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極東書店ニュースNo.724 日本人著者・日本関連テーマ 注目タイトル

極東書店ニュースONLINE、2024年5月20日に新着書誌情報を追加いたしました(No.724)。その中から日本人著者・日本関連テーマの注目タイトルをご紹介いたします。

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斎藤百合子他編 メンタルヘルスと現代西洋美学ハンドブック

Poltrum, Martin / Musalek, M. / Galvin, K. / Saito, Yuriko (eds.), Oxford Handbook of Mental Health and Contemporary Western Aesthetics. 1064 pp. 2024 (Oxford U. Pr., UK) <724-94>

今日、西洋化した社会における精神疾患の治療法の主流は、心理療法、心理学、精神医学であり、これらは19世紀以降ヨーロッパで確立され、発展してきた方法論です。

しかしながら、これらの「科学的な」治療法が確立するずっと以前より、絵画などの視覚芸術と詩のような言語芸術は人々の心を感動させ、癒し続けてきました。

心の健康増進に美学を取り入れることは、人間や地域社会の幸福に影響を与える美学の力を証明するものであります。このハンドブックは、心理療法と精神医学において美学が果たす貴重な役割について、理論と実践の両面から探求しています。


久木田直江他編 『霊的な恩寵の書』必携

Yoshikawa, Naoë Kukita / Mouron, Anne (eds.), A Companion to The Boke of Gostely Grace: The Middle English Translation and its European Vernacular Contexts. (Exeter Medieval Texts and Studies) 320 pp. 2024 (Liverpool U. Pr., UK) <724-142>

この新しいコンパニオンは、ラテン語テキストとその現地語への翻訳をめぐる現在の学際的で理論的な議論-女性の文学文化に関する多くの問題も含む-にさらなる勢いを加えるものです。

本書は全体として、中世後期のイングランドとヨーロッパの文学文化において、ヘルフタ修道院の神秘主義的な文学作品がどのように流通し、受容されたのかについて精緻な理解を提供しています。


後藤玲子編 尊厳、自由、正義

Gotoh, Reiko (ed.), Dignity, Freedom and Justice. 279 pp. 2024 (Springer, GW) <724-152> オープンアクセス

現代社会は、偶発性、不確実性、曖昧さという事実によって特徴づけられています。本書の目的は、この現象的事実を希望に満ちた規範に変えることであり、その手がかりとして、尊厳の概念を検証し、新たな定義を展望します。

これまで尊厳という概念は、リベラルな社会科学の関心事の周辺的なものでありました。本書は、尊厳の概念を光源として、自由主義社会科学と哲学の根源的な批判を照らし出しています。


有賀裕二著 進化経済学

Aruka, Yuji, Evolutionary Economics. (Springer Texts in Business and Economics) 330 pp. 2024 (Springer, GW) <724-161>

現在のデジタル・システムは常に進化しているため、もはや一定の存在に収束するものではありません。デジタル経済の出現は不可逆的な次のステップであり、計算能力とアルゴリズムによる合理性はますます経済システムを支配し、複雑化しています。

本書はSpringerから刊行されるテキストで、新しい経済学である進化経済学の理論や、数理・計算方法の進化的分析を考察しており、進化経済学を概観するには最適の1冊です。


河島伸子他編 日本とイタリアにおける文化遺産 -ツーリズムとコミュニティ開発のための視点-

Kawashima, Nobuko / Ferilli, Guido (eds.), Cultural Heritage in Japan and Italy: Perspectives for Tourism and Community Development. (Creative Economy) 207 pp. 2024 (Springer, GW) <724-179>

日本とイタリアの国際共同プロジェクトを通じて、文化遺産が本来持つ歴史的、考古学的、美的価値を超えて、経済的、社会的価値を取り上げた研究書。

世界の文化政策は、数十年の間に、経済発展や社会的包摂といった非文化的な目的を含むように拡大してきました。日本の文化政策もこの流れに乗りつつあり、文化遺産を保存するための目的から、観光、地域のブランド化・活性化、コミュニティ形成のための文化遺産の活用へと重点が大きくシフトしています。

イタリアは遺産観光経済で長い間繁栄してきましたが、近年は文化財を活用した都市開発や地域開発の事例が増えています。また、最近のコロナウイルスの発生と、それに先立つオーバーツーリズムの問題は、両国の観光政策と実践に課題を投げかけています。

特に日本に関する各章は、経済的・文化的に世界的な存在であるにもかかわらず、これまで日本に関する議論が少なかった英語文献の中で独創的な貢献を果たしています。


中兼和津次著 毛沢東と現代中国

Nakagane, Katsuji, Mao Zedong and Contemporary China: Exploring the World Where Truth Falls from the Heavens. 263 pp. 2024 (Springer, GW) <724-187>

毛沢東は中国に何をもたらしたのでしょうか?

毛沢東は、大躍進と文化大革命によって多くの犠牲者を出したにもかかわらず、いまだに中国大陸で偉大な英雄とみなされている稀有な指導者です。

本書は、毛沢東の思想・哲学の特徴、マルクス主義と階級闘争に対する理解、とりわけ知識人に対する特異な態度、彼が主導し全国民を巻き込んだ大躍進と文化大革命に至る行動、そしてそのような破局と悲劇を引き起こしたメカニズムの分析を行います。


蓮澤優著 M.フーコーと精神医学

Hasuzawa, Suguru, L'autre tour de folie: Michel Foucault et la psychiatrie. (Ouverture philosophique. Bibliothèque) 216 p. 2024 (L'Harmattan, FR) <724-45>


臨床精神科医である著者が、フーコーの著作を体系的に読み解いた1冊です。


秋元大輔著 日本とグローバル・ヘルス-COVID-19のパンデミックにおける人間の安全保障アジェンダ

Akimoto, Daisuke, Japan and Global Health: Human Security Agenda in the COVID-19 Pandemic. 173 pp. 2024 (Palgrave Macmillan, UK) <724-266>

本書は日本をはじめとするアジアの医療政策・政治を、新型コロナを中心に、人間の安全保障と絡めて論じています。

医療政策の専門家だけでなく、国際政治や安全保障などに興味のあるお客様に、幅広くアピールする1冊です。

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