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FaroStarVisionに新機能「AIS搭載船舶位置情報表示」試験運用開始

こんにちは!ファーロスターnote編集部です。
9月15日(金)、FaroStarVisionに新機能「AIS搭載船舶位置情報表示」が搭載され試験運用を開始しましたので報告します。

AISってなに?

AIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)は、一般にエーアイエスと呼ばれ、洋上を航行する船舶同士が、航行情報を相互に交換するための装置です。
衝突予防と人命安全の優先という観点から、SOLAS条約によって定められる対象船舶への搭載が義務化されました。

AISの対象船とは?

AISの搭載が義務付けられている対象船舶は以下の通りです。

1.国際航海に従事する300総トン数以上の全ての船舶
2.全ての旅客船
3.国際航海に従事しない500総トン以上の全ての貨物船

これらの対象船舶は、SOLAS条約(1974年の海上における人命の安全に関する国際条約)第Ⅴ章に基づき、AISを搭載することが義務付けられています。
これにより、目視の可否によらずに複数の船舶の行動を随時把握することが可能となり、衝突の危険性を軽減することができるようになりました。

AISとはどんなシステム?

AIS装置からは、自船の識別符号、船名、位置、針路、船速、行き先など個別データがVHF電波により自動的に発射され、付近を航行している他船や、海上交通センターで受信される仕組みとなっています。
VHF帯電波の通信範囲は基本的にアンテナからの見通し範囲に相当し、およそ20~30 NM(37~56 km)となります。

AISは陸上に設置される設備と、船舶に装備する装置で構成されています。
陸上施設は通常、海上交通センターに設置されており、船舶にはAIS装置が装備されています。
このため、AIS装置は常に電源をオンにしておく必要があり、停船中であっても、自船の船舶情報を発信し続けることで、どこからでも当該船の居場所が正確にわかるシステムになっています。

また、AIS情報はレーダーやECDIS(Electronic Chart Display and Information System)、プロッタなどの画面上で表示可能であり、これらの画面上ではAISターゲットの情報を重畳表示させることが可能です。
これにより他船の存在や動きを確認することができます。

FaroStarではAISを何に使うの?

FaroStarはAISを自動運航船の自動管制に利用する計画です。

自動運航船は、遠隔地から送信されてくる指令や自律運航機能によって自動的に航行することができる船舶のことです。
その自動運航システムの構成は、自動運航船、管制室、通信システムの3つのシステムから成り立ちます。
この中でAISは通信システムの一部として機能し、自動運航船と管制室の間で情報を送受信するために必要となります。

ただし、自動運航船は、AISだけではなく、他のセンサーや通信システムも組み合わせて使用されるでしょう。

FaroStarは、自動管制技術に必要な各種情報を独自に取得しています。
自動運航船の自動管制にはAISや衛星VDESといった船の位置情報が必要となるからです。

AIS搭載船の情報はFaroStarVisionで見られるの?

はい、FaroStarVisionアプリで見ることができます。
まだ一部の地域にしか対応していないので、ちょっとしか見ることはできません。
表示方法についても検討していますので、しばらくは試験運用することになります。

今後の展望は?

現在はAISを用いた自動運航船の自動管制技術を開発していますが、近い将来、AISは、衛星VDESと呼ばれる海上安全の向上に向けたデジタル通信網整備の必要性が高まっている中で開発されたシステムに置き換えることが検討されていますので、FaroStarも衛星VDESに対応したシステム開発に取り組むことにしました。

衛星VDESとは?

VDESは、AIS拡張し、船舶・海洋を対象として双方向通信によりネットワークを構築することを目的としているシステムです。

AISに比べて最大32倍の通信レートを有することから、次世代AISと形容されることもあります。さらに衛星を利用することで、全地球規模の船舶の安全・安心並びに洋上業務をリアルタイムに連携することが可能になると考えられています。

衛星VDESコンソーシアムは、次世代海上通信インフラである衛星VDESの社会実装を進めるために設立されました。
このコンソーシアムでは、ユースケースやビジネスモデルの検討、地上VDES通信実験、実衛星利用サービス開発などを予定しています。

これらの活動を通じて、海洋国家である我が国のプレゼンス強化・海洋DX化に貢献できることが期待されています。

FaroStarはどこまでできるの?

現在、AIS情報を基にした自動運航船の自動管制シミュレーションができるようになりました。
開発中の表面効果翼船「WISE-UV」に搭載し、実機による自動管制試験を実施することを計画しています。

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