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徒手療法家のためのファシア考察

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ファシアについて徒手療法家が知っておくべき情報を随時更新していきます。またファシアに限らず徒手療法に関する事柄も随時追加していきます。
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2018年5月の記事一覧

痛みについて勉強しなおす (2)-② ---神経痛?---(PS.2023年7月18日少し修正)

いわゆる神経痛(坐骨神経痛、胸郭出口症候群、頸肩腕症候群など)の治療で、とくに痛みや凝り感じゃなく、”痺れ”を主訴とした患者さんの治療は苦労しませんか?恥ずかしながら、私がそうでした。その”神経痛”も以前の私は「筋肉のトリガーポイントが原因だ!」として、例えば頸肩腕症候群や胸郭出口症候群なんかもすべて、斜角筋周りの治療メインでしていました。坐骨神経痛も殿筋群や梨状筋狙い撃ちの治療でした(笑。しかし、思い返してみると、そういった患者さんたちが良くなったケース”全て”、「治療後、

痛みについて勉強しなおす (2)−① ---神経痛?神経を圧迫すると痛みがでるのか?---

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ストレッチの是非(1)---筋の収縮とストレッチ???---

先日のEyal Lederman先生の「Functional stretching」の講習会で、私は「目から鱗が落ちまくり」でした(笑。特に以前、他のブログエントリーで紹介した「(非外傷性の)痛みの場合、それは筋が収縮しているから痛むのではなく、うっ血している状態(むくんでいる状態)かその箇所が敏感になっているからだ」という事柄については、講習会後もLederman先生とメールのやり取りをし、疑問を解消しました。 というのも、私は、たとえば長時間のデスクワークで首肩凝り(痛み

ストレッチの是非(0)---プロローグ---

これからしばらくの間、ストレッチの考察をしていこうと思います。 本来ならば、考察の順序はDoug Richards氏の「Stretching: the Truth(ストレッチの真実)」から始めるべきですが、http://podbay.fm/show/336356622/e/1236549600?autostart=1(ここから動画がダウンロードできます)、先日Eyal Lederman先生の「Functional Stretching」の講習にでて、いろいろと刺激をうけまし

深層筋治療主義に異議あり!(9)---Gil Hedley先生からのメッセージ---

「インテグラル・アナトミー」シリーズ第2巻のパート2の部分で、Gil Hedley先生の治療に対するコメントがありました。その部分を引用します。詳しくはyoutubeで本編を見て下さい。以下の訳は意訳になります。 Again, what needs the work? What is at tissue? Is it this clumping of tissue that inhibits the sliding surfaces from "playing" again

深層筋治療主義に異議あり!(8)---我々は”深層筋”を触れているのか?---

Gil Hedley先生のビデオ「Integral Anatomy」Vol. 1のPart2から、冒頭の数分の抜粋です。私がJulian Baker先生の解剖実習に初めて出た時に感じたことと同じことをこの女性も感じていて、面白いと思い、紹介します。(ご献体から剥がした胴体部の浅層ファシア層のみを触っています) ちなみにこの「Integral Anatomy」シリーズの日本語字幕化の作業では、徹底して     superficial fasciaを浅筋層ではなく、浅層ファシ

深層筋治療主義に異議あり!(7)---Interoception③---

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深層筋治療主義に異議あり!(7)---Interoception②---

今回はInteroceptionに関する生理学的事実などををより詳細に紹介していきます。(例によって私の超訳です。英語が読める人は原文をあたってください) ★[Pleasant to the touch] The Science誌よりこの記事では9歳の女の子の特殊なケースが紹介されています。その子はベッドからジャンプして床に膝で直接着地するという遊び(?笑)が大好きで、膝が「バギッ、ボギッ」と鳴る音が楽しくてしょうがなかったようです(?驚!)つまりその子は痛みを感じないHS

深層筋治療主義に異議あり!(7)---Interoception①---

鍼灸師あん摩マッサージ指圧師として常に頭にある疑問が「○○の症状に対して、鍼とマッサージのどちらが効くか?」ではないでしょうか?私の周りの人たちの意見をまとめると「鍼は内臓疾患系、マッサージは筋骨格系の痛みに有効」と感じている方が多いのではないでしょうか? 鍼が内臓疾患に有効というのは本当か?その根拠となる論文は私の知る限り一切ありません。しかし今回紹介する Interoceptionの再考とC- tactile fiber (C- t線維)の発見はその根拠の一部となるので

深層筋治療主義に異議あり!(6)---治療の心得リスト!---

「深層筋治療主義に異議あり!」シリーズ で述べてきたように、我々の体にはself-regulatory systmen(自己統制システム、脳神経系、内臓、ホルモン、ファシア、血管系などすべての体の組織)が存在し、徒手療法はそのself-regulatory systemに作用して、局所、全体の筋やファシアのトーヌスが変化するということを考慮にいれると、「硬い凝りを圧迫したり、鍼で壊したり」という"機械的に凝りをほぐす"という発想から、我々は脱却していくべきではないでしょうか?

深層筋治療主義に異議あり! (5) ---ファシアの”Plasticity”の機序まとめ---

前回まででマッサージなどの手技の最中におこる(感じる)ファシアの”PLASTICITY”(世間一般的にはいわゆる”リリース”と呼ぶもの)は何が起因となっておこるかを説明しました。今回はそれの総まとめである"Loop"(図解)の説明をしていきます。 手技療法がファシアのPLASTICITYに至る過程の図(Loop)を紹介する前に、以前私が字幕をつけ紹介したビデオ[fascia research]でも言及されていたファシアの自律性(ファシア独自で筋肉の影響を受けずに収縮する)こ

深層筋治療主義に異議あり!(4) ---もう一つのRobertの意見---

深層筋治療主義(深層筋を治療してナンボ!)に対する次なる反論として、2003年にRobert Schleip氏が発表した論文「Fascial Plasticity - a new neurobiological explanation」のPart 1とPart 2 をここにまとめます。 plasticityとは「(ファシアの)可逆性、適応性」のことです。 plasticityについては、もっと詳しく、別途ブログで取り上げる予定です。 ではこの論文でのPlasticity(

深層筋治療治療に異議あり! (3) ---スポーツマッサージを問う・・・---

世界的にいわゆる「スポーツマッサージ」あるいはスポーツ選手を主に治療しているマッサージ師の多くは「ガンガン系」のマッサージが多いかと思います。 もしその「スポーツマッサージ」がスポーツ後の疲れを取る、という目的であれば、はたしてそのガンガン系マッサージは我々の体にとっていいのかどうか? そこで2013年に開かれた[Fascia & Sports Medince]の講演の中から、Robert Schleip氏の講演内容から一部紹介します。 http://fasciadvd

深層筋治療主義に異議あり! (2) ---深く深くより、浅く広く!---

以前、解剖実習に参加した際、講師のJulian Baker氏(Bowen therapyの先生でもある)と雑談をしていて、Robert Schleip先生が、「ロルフィングよりも、Bowen therapyのほうが効果的だと言っている」と言ってました。 その理由はファシアの特性を考慮したからのようで、Julian Baker氏はよく、「一般的な徒手療法は過度に刺激を与える傾向にある」と警告されていて、それと通ずるものがあるのか?と考えてました。 先日、YoutubeでRo