離日後にビゴーが取り組んだ「フランスの浮世絵」
ビゴー 『エピナール版画』18枚一括 [1900年代] エピナール刊:ペルラン社
Bigot, George, 18 Set of Epinal printings, La Légende du thé, conte chinois. Epinal no. 401 (1907), Le chien de Lili. Epinal no. 406 (1907), Histoire de Tan et Lang, légende annamite du bétel et de l'aréquier. Epinal no. 412, Un cadeau embarrassant. Epinal no. 415, Grandeur et décadence, histoire d'une boîte d'allumettes. Epinal no. 420, Le serpent de M. Clown. Epinal no. 422, Le plus malin des deux, conte Japonais. Epinal no. 425, Les poids dans les chaussure, conte de la grève. Epinal no. 427, Histoire de la sotte gelée de poisson, ou: d'où vient que les méduses sont molles et n'ont pas d'os, conte hindou. Epinal no. 430, Histoire du géant Ly-Ong-Than, légende historique de l'Annam. Epinal no. 437, Comment on peut devenir Sans-Culotte, moralité Louis XV. Epinal no. 439, Les confitures. Epinal no. 442, Histoire à peu près véridique de Jean-Pierre aux longues jambes. Epinal no. 446, Un mot à double entente. Epinal no. 448, Ronde de la boulangère. Epinal no. 3123, Tremp' ton pain. Epinal no. 3125, La grand' cage de Dieu, ronde enfantine. Epinal no. 3137, La chanson des poupées, ronde pour fillettes. Epinal no. 3155 <R22-177>
42x31cm, original colored “Epinal” printing, corner chipped
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本品はジョルジュ・ビゴー(George Bigot:1860-1927)が手がけたエピナール版画の作品18点セットです。ビゴーといえば明治期日本についての洞察力に満ちた風刺画家として知られており、1899年にフランスに帰国した後も引き続きジャーナリズムの風刺・挿絵画家として1900年代の中頃まで活躍しました。しかし、1925年に植民地関連の新聞で風刺画家として復帰するまでの期間についてのビゴーの創作活動について一部例外を除いて知られておらず、創作の空白期間と考えられていました。
この空白時期については及川茂著『フランスの浮世絵師ビゴー』によって焦点が当てられ、この期間にビゴーはフランスの大衆版画であったエピナール版画の版画家として活躍していたことが知られるようになりました。手掛けた作品は数百点規模に及び、フランス帰国後の彼の創作活動の中心となったのは日本通のジャーナリストとしての仕事ではなく、この大衆版画であったことは間違いないようです。
扱ったテーマとしては童話、昔話、逸話、子供向けの楽譜等が中心でした。時の権力に批判的な風刺画といえども各々の政治事情と顧客の需要を考慮しなければならなかったジャーナリズムの挿絵画家の時とは異なり、エピナール版画家時代のビゴーは自由に作品に取り組んでいたといわれています。
他方で、日本に辛辣でありながら観察力と文化批判にあふれた知的な作品という一般的に知られるビゴーの作品イメージとあまりにも異なるため、ビゴーのエピナール版画は著名が無ければ彼の作品であることを認識できないものが多く含まれています。読み捨てられる安物版画であるが故に現物が残りにくい不運も重なって、エピナール版画家時代のビゴーについては未だにあまり知られていないように思えます。
ただ、エピナール画家としての活動は十年近くに及び、日本滞在時の作品と同様にこの時代の作品もビゴーの創作活動の重要な一時期であったと言っても過言ではありません。それゆえ本品はビゴーの未だ知られていない作品全体像を理解するうえでは貴重な資料と言えます。
参考文献:及川茂『フランスの浮世絵師ビゴー ビゴーとエピナール版画』木魂社、1998年
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