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コリスポンデンツァロマーナ

落ちたと思った試験に落ちていなかったのである。7月半ばからほかの試験勉強をずっとしていて、頭も体も常に痛いという状態であったのに、すでに受かっていた試験のために5日間勉強してしまった。こういう不注意は非常によくある。一番最初に受かったフランス文学の試験は25,1点だった。この0,1点はどういう意味なんだろうなとずっと思っていた。数年後のある日気づいたのだが、それは日付であった。1月25日。点数はローマ字で書かれていた。Ventisette、27点。ベネチアからバスでプラハに行った時もそうだ。帰りのバスの時間が10時11分。中途半端な時間である。キャッシュカードの時代ではない。最終日には現金はほぼ持っていなくて、帰りのバスの切符と、帰りの列車の切符とパスポートがあるだけであったので、絶対に乗り遅れることの無いよう早めにバスターミナルに着いた。ベネチア行きのバスを探したが、まだ来ていなかった。しかし、時間が近づいてもベネチア行きのバスを見つけることが出来ない。ぐるぐるターミナルを回って探している間に10時11分を過ぎてしまった。バスチケットを買い直す現金はない。ヒッチハイクで帰るしかないと思ったが、9時半からバスターミナルにいるのに、逃したはずがないと、少し冷静さを取り戻して切符を見直すと、出発時間は午後15時で、10/11は日付の11月10日であった。これまで生きてこられたことが奇跡である。
なぜ試験に落ちたと思ったかというと、大学のシステムから「7月1日の試験結果を教授が辞退と記録しました」とメールが来たからだ。普通はそこに点数が出る。かつて実際に途中で辞退した試験もあり、辞退という言葉は試験の失敗と結びついていたため、落ちたと解釈したのである。次の試験日が9月12日にあったため、システムから予約した。普通ならば予約した時に「詳細」をクリックすると場所と時刻が表示されるのであるが、その教授は色々とイレギュラーなことがあって、試験予約の締め切りが普通であれば試験日の2日前であるが、その教授は2週間前であったり、コロナ禍では大学のシステム以外の所から予約しなければならなかったり(そのせいで予約が出来なかった)。だから今では教授のサイトで色々チェックしなければならないことは知っていた。試験の3日前、まだ場所・日時が掲載されず、焦りを覚え、サイトのあらゆるところをクリックして開いた。その時に「7月1日の試験結果」をクリックしてスクロールダウンすると、何と自分の名前と点数があるではないか。ではなぜシステムから予約出来たのか。教授にメールをすると、言語学とセットになっていて、それに受からなければ単位を取ることが出来ない英語のテストの結果をメールで送っていなかったために(2つの試験の平均が最終結果となる)辞退と記録したという事で、結果を送るように、という事であった。
一方で、ひと夏勉強して準備していたのはフランス語言語学の試験。クラスメートとすごく親しい関係を築くことが出来なかったので(なにせ、みんなと年齢が違い過ぎる)、グループにこれまでの試験問題について聞く勇気もなく、少しだけ親しかった友達に個人的にアドバイスをもらったのだけれども、あまりに授業が分からなかったため(授業はフランス語で、ゆっくりと話してくれるわけではなかった)、正直、授業のテーマが一体何なのかがそもそも分かっていなかったため、あまり役に立ったとは言えなかった。最終的には分かったけれど、それは試験のほんの数日前のことであった。試験問題は2つ。これは出ないだろうときちんと復習しなかった資料と、ダウンロードしなければならなかった資料の中から見落として存在すら知らなかった資料から出題された。ひと夏の努力が無駄。
これからを生き延びていくのも非常に困難であると予想される。

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