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FP1級実技面接2024年6月16日PartⅡ

PartⅠが終わり、PartⅡの設例読みの時間まで待合室の自分の席で時間を過ごします。朝に考えていた作戦では、PartⅠが終わってからトイレに行き、身体を伸ばし深呼吸をするつもりでしたが、PartⅠでお持ち帰りした論点のことを考えながらラスパーさんの伏線回収シリーズの最終確認をしているとアドレナリンが出ているからか不思議と席を立つ気になりませんでした。自分の感覚に正直にその場から動かないようにしました。

意外とすぐにPartⅡの設例読みの時間がやってきました。今度はPartⅠの時とは逆側の部屋の隅に移動して設例用紙を受け取ります。

改めまして、ルールの確認ですが、ここで書いてあることが全て正しいとは限りません。受験当日の面接官とのやり取りや雰囲気などをエンタメ感覚で参考情報として見て頂ければ幸いです。
今回はPartⅡ(不動産)の面接のやりとりを再現します。問題については、金財のHPに挙がっている6月16日PartⅡをご覧ください。
https://www.kinzai.or.jp/fp/news-fp/44232.html

腕時計を見て開始時間を設例用紙の上部に記入してから、問題を読み始めます。

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ふむふむ、頁右側の図によると、三大都市圏で土地が広くて500㎡以上あるな、普通商業・併用住宅地区なので、地積規模の大きな宅地の特例が絡む論点かな。整形地の右上に別の土地建物(乙土地・乙建物)もある。15m以上の特定道路から70m以内で6mの前面道路にも接しているから容積率緩和の計算も聞かれる感じかも。

頁左側は、今回のAさんはPartⅠよりさらに高齢で90歳。FP実技試験にも超高齢化社会の波が到来。。Aさんの長男Bさんと二男Cさんは隣県T市に家族と暮らしていてAさんのいるS市に戻る予定はないのね。子の勧めもあって要介護認定を受けた上でT市内の介護付き有料老人ホームに入居か。空き家譲渡の特例とかと絡めて何か聞いてくるつもりかな。マーカー引いておこう。

X社は、バイパス道路開通に伴い需要減退した県道に面する甲土地の借地契約を解約したがっている。契約書に中途解約に関する条項は無いとあるから一方的には無理でしょ。旧法なので期間40年でも更地で返す義務はなく、店舗を無償でAさんに譲り渡すオプションもついている感じかな。借地契約期間は2030年9月までなのであと6年強か。どのみち収益を得られる期間もあとわずか。

ただ、甲土地はマンション用地としての需要は多く、甲土地、乙土地一体でマンションディベロッパーになんと3億5,000万円で売却可能!スゴい!!あと、6年ほどで契約満了する借地契約の残りの収益の約6,000万円(≒(年間地代1,200万円-年間固都税220万円)×6年強)と比べると断然有利な条件やね。そのまま相続してもどのみち6年後にはX社との契約も終了するし、そのタイミングでまた今回の3億5,000万円のような案件が出てくるかどうかも不透明やから見通しが立つ時点で売却して賃貸経営リスクから解放された方がいいよね。Aさんは老人ホームへの入居を機に甲土地、乙土地を売却してもかまわないと思っている、という追い風情報もあるし。マーカー引いておこう

他の情報としては、Aさんの所有財産のうち、現預金は1,000万円と少ないな。毎年贈与税を払ってでも300万円ずつ長男Bさん、二男Cさんに生前贈与しているのか。乙建物は1980年10月築やから空き家譲渡の3,000万円控除の要件はここでも満たす。あ、やっぱり質問事項3で生前に売却する場合と相続人が売却した後の売却の課税関係の違いを聞いてきてるね。10年超所有軽減税率が後者では使えない点は学科の応用編の計算問題を見返して再インプットしておいたよ。

専門職業家については、税理士、司法書士、宅地建物取引士、土地家屋調査士、不動産鑑定士あたりかな。この借地契約の論点レベルだと弁護士の先生を呼ぶまでもないでしょう。
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15分のアラームが鳴ったので案内係と一緒に面接室へ移動。ノックして入室。

面:面接官の発言
ニ:ニキの発言
():ニキの心の声
【】:ニキの挙動

二:FIREニキと申します。よろしくお願いいたします。【ペコリ】(PartⅠとは逆側から入室で、ほぼ左右対称な部屋やね)

面:はい、FIREニキさんですね。よろしくお願いします。座ってください。

二:失礼いたします。(質問係が経験豊富そうなベテラン男性、採点係がエリートっぽい若手の男性。これまた、お二人とも仕事ができそうなオーラが漂ってる。圧迫感はなし)

面:設例にじっくり目を通したと思いますが、まず、Aさんから直接聞いて確認する情報はどのようなことがありますか?

二:所有不動産について取得費や取得日がわかる契約書があるかどうか、X社の借地についての内容がわかる契約書があるかどうか、Aさんの他の収入、所有資産、借入の有無、今後のライフプランの確認、売却について長男Bさん・二男Cさんの意向、売却金額が3億5,000万円と高額になるため費用はかかるが不動産鑑定士を利用してもよいかどうかの確認、あとは、地積は実測値かどうか、隣地との境界確定をしているか、を確認します。(採点係の試験官が最後の方でおおっというリアクションをしていたような…気がする)

面:次に、FPであるあなた自身が調べて確認する情報を教えてください。

二:現地確認として、外観、近隣状況、境界標や接道状況などの確認を行います。権利関係として、法務局で登記事項証明書、公図、地積測量図の確認、法令上の制限として、自治体の都市計画課等で用途地域や都市計画を確認し将来の開発予定や周辺環境の変化を把握します。あとは、市場調査として、マンションディベロッパーの財務情報、取引事例の確認、売却価格3億5,000万円の妥当性について、念のため自身でも地元の他の不動産業者の意見やインターネットの情報を収集調査します。(過去の受験生noteでは簡潔に喋るように注意されているケースもあったが、くすもとFP事務所のYouTube動画を繰り返し聞いて、途中でカットインさせない流暢なスピード感で話す自信があったため思い切って長めに説明)

面:うん、そんなところですかね。

二:はい。(お、追加質問なしの雰囲気。網羅性をつつくリアクションについては、先週の模擬面接でみかんさんに鍛えられたので威風堂々でいきますよ)

面:AさんはX社から借地契約期間満了前に解約の申入れを受けていますが、これ、応じる必要あるかな?

二:必要ありません。旧借地法の事業用借地権契約なので更地返還か、店舗を無償で譲り渡すかといったオプションはあるようですが、契約書上中途解約に関する条項は定められていないためX社側からの一方的な解約はできません。(確か、新借地借家法から定期借地権とかのルールも出てきたはずやし、試験のお作法的にもここで解約可能となったら以降の問題も成り立たなくなるしね)

面:はい、一方的な解約はできない、という事でこの部分に関連する質問はまた後ほど行います。乙土地についてですが、Aさんが老人ホームに入居後に売却する場合の課税関係はどうなりますか?

二:譲渡所得税が課税されます。譲渡所得は収入金額から取得費と譲渡費用を控除して算出します。使える税制の特例としては、居住用財産の譲渡所得の3,000万円控除と10年超所有の軽減税率があります。(老人ホームに入居予定なので買換え特例はなし、と)

面:軽減税率は何パーセントになりますか?

二:復興特別所得税、住民税込みで14.21%になります。(確実に点数を積み上げ)

面:Aさんが老人ホームに入居後に売却するようだけど、本当に適用できるのかな?

二:はい、居住をしなくなってから3年後の年の12月末までの売却となるため可能です。(揺さぶりには動じませんよ)

面:老人ホームに入居したAさんが亡くなった後、相続人の子が売却する場合の課税関係も教えてください。

二:譲渡所得税が課税されるのは生前に譲渡するケースと同様です。使える税制の特例に違いがありまして、こちらは1981年5月31以前の建築になるため、空き家の譲渡所得の3,000万円控除が使えます。(10年超所有の軽減税率はこちらでは使えない点がポイント)

面:譲渡対価には要件はありますか?

二:1億円以下でないと適用できません。(この辺りの要件は何度も一問一答でやったので自信アリ)

面:他にも要件はありますか?

二:区分所有登記がされていないこと、譲渡まで他の用途に使用していないこと、被相続人が一人で住んでいたことです。要介護認定を受けた上での老人ホーム入居の場合は最後の要件もクリアしていることになります。(この辺りでミスると他の受験生と差がついちゃうので丁寧に)

面:建物はそのままでもよかったですか?

二:(危ない…言い忘れてた)建物が除却されるか、新耐震基準を満たすリフォームが行われていることが必要になります。法改正があり、譲渡の翌年2月15日までに買手側が除却するか新耐震基準を満たすリフォームをする場合も適用が可能になりました。(法改正部分も合わせて倍返し)

面:今回の相続人の2人はいくら控除できますか?

二:相続人はそれぞれ3,000万円ずつ譲渡所得からの控除が可能です。(3人だったら2,000万円ずつになる法改正もあったので引っかけやな)

面:ここまでの流れを踏まえて、Aさんや長男Bさん、二男Cさんにどのようなアドバイスをしますか?

二:顧客に対して判断を強いることはしませんが、私の意見としては売却をアドバイスします。理由としては、マンションディベロッパーへの売却価格が約3億5,000万円なので、借地契約の残りの期間で見込まれる地代収入と固都税からの収益合計約6,000万円を大幅に上回っており経済合理性があるためです。あと、設例文中からの情報として、「長男Bさん、二男Cさんは、いずれも隣県のT市内の分譲マンションで妻子と暮らしており、S市に戻る予定はない」、「Aさんは、子の勧めもあって、近々T市内にある介護付き有料老人ホームに入居する予定である」、「甲土地乙土地のエリアは、沿道サービス施設の敷地としての需要はなくなってきたが、マンション用地としての需要は多い」、「Aさんは、老人ホームへの入居を機に、甲土地と乙土地を売却してもかまわないと思っている」とあるため、顧客のライフプランや売却に関する意向、最近の該当エリアの需要動向にも即していると考えられるためです。マンション用地としての需要も今回の沿道サービス施設の需要減退のように長く続く保証はありません。(どう考えても売却でしょう!3億5,000万円ゲット!!)

面:なるほど。でも、例えば、相続税の観点から売却しないという選択肢もないかな?Aさんは相続税対策に関して意識が高く毎年それぞれの子に300万円ずつ贈与したりしているよ。

二:【少し沈黙】(お、そういえば確かにAさん毎年贈与してたな…相続税側のメリット・デメリットはほとんどまとめていなかったな…何か言わないと…)冒頭で述べた長男Bさん、二男Cさんの売却に関する意向も踏まえてアドバイスを行います。彼らが賃貸経営のリスクから解放された手元のCashを優先するのか、相続税の削減を優先するのか…

面:土地の評価はどうなるかな?

二:X社へ貸し付けたまま相続させれば甲土地は貸宅地として評価ができます。(乙土地は何て言おうかな…)

面:そうだよね、借地権割合が60%で~○△×□が、#$%*で、&¥;@になるから、かなり相続税の課税価格を圧縮できそうだよね。

二:はい。(あ、借地権割合とか色々面接官側で説明してくれた!次何喋ろうか考えながら聞いてたからDetailまでは追いきれなかったけど)

面:あと、マンション用地としての需要はまだ多いみたいだけど?

二:例えば、ディベロッパーと等価交換してマンションを建築するといった事も考えられます(Aさんは隣県T市の老人ホーム、長男Bさん、二男CさんもT市にいるので立体買換えの特例の適用部分についてはぼかしておこう…1/2がAさんや親族用の居住用じゃなくてもいけたかもやけど、保守的に…)。

面:X社との借地契約の絡みもあるから、Aさんの相続がどのタイミングで発生するかにも影響受けそうだよね?

二:あ、冒頭でAさんの健康状態を確認するのを忘れていました!角が立つと思い遠慮をしておりました。(言い訳モードon!!)

面:まぁ、Aさんがいつ亡くなるかなんて誰にもわからないんだけどね~

一同:笑(これは助け舟、いや…豪華客船クルーズ!?)

面:さて、今回のケースに関与する専門職業家を名称だけでいいので全て挙げてください。

二:不動産鑑定士、税理士、宅地建物取引士、司法書士、土地家屋調査士です。(税理士法の改正のあった税務相談停止命令制度とか聞いてくる感じかな)

面:税金の具体的な計算をお願いされたらどうしますか?

二:税理士法に抵触するため、丁重にお断りします。(過去のnoteで会計事務所に勤務されている方が「計算します」、と答えて怒られていたから注意せねば)

面:各専門家と協業する上で気をつけることはあるかな?

二:それぞれの専門家には独占業務があるため、その領域を侵害しないように注意します。(このやりとりも確か複数名の過去のnoteで登場してたな)

面:面接は以上になります。お疲れ様でした。

二:ありがとうございました。失礼いたします。【ペコリ】(よし、お持ち帰りなし!)

面接後の振返りとして、PartⅡはお持ち帰りこそ無かったものの詰めが甘い部分があったと思います。例えば、相続後の乙土地の売却については取得費加算の特例を言い忘れていましたし、売却するか、保有継続するかの部分でいくと、相続税観点からの比較考量が足りていなかったと思います。最初の設例読みのタイミングで気付けていた地積規模の大きな宅地の特例を売却しない場合のメリットとして挙げたり、乙土地について特定道路からの距離による容積率緩和を考慮してから乙土地のみの売却など(第三の選択肢)、より広がりのある提案ができていればもっと加点されていたように思います。

長い文章になりましたが、ここまでお読み頂いた意識の高い方々、誠にありがとうございます。特に、今後FP1級実技面接試験を受ける方の参考になればとてもうれしいです。

果たして、ニキが乗船した豪華客船はタイタニック号だったのか否か、7月11日が合格発表になりますが、それまでは他の事して息抜きしながら今回の他の試験日の問題を解いたり、他の方が書いたnoteやXのPostを見て試験の余韻を楽しみたいと思います。

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