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義母 その2

実母と義母の指輪
 
 もう20年程前の話である。実家の母が祖母から受け継いだ24Kの指輪。母がプレゼントしたと聞いている。その指輪を『貴金属高価買い取り』で売ったらしい・・・。金が高騰したので、チャンスだと思い、売ったとのこと。良い値で売れたと喜んでいた。
 何故思い出の指輪を、そう簡単に売ってしまうのだろうか?
病気のせいで(肝臓癌を患っていた)こんな考えになったのだろうか?お金の価値に関係なく、この指輪を私が受け継ぎたかった、ずっとそう願っていた。
「なんで売ってしまったん、形見みたいなもんやん、思い出もあるやろに」と責めもした。とても寂しい気持ちになった。
 そんなことがあってまもなく、同居している義母が、指輪を亡くしたと血相変えて訴えてきた。それこそ実母の指輪より立派なもので同じ24K仕様なのだが、重さにして、1.2倍はあると思う。同じく母(主人の祖母)の形見と聞いている。肌身離さず身に付けられていた指輪、多分主人の妹が譲り受けるであろう。
 何日も何日も探したが、出てくる気配のない指輪・・・。
 ふと思った。実母が高値で売ってしまった指輪、義母が、不覚にも無くしてしまわれた指輪。
実母=ちょっとした小遣いと思い出が残った指輪、
義母=思い出だけしか残らない指輪。
今なら実母に、「よかったやん!!」と言える。
 そんな実母は、13年前に他界し、そんな義母は、現在も99歳でご健在、毎日朝夕30分、ウォーキングマシンで歩行の衰えを予防されている今日この頃、8月で満100歳、、、。