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孫弟子によるA. スミス批判の書
ローダーデール 『公富の性質と起源についての一研究(公富論)』 ドイツ語初版 1808年 ベルリン刊
Lauderdale, Graf, Ueber National=Wohlstand. Berlin, Realschulbuchhandlung, 1808.<R12-53>
<First Edition in German. 8vo, vi, 106pp, modern boards, 105/106 professionally repaired, Exlibri, book plate and stamp on rear side of title page>
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第8代ローダーデール伯ジェイムズ・メイランド(1759-1839)はスコットランドの貴族の家系出身で、庶民院やスコットランド上院議員としても活躍した人物。グラズゴウ大学にてスコットランド啓蒙の代表者の一人であり、アダム・スミスの弟子のひとりであったジョン・ミラーの元で学んだ経歴がありました。
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ローダーデールの主要著作「公富の性質と起源についての一研究」"An Inquiry into the Nature and Origin of Public Wealth"(1804)は、スミスの経済学の体系的な批判を試みたものであり、スミスの孫弟子による批判の書であした。本書は、その批判の書のドイツ語訳です。
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「国富論」に代表されるアダム・スミスの経済思想はドイツ語圏では英国と同君連合であったハノヴァーを中心に18世紀の後半には既に知られるようになっていました。
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しかし、当初スミス経済思想の導入を強く支持していたゲオルグ・ザルトーリウスやアウグスト・リューダーでさえも、産業革命による先進国であった英国に対して、後発地域であったドイツ語圏の現実に直面して、スミスの自由競争論導入に対する批判的な意見やスミスの理論と現実との齟齬を指摘するようになりました。
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訳者は不明ですが、本書の翻訳は当時のドイツ語圏へのスミス経済思想導入への抵抗感表明として行われたものと思われます。
参考文献:田村信一、原田哲史編『ドイツ経済思想史』八千代出版 2009年 34-38頁
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