【2020.05.19】一時的には共有ビジョンすら脇に置いてその人だけに向き合う必要があるかもしれない。
先ほどまで、こちらのオンライン読書会をしていた。
組織文化研究の大家エドガー・H・シャインさんと、その息子ピーター・A・シャインさんの共著。英雄型リーダーではなく、相手との関係性のなかに生まれるリーダーシップの重要性を説き、その土台になる考え方として「関係のレベル」を示しているのが大きな特徴。
●レベルマイナス1:全く人間味のない、支配と強制の関係
●レベル1:単なる業務上の(トランザクショナルな)役割や規則に基づいて監督・管理したり、サービスを提供したりする関係。大半の「ほどほどの距離感を保った」支援関係
●レベル2:友人同士や有能なチームに見られるような、個人的で、互いに助け合い、信頼し合う関係
●レベル3:感情的に親密で、互いに相手に尽くす関係
(同書p.26-27より)
レベル3は家族や恋人のような関係でもあり、場合によっては「近過ぎ」てしまう。ビジネス上であっても、本当に大きな危機の場合は有効かもしれないけれど、本書では基本的に「レベル1をレベル2に引き上げる」ことの必要性を主張している。
今日の読書会のダイアローグの時間で、このレベル2の関係について出てきた洞察がとても面白かった。個人的にメモしておきたい気持ちもあるので書き出してみる。特に、最後に書く気づき(★マーク)は価値観の大きな転換になった。
●必ずしも「傾聴」がレベル2の関係を育むとは限らない。感じの良い相槌を打っているだけで何も深まらないこともある。深め合う相互作用まで生まれないといけないのではないか。
●相手に何かしらの知識を教える講座などの場合、レベル2を育む会話はむしろ邪魔だと思われてしまうかもしれず、時間いっぱいレベル1に徹してしっかり伝えきることを望まれるかもしれない。そういう場合は、たとえば講座とは別のFacebookグループなどでその人との接触頻度を増える小さな仕掛けを持つとよいかも。
●相手とビジョンを共有することでレベル2の関係を育みやすくなる側面はもちろんある。けれど「このビジョンに適うために...」とばかり考えたコミュニケーションでは、相手よりもビジョンを見てしまい、相手への関心は実は薄くなってしまうかもしれない。相手をビジョン達成の手段にしてしまう恐れも。レベル2の関係を育む上で重要とされている「相手への心からの好奇心」を持つためには、一時的には共有ビジョンすら脇に置いてその人だけに向き合う必要があるかもしれない。
●レベル2の関係だったコミュニティから、異動などで新しいコミュニティへ移ってレベル1の関係に戻ってしまったときに、新しい場をレベル2に持っていく努力はもちろん大切。けれど、なかなかそうならないときには、かつてのコミュニティの人たちと雑談でもいいから接触する機会をもつことで、レベル2の感覚を取り戻せる自身の回復の機会になる。
★レベル2の関係を育む上で重要とされる「共に学ぶ体験」。これは、「お互いにそれぞれの専門知識を伝え合う」というレベルではなく、「お互いに知らないことを共に手探りで学び合う」ときにますます効果を発揮するものだと思う。それを考えると、「何かを知らない」「何かをできない」というのは、共に学び合う大きな機会になる。新型コロナによる混乱で、誰もが「知らない」「できない」という新しい環境に直面している。それを引け目に感じずに、強がらずに表明することができれば、「教える・教えられる」の関係ではなく「共に学び合う」関係になれる。つまり、弱さを見せ合う覚悟さえ持てれば、今の状況はレベル2の関係をあちこちで築くチャンスなのかもしれない。
一人の読書では、ここまで多様な観点は絶対に出てこなかった。上記のなかで僕から語ったのは、3つ目のビジョンの話だけ。あとはすべてグループメンバーから出てきた話。
「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」という手法の読書会なのだけど、「アクティブ・ブック・リーディング」じゃないところがポイント。その良さが最大限に出た日だった。
扱う本は違うけれど、来週も開催します。書籍購入の必要はあっても事前に読んでくる必要はないので(その場で自身の担当パートを読む時間があるので)、よかったらぜひ。
そんなこんなで大満足な一日だったけれど、今朝はなぜか4:00に起きてしまったので、身体はだいぶ疲れている。早寝しよ~。
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