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【2020.05.27】今日は衝動買いした自慢の本たち(まだ読んでないのに)を挙げてみようと思う。

ここのところ毎週、一人か二人ずつ、90分かけて人生のお話を聞かせていただく機会がある。それをもとに5冊の本を選書をする、という企画。

病を経験してから、人との距離感が狂ってしまい、だいぶ苦しんだ。あんなに人の話を聞くのが好きだったはずなのに、昔のようにうまく関心が湧いてこない。特に、新しい関係性をつくることに対して億劫になってしまっていた。

そこに今回の企画。大好きな「本」を介し、ネタにすることで、コミュニケーションの最初のハードルが一気に低くなった。そうして不安が取り除かれた状態で対話に入るとびっくり。かつてのように、相手の話を聞くのが楽しくてしょうがない。

ああ、聞くことが嫌いになったわけじゃなかったんだ。

すごく安心した。いまとなってはもはや、毎週この時間が来ることが待ち遠しいほど。

またひとつ、本という存在に救われてしまった。選書して、届くべき本が届くべき人に届くお手伝いをする。それを恩送りだと思ってしっかり取り組みたい。


こうして人様に対して本を選ばせていただく立場になると、自身の読書のレパートリーをもっと増やさねばと思うようになる。読書欲も上昇する一方(読む時間が減る一方なのはどうにかしたい)。

今日は夕方の散歩がてら、少し本屋さんへ。長居は避けたけれど、それにもかかわらず素敵な本にたくさん出会ってしまった。今日は衝動買いした自慢の本たち(まだ読んでないのに)を挙げてみようと思う。


タイトルも装丁もコンセプトもとととととととととととととも良い。横光利一さんの『機械』という短編小説を、とにかくゆっくりと読んでみたお話らしい。

対象は原稿用紙50枚ほどの短い作品なのに、読むのにかけた時間はなんと11年...! 一回に読む量はせいぜい5行ほどで、1行読むたびに出てくる言葉や人物にどっぷりと浸り、脱線し、妄想し、停滞することを繰り返してきたらしい。それでも11年って....。

「ぐずぐずすることの素晴らしさについて書いた」そう。なんて素晴らしい取り組みだろう。どんな読み方をしたのか、そしてそんな読み方からどんな感覚が生まれてくるのか、気になって仕方ない。


著者のポール・タフさんは、英治出版からも翻訳本を出版している方。本書の日本語版は今月発売したばかりの新刊だけど、原書は2008年に出ていたらしい。

アメリカのハーレム地区で、貧しい子どもたちへのサポートをするNPOの実践を追った本。個別のプログラムではなく、地域の子どもたち全員が誰も取りこぼされることなくサポートされるような綿密なセーフティ・ネットをつくること。それが本書が取り上げる「ハーレム・チルドレンズ・ゾーン」というプロジェクトの目指したことらしい。

著者のポール・タフさんは非常に優れた著述家で、前作でも「非認知的スキル」(読み・書き・計算の能力ではなく、好奇心・やり抜く力・自制心などの気質)というテーマを中心に、子どもたちの教育事情・改善策を探求していた。今作は、その具体策としてのひとつの実践を濃く描いた作品のようなので、とても気になる。


10年前に、ベトナムのニャチャンという街の海でスキューバ・ダイビングの資格を取った(それ以降一度も潜っていないのだけど)。水面という薄い膜を隔てただけなのに、その下に広がる光景は本当に別世界だった。比喩ではなく、「もう一つの世界」だと本気で思った。まるまるひとつ分、自分の知らなかった世界を見つけた感覚。

この本を見つけた瞬間、あのときの感動を思い出した。裏を見てみると、

●地球を2周する長さの巨大山脈
●エベレストを呑み込む深さの海溝
●海底総面積の30%を占める大平原
●月の直径よりも長い大断層

などなど、「これでもか!」というほど魅力的で神秘的な言葉が並んでいる。これは文字通り「世界観を広げる」チャンス。ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』も大興奮で読んだので、とても楽しみ。


氷の川の上に現れる幻の道"チャダル"を巡る旅。
彼らは確かに、そこで、生きていた。

美しい装丁で目が留まった先にこんなコピーがあったら一撃ノックアウト。

ヒマラヤ山脈の西のはずれにあるザンスカールという土地は、冬になると氷点下20度を下回り、外界との間を結ぶ峠道もすべて雪でふさがってしまうらしい。けれど、ある一定の期間だけ、隣のラダック地方へと流れるザンスカール川が凍結し、その上を歩いて渡れる幻の道が表れるそう。

く、くすぐられる......そんな幻想的な場所の旅の記録、知ってしまって読まずにいられようか。



大満足の大収穫。どれから読むべきかわからない。「どれにしようか......」と迷っているだけで1日使えそうなほど。

どれからがいいですかね?

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