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それよりも辛かった事①

宗教2世として禁止事項はたくさんあったし、子供の私にはそのどれもが切なく悲しかったが、それよりも辛かった事がある。

父の大反対だ。

宗教活動に対して、配偶者や親族から激しく反対を受ける事を『迫害を受ける』と呼び、その迫害に耐えるという事が、ことさら賛美されていたように思う。

反対する父親から逃げる為に裸足のまま屋根を伝って逃げた、とかそんな話はまだいいほうで、あちらの(かたぎでない人)世界の迫害者は、宗教に傾倒する娘の指を一本ずつ切った、なんていう話も聞かされた。
怖い…そんな話を聞かされるたび私は怖くて仕方なかった。

禁止事項を守る事はまだ耐えられた。
輸血拒否や体罰と言われている躾も、それはそれで怖かったが、自分が悪いんだ、愛を持って躾けられていると思い耐えられた。

たくさん耐えて我慢して頑張っているのに、その行動を全否定される『迫害』
本当に辛く耐えがたいものだった。

父の顔色を伺う毎日。
迫害に耐える事こそ信仰だと教えられる毎日。どちらを向いても苦しい。
生きた心地がしなかった。

神に従って正しいことをしているはずなのに
学校では楽しい事は何もできず、家では神経がすり減る毎日だった。

我ながら、よく生きてこれたと思う。

父は定期的に家で暴れたが、私が小学校低学年の頃だろうか?
ある時、夜の集会から帰宅すると、マジックで壁に書かれていた言葉がある。

一瞬見ただけのその壁の文字を今でもはっきり覚えている。

最後にこう書かれていた。

『俺はこの生活につかれた』

私たちのやる事に反対し、暴れ、暴力をふるう。追い出された事は1度や2度ではない。書籍を全て浴槽に沈められていた事もある。
ただただ怖かった父。

私は父が嫌いだった…

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