倹約家の夫に言い出せずにいたことは確か。
夫も薄々買い替えが必要とは思っていたらしい。
そんなこんなで夫も息子には寛大な態度だった。
保険の等級が下がることをボヤいてはいたけど、そんなボヤきで済んだことに感謝せねば。
後日、息子と二人、修理工場に置いてある愛車に感謝とお別れを告げに行った。
乗りづらいとか言ってごめんね。息子を守ってくれてありがとう。たのしかったよ。長い間、お世話になりました。

これが今年の夏至前に起こったこと。
我が家の膿出し。

怪我人なくてほんと良かった。









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