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【品質、洗濯絵表示ラベル】のこと

久しぶりの投稿です。昨今個人でブランドを立ち上げる方々が多くなってきている気がします。私の所にもそういった案件がちらほらと。今は生産背景や実店舗がなくとも生産請負アプリや無料販売サイトなどで比較的容易に自分のブランドを設立しやすい環境になってきています。そして洋服を作るにあたり必ず必要なってくるのが "品質、洗濯絵表示ラベル" です。業界では「品表」と呼ばれたりもしています。ここでは消費者と製造の立場からこのラベルとの関わりを書こうと思います。

【品質、洗濯絵表示の役割】消費者編

おそらく大抵の人が目にしたことがあると思います。洋服の裏側などあまり目のつく場所ではありませんが、白いテープ状のものに素材の混率などの情報が記載されているものです。その洋服はどんな素材で作られているのか、せっかく購入した洋服をできる限り品質を保ちながら着るにはどのように取り扱ったら良いかが明記されているのです。

とは言いつつも実際あまり気にしていない消費者の方は多いとは思います。洋服の素材は千差万別です。専門知識がなくともそれに見合った最低限の取り扱い、或いは洗濯方法を明記してくれているこれらのラベルはとても重要なのです。我々消費者も本来しっかり意識しなくてはならない所です。洗濯方法や取り扱いを誤り大事な服を台無しにするのはもったいないですよね。2016年の12月より世界標準の新しい洗濯絵表示に変わりました。消費者庁のリンクを貼っておきますのでここで改めて確認しておきましょう。

新しい洗濯絵表示はこちら

【品質、洗濯絵表示の役割】製造者編

さて、ここからが本筋になります。冒頭に記述した通り、誰でも容易にブランドを立ち上げることができるようになってきました。しかし、いざ洋服を作って売るにあたりこの "品質、洗濯絵表示ラベル" のハードルを乗り越えていかなければなりません。消費者編で記述した通り、その取り扱い方法を今度は製造者が導かなければならない責任があるのです。

簡単に説明していきます。

①素材を明記する。その商品に使われている生地の素材名、混率を全て明記する。(当然合計混率は100%になります。)生地の仕入れ先などに聞けば大抵問題ないでしょう。ついでに生地の取り扱いについて注意事項があれば聞いておくのがベターです。生地屋さんによっては生地検査報告書を持っていますので取り寄せできたら尚良いかと思います。

②洗濯絵表示を選定する。洗濯方法、乾燥の仕方、アイロン温度など上記で説明した世界標準の絵表示を当てはめます。これも基本的に素材の特性で決めることが多く、加えて商品のデザインなども加味しながら検討します。

③取り扱い注意事項の記載。②以外の特記事項または②の補足として明記します。(例:プリントにアイロンしないでください。色移りする為単独洗いしてください。など)これも①の情報や商品のデザインを加味しながら検討します。

④生産国、販売元の記載。この商品がどこで作られたのか、又は販売の責任者は誰なのかを明記します。生産国、会社等の屋号、住所などを記載します。


以上製造者はこのような情報を消費者に明記しなければならないのです。製造までを一貫してOEMメーカーなどに依頼する場合はメーカーが全て対応してくれるでしょう。しかし個人で製作して販売する場合など結構な労力がかかります。

生地検査依頼する場合、検査料だけで1素材1カラー¥20000前後かかります。注意事項なども心配な場合、品質管理士などに外注査定してもらったりします。そこからラベル業者に情報を渡し作ってもらいます。10型あれば基本的に10通りのラベルを作ります。各ブランドさん分で私は毎回頭を抱えます笑。

正直大げさに感じるかもしれませんがこれが本来の形なのです。一つの例として私自身の会社(OEM)では個人のお客様に関しては販売元がプライバシーの問題で記載できないと言う理由で製造元として弊社の情報を載せて販売した例もあります。要するに消費者が泣き寝入りすることがないように責任の所在をはっきりさせなくてはならないのです。

製造者側品質表示規定はこちら

【まとめ】

今回書いた記事は実際のところ大げさな部分もあると思いますし、別に売買間で信頼関係ができていれば問題ないこともあります。しかしブランドを立ち上げる以上不特定多数の人がその服を購入していく事になると思います。中にはとても神経質な人やアレルギーの人もいます。その一人一人と売買契約をするのは不可能に近いのです。服は売って終わりではなく、消費者にとってはそこからがスタートです。気に入った服を少しでも長く良い状態で着てもらう為にもできる限りの情報を明記する事はとても重要な事です。これらのラベルには消費者と製造者がお互い気持ちよくファッションを楽しむ為の小さいけれど大きな架け橋だと思うのです。

【追記】

これから個人のブランドを立ち上げる方はこれらの事はなるべく外部に委託することをおすすめします。丸投げという意味ではなく、もちろんこれらのことを十分に勉強し、把握することは大切です。しかし想像以上に時間と労力がかかりますし、できる限りクリエイションに時間をかけた方が良いに決まっているのです。こういうことも含めブランド設立の予算組みや事業計画を作成する際の参考にして頂けたらと思いこの記事を書かせていただきました。偉そうな感じになってしまいましたが、これが言いたかった事です笑。最後までありがとうございました。


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